スティーブ・キングの「書くことについて」をまた読み返しています。
何かを書きたいと思っている人にとって、とても有益な本だと思っていますが、書こうと思っている人にとって有益でない本なんてないのかもしれません。
万年筆屋をしているくらいなので、書くことは人生においてとても重要なことだと思っていて、書くことのない人生はつまらなくないのだろうかと思っています。
でも若い時、音楽のない生活なんて味気ないのではないかと、両親の生活について想ったりして、でも自分がその世代になると音楽は大して重要ではなくなったので、自分が熱中していることが世界の全てではないことは、さすがに理解しているけれど。
でも、書くことは私にとって何よりも大切に思っている表現の手段であり、楽しみをもたらしてくれるものです。
人生に書くことが存在する人はきっと幸せで、良い人生をおくることができると頑なに思っているので、私は書くことが最も楽しくなると思う筆記具である万年筆を、一人でも多くの人に使ってもらうために万年筆屋をしている。
今から思うと、万年筆を使うようになるずっと前から書くことは好きで、日記をつけたり、遠方の友達に手紙をよく書いたりしていました。
きっと自分のことを書きたいという欲は携帯電話やパソコンでは満たされることはなくて、ボールペンでもサインペンでもいい、手書きに限られているのだと思います。
もし私の若い頃に今の主になっている通信手段があったら、自分が書くことが好きだということにさえ気付いていなかったかもしれません。
好きだと思っていた書くこと。そして自分なりのやり方でそれを仕事にすることが万年筆を扱う仕事に就いて、繋がって今に至っています。
バラバラにあったことが結果オーライと言わんばかりに急につながったことが、自分でもとても興味深く、これも一人の人間の人生で、人の数だけ生き方があって、それぞれの人が私と同じようにいろんなモノで、人生が繋がっていくのだと思うと、何かその辺に非常にたくさんの教えのような、生き方のヒントがあるのだと思えます。