みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

当たり前の生活

2008-09-11 19:57:43 | 八郷の自然と風景

 K子さんが、帰省中の長女yさんと共に来庵してくれた。1月足らず前までは、御自宅の窓を開けることさえ躊躇しがちだった化学物質過敏症(CS)のK子さんが、近距離とはいえ外気の中を運転して! 

Dscn0128 野に咲いていたツリガネニンジンを床の間に飾って、K子さんたちを庵内に迎えた。写真ではフラッシュで白く光ってしまったが、実際には微かに紫色がかっている。この花に寄せる星野富弘さんの詩がある。

むかし 人は うつくしい音が聞きたくて 鐘を作った             すると 鐘は 花のかたちに なった

 抹茶を所望されたので、盆略点前で薄茶を点てた。K子さんが抹茶を喫することが出来る! こんな刺激性のあるものを、CSのK子さんが口にするなんて、想像だに出来なかった・・

 CS症状が辛かった時、「当たり前の生活」が出来ること、それがK子さんの夢だった。お店に入って買物することも、約8ケ月ぶりに出来た。夢が実現し始めたのだ。

 CSが劇的に発症してから軽快するまで1年に満たない、というのは極めて珍しい症例に違いない。これまで、K子さんが自ら言う通り「修行」の名にふさわしい、化学物質を避ける懸命の努力と、自らの症状と環境についての観察・分析・判断そして対策の蓄積があった。ご家族をはじめ関係の方々の協力もあった。そして決め手となったのは、東洋医学に云う「気」のコントロールだった。

 化学物質等に過敏なK子さんの体質自体は治ったわけではない。それでも「気」のコントロールでCS症状を鎮めて、「当たり前の生活」を取り戻し始めたK子さん・・「修行」もまだまだ続きそうだが、K子さんの瞳は明るくなった。そんな母へのyさんの眼差が何と優しかったこと!              


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