元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

道楽ではなく

2013-07-09 | 仕事について

この店に来た人が店内をグルッと見渡して「いいですね、趣味が仕事になって」と言われることが、ごくたまにあります。

それを言われると、何かモヤモヤした感じが胸の中に起こるというと、不思議に思われる方もおられるかもしれません。

確かに自分が好きで、多くの人にも万年筆を使ってもらいたいと思って始めた店で、好きなことを仕事にしているのだから、それは趣味の延長ではないかと思われても不思議ではありません。

よく言われていたのは、人の嫌がることにこそチャンスがあり、仕事とは辛く、苦しいものだということでしたので、そういうことから考えると、そうなのかもしれません。

好きで楽しくない仕事でもキッチリとこなしている人が大多数で、すごいと思っていますが、私は好きではないことはできないと思っていました。

やりたくないことはやらないというのは、とても我がままな生き方なのかもしれないけれど、40年以上は必ずある、人生の半分を占める仕事をしている時間を耐えて生きることが私にはできなかった。

そのように開き直って、仕事の仕方についての考え方が変わったのは、私にとってはとても良いことだったと思います。

子供の頃から好きな勉強はできるけれど、嫌いなことは全く努力しない性格で、それは大人になっても直らず、好きじゃないことはやりたくない、それが例えば会社において昇進に響くと言われても、迷わずやらない方を選んだと思います。

それを甘ちゃんだと言えばそうなのかもしれないけれど。

人から支持される仕事、人が集まってくれる仕事というのは、それをしている人が楽しんでいるかどうかということを、自営業やフリーランスをしている先輩達を見て、学びましたし、自分でも身を持って経験しました。

最近始めた当店のフェイスブックやメルマガも皆様に自分が好きだと思っていることを、自分が楽しいと思う方法で伝えたいと思って、心から始めたいと思って始めたことでした。

それぞれの情報発信の手段には利点も制約もあって、それらの中で情報を選んだり、伝え方を変えたりすることも、とても好きで楽しい仕事になっています。

上手に行えているかどうか分らないけれど、正解のない仕事を自分なりのやり方、自分が好きだと思うやり方を考えてすることがもともと好きでした。

もちろんそれらの仕事には店が少しでも長く続くためというシリアスな動機もあって、好きだからというだけではないですが。

自分の好きなことで多くの人に広めたいと思っていることだけど、生きていくためにもしていることで、それらは常に背中合わせにあります。

関わってくれている仲間達も皆、したいこと、伝えたいことと生きるためにしていることが背中合わせになっていて、それを趣味だと思う人はいない。

それらは生き方とも言えるもので、彼らの生き方をとても魅力的に思っていて、自分も近付きたいと思っています。