転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



佐伯区の自宅の二階を盛大に整理していたら、
タイトルのない古いビデオを、主人が発見した。
再生してみると、元気だったときの姑が和服を着て映っていた。
画面は、どこかの和室で、姑ほか何人かが、緋毛氈の上で、
向かい合わせに正座し、順に杯で日本酒を頂いていた。

私「結構なお点前、でもないし、三三九度でもないし」
夫「誰かの見合いかな、……いや、違う、おばさんばっかりや」

姑はよく仲人をしていたから、その関連の映像かと思ったが、
主人の指摘通り、そこにいるのは中年以上の年齢と思われる女性ばかりだ。
皆、訪問着だか付下げだかを着て、とても厳粛な様子だ。

私「きょうだい固めの杯、って感じ(^_^;)?」
夫「おふくろ、なんか秘密結社にでも入っとったんかな」

中央にしつらえられた舞台というか一段高くなったところに、
ひとり、皆より地位の高そうな女性が座っている。この人も和装だ。
そしてこの人の背後に、飾り付けがしてあった。
飾りと言っても、紅白のテープを鴨居に沿って等間隔にバルーン型に止めつけたもので、
しかも途中にエアコンがあって邪魔になったらしく、
テープの一部は、やむなく、エアコンの下部を通っている。

夫「どーでもええ飾りやな」
私「………(^_^;」
夫「『準備するの、大変だったでしょう、おほほほほ』ってその場で言ってさ、
家帰ってから『まー、誰がしたんかね、不細工な飾りじゃった!』って言ったろうな」

やがて、その中央の女性に花束が贈られ、挨拶があり(聞き取れない)、
一同、拍手。何か、この真ん中の女性に関する、お祝いの式典だったようだ。

と、俄に予期せぬことが起こった。
その中央にいた女性はすっくと立ち上がると、さささ、と舞台下手側にハけ、
扇を取り出したかと思うと、ぶん!と思い切りよく足を踏み出し、踊り始めたのだ。
それは、武原はんでもなければ、井上八千代でもなく吾妻徳穂でもなく、
言うなれば梅沢富美男の世界。だってBGMが演歌(爆)。

私は、まざまざと思い出した、姑が一時期、新舞踊に凝っていたことを。
画面左に居た姑も次第にそわそわし始めた。
彼女もまた帯に挟んだ扇を取り出そうとしている。
姑が立ち上がろうとした刹那、主人がビデオを止めた。
「観んで、ええ」と彼は切り捨てるように言った。

ちぇ。
姑がどんなふうに男踊りをしていたか、見たかったのにぃ。

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