元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

語り合う夜

2010-12-13 | 仕事について

先日の定休日、千里中央A&Hホールで行われた大和座狂言事務所の公演に行きました。
10月に行われた前回は、自分の基調講演で頭がいっぱいでしたが、今回はリラックスして見てくることができました。
狂言の舞台がメインですが、チェロ、ピアノ、ソプラノの唱歌、童謡の演奏もあり、バラエティに富んだ親しみやすい内容でした。
狂言も日本の伝統芸能という視点で見ると難しく思うかもしれませんが、例えば今回の演目の「昆布売り」は偉そうに振る舞う大名を昆布売りの商人が懲らしめるというもので、民衆の階級制度に対する反骨精神による笑いだと見るとおもしろく観ることができますし、権力を笑い飛ばしてしまう当時の民衆パワーを感じることもできます。
狂言の舞台で常に演じられるのは、長いものに巻かれない、たくましく生きる日本人の姿だと思いました。

公演終了後、また安東先生のご自宅兼お稽古場にお邪魔して、安東先生ご夫妻や大和座狂言事務所の皆さんと夕食をいただきながらいろんな話をしました。
住む街も違い、仕事も違う私たちですが、自分がこれで生きていくと決めた道で、生活の保障もなく生きていくのは同じですので、そういった生き方や日本の文化、日本の将来、日本人について語り合いました。
こういった時間を安東先生は、芸の肥やしになると若い人に言っておられましたが、それは私たちにとっても同じことで、芸は持っていませんが、このお稽古場で語り合うことで、いろんなことを考えたり、教えられたりします。
安東先生は、今の様々な不条理に怒りを持ち続けている人で、そういったことを諦めずに声を上げ続けることを私たちもしていかないといけないと思いました。
安東先生のそういった姿勢は、狂言の起こりと重なり、安東先生の生き方そのものだと思っています。
会社など組織を同じくしない関係だからこその、常に考えているわけではないけれど、いつも頭の中にある我が国への憂いのようなものを語り合うことのできる、望んでも手に入れることのできない、大変有り難い関係を大和座狂言事務所の人たちと持っています。


2 コメント

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Unknown ()
2010-12-15 22:13:08
日頃、人のことはうらやむまいと思ってるんですが、このおつきあいは本当に羨ましい
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Unknown (penandmessage.)
2010-12-17 14:38:15
H様
ありがとうございます。
例えどんなに素晴らしい人たちと知り合って、お付き合いするようになっても、私がボンクラのままでは何も得ることができませんので、大和座狂言事務所の人たちと楽しく語り合えるように、感性を磨いて、好奇心を持ち続けたいと思っています。
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