預貯金の相続手続きは早々に全て終わっていて残りは不動産だけでした。
預貯金などは通帳の金額記載だけで“所有”しているため
その金額のままで名義が変わって初めて自分のお金という実感が湧くというものです。
銀行等は所詮、公的ではない民間会社なのですから、「そんな金額は預かっていません」と否定されたら
それを覆すことは「死人に口なし」、容易ではないなどとつまらない心配もないわけではなかったのです。
不謹慎のそしりを承知の上で申し上げれば、私には経験がありませんが
もし、持っているジャンボ宝くじ券が高額当選しているのを見つけたとしても、何度も番号を確認したり
実際に現金を手にするまでは何かと不安になるのと同じような心境なのかもしれません。
一方、土地や家は現にその上に住んだりしている事実から来る安心感もあって
謹慎生活が解ける四十九日を待っての移転登記申請でした。
申請から1週間程度待たされた昨日、完了した「登記識別情報通知」を取りに行きましたが
数年前からかつての「登記済権利証(いわゆる権利証)」は発行されず
これが代わりになるように法律が改正されているのです。
つまり、かつてはこの「権利証」 を“持っている”こと自体が所有者である一つの証明だったものが
今では、登録名義人(所有者)だけに通知される「登記識別情報通知」に
シールで隠されて記載されている12桁の符号を“知っている”ことをもってして
名義人本人であることを確認するという方法なので、いわばキャッシュカードの暗証番号みたいなものなのでしょう。
(このシールは1回剥がすと2度と貼れないようです)
このため、大切に保管することに変わりはないのですが
その符号を他人に見られないようにしてください、との注意書きが添付されてきます。
それにしてもよく分からないのは、新たな所有者に移転登記が済んだのに
以前の「権利証」にしろ「登録識別情報」にしろ、手許にそのまま残ってしまうことです。
例えば、売却してすでに他人の手に渡っている不動産でも、親が亡くなった後で
これらを見つけてヌカ喜びなんてことも、普段ろくに顔も会わせない親子間ではあり得ることでしょう。
かように、「権利証」も「登録識別情報」も国(法務局)が管理する原本ではありませんので
現在の状況はこの原本の控えを取ってみないと分からないということになるのです。
(権利証にかつて押されていた朱印)
ちなみに、法務局の相談窓口で、一般的にこの古いものはどうしているのか訊いたところ
シュレッダーに懸けて廃棄するか、ほとんどの方は過去の歴史の“記念品”として取って置くのだそうです。
いっそ、売却などで変更されてしまう場合
古いものも添付書類として回収すれば良いと思うのですが…。
記念品と言ったって・・・。