私が言ったり、書いたりすることの全てのものは、本で読んだり、誰かから聞いたりしたことです。
別にそれを恥じるつもりはなく、伝えるということはそういうものなのだと思います。
ただ、誰かが言ったことを自分の理解も曖昧なままそのまま言うと、それは受け売りだということになります。
自分で理解して、自分の言葉に変換して、自分の体験や考えと合わせて実感できれば、その言葉が自分のものになったと思い、その言葉の出所なども忘れてしまい、自分の頭の中から自然に生まれた考えだと勘違いしていることもあります。
何度も本棚から引っ張り出して読む大切な言葉が書かれた本があります。
とても大切なことが書かれているのに、しばらく読まないと忘れてしまうのでまた読み返す。
その言葉や心を忘れてしまうあたり、良い考えや言葉が身についていないと思いますが、そういうものこそなかなか身につかないのかもしれません。
例えば尊敬する経営者が書いた論語を引用した心構えを解いた本などは、それを読んだばかりの時は自分も素晴らしい人間になろうと強く決意しますが、しばらくすると緩んできてしまう。
すぐ利くけれど、飲み続けないと効果が切れる薬のような感じ。単純なので簡単に影響されるけれど、忘れるのも早い。
きっとこういうことを私は繰り返しているのだと思いますが、でも以前の自分よりも今の自分の方が良い人間でいたい。過去の自分を誇らしく思いたくなく、過去の自分はいつも反省するべき対象でい続けたい。
良い言葉を読む、良い考えを身に付けるということは、それが楽しいからですが、教養のようなものを身に付けることは、道に迷わないようにするためであり、身の回りにある脅威を恐れずに立ち向かえるようにするためなのかな、と思っています。
すこし違うかもしれませんが、若い頃、販売の仕事を始めたばかりの頃、商品知識が自分の身を守るのだとある上司に言われたことがあって、それは仕事の経験を積むごとに実感していきました。
知識のない人はやはり無防備で、何かのトラブルに巻き込まれやすい。知識を身に付けることは、逃げない心の強さと立ち向かう勇気を持つことにつながることは販売員にとって、何よりの言葉だと思います。