みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

大森荘蔵&中島義道&南木佳士

2014-07-06 13:19:51 | 哲学

Dscn0745携帯電話が鳴って、「公民館図書室です。購入希望された本が入りました。」と聞いたときは少々意外だった。

東京新聞に、中島義道著「生き生きした過去~大森荘蔵の時間論、その批判的解読」(河出書房新社 2014年4月発行)の書評が掲載されたのは先月8日。

中島義道が大森荘蔵を語る旨のタイトルに先ず目を引かれた私は、その書評の濃厚な味わいにも心魅かれました。

Dscn0747 本はよほどのことがないかぎり買わない主義の私は、石岡市の公民館図書室に購入希望書を出したのだけれど、あまり一般向きとは言い難い本だから、却下されてもやむを得ない、と思っていた。

それから1ヶ月近く音沙汰ないので、半ば諦めていたのです。市の予算で買っていただいたのだから、しっかり読まなくちゃ!

改めて紙上の書評を読んで、その充実感を再確認。

Dscn0746 師が永遠の不在になったからこそ、彼の論の不整合を情実抜きに批判できるのだが、その優位性には、もはや師の進化が見られず、反論を聴けない、生き遺った者としての寂しさがつきまろう。そんな心情を表に出さぬ著者の姿勢が好著を生んだ。

評者は南木佳士(なぎけいし 1951~)。 この人の本も読みたくなりました。


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4 コメント

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ご無沙汰しております。「たより」は欠かさず読ん... (守拙)
2014-07-08 22:52:17
ご無沙汰しております。「たより」は欠かさず読んでいるのですが、久しぶりの投稿となりました。
以前、この欄を借りて、中島義道「『死』を哲学する」について、数回にわたり、少なくとも私にとっては非常に密度の濃い対話をいたしました(2012年12月30日~2013年1月29日)。今日、当時の記事・コメント・再コメントを読みなおし、〈死〉という人生の疑いなく最重要な問題について、他者とあのような有意義な対話ができたことは、自分のこれまでの人生で稀有なことであったという思いを強めました。あらためて深く感謝いたします。
一方、そのときも感じざるを得なかったことですが、私は中島義道というこの大変癖のある哲学者のあまり良い読者ではありません。しかし、最近出版されたこの「生き生きとした過去」という本、副題に「大森荘蔵の時間論、その批判的解読」とあり、これまた、かつて一時期ではありますが、大森の著作を熱心に読んだ者として気にはなっていました。
ちょうど2年前に早期退職し、実家に帰り、老母・老叔母の「ホームヘルパー(?)」をするかたわら、隠退生活をするなかで、現役時代から続けている若干風変りな趣味に携わる時間が増えたので、読書の中でもどうしても相応のエネルギーを使うことになる哲学書は敬遠していました。しかし、今度、「そうか、この中島義道の新著、小零さんも読むのか…」ということで、読んでみることにしました。インターネット販売で注文しましたので、しばらくすると届きます。それほど厚い本ではないようですが、哲学書なので、まあ、ゆっくり読もうと思っています。
ちなみに、東京新聞の書評は読んでいませんが、南木佳士についてはエッセイの他、「草すべり」という短編集を読んだことがあります。医師であり、また、自身、鬱病患者であった体験をもとに、信州を舞台にした非常に地味ですが味わいのある作品を書く作家という印象を受けました。


数年前からみつばやまさんのフアンなのに初めてコ... (まろ)
2014-07-09 19:44:19
数年前からみつばやまさんのフアンなのに初めてコメントいたします。
偶然にも南木佳土のエッセイ「生きのびる からだ」「生きてるかい」を
2週間前に図書館から借りてきて読み終わったところです。

図書館でいつものようにランダムにえらんだ2冊でした。
小説も読んでみようと思います。

還暦を越えた辺りから同年代及び先輩方が書かれたエッセイ等「生きる指針」にしたく読み始めました。
みつばやまさんのブログのフアンになったのもそのためかもしれません。
「四十にして惑わず」と言われますが、還暦をとうに過ぎた私は益々迷いの路に入り込んで行く様です。
守拙様 (korei)
2014-07-10 09:11:32
守拙様
 その後いかがお過ごしかと、少し案じておりましたが、ご家族のお世話と御趣味に携わる日々の御様子、何よりと存じます。また当ブログを忘れずにいて下さり、有難く存じます。
 気力も体力も乏しい私は、この季節の意気盛んな草との闘いに連戦連敗。バテるばかりで本らしい本を手にすることも無いのですが、今回の購入希望は南木佳士の書評の力が大きかったと思います。大森荘蔵の哲学自体には、(不勉強な私が言うのはあまりにも不遜ではありますが、)強い関心を持つことが出来ないでいます。しかし中島義道が、人格的には対照的にさえ私には思われる大森荘蔵を師として深く敬愛している事実からは、人間の生きる姿について教えられるものがあるのではないか、という期待感を持ちながら読み始めました。
 守拙様からは今後も何かと御教示頂ければ嬉しく存じます。
まろ様 (korei)
2014-07-10 15:00:47
まろ様
 当ブログへの御訪問と御投稿、有難うございます。こんな中途半端な人生を、躓きながらヨタヨタ歩いている老女もいる、とお嗤い下さい。
 南木佳士の本を読まれたとのこと、どうだったのでしょう・・?  本をあまり読まない私ですが、「・・」賞とかを受賞した作品を義理で読まされて辟易したことが何度かありますので、南木佳士が芥川賞作家であることを今回知って、ちょっと複雑な気持も・・ いずれ作品を読む機会を持つつもりですので、どんな感想に自分がなるのか、今から楽しみです。

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