ギター破壊パフォーマンスについて。

2024-04-24 20:26:59 | Weblog

先日のコーチェラのライヴで、

ギタースマッシュ(ギター破壊)を行ったアーティストがいたらしくて、

その行為が賛否両論を呼んでいるらしい。

そうかー、と思う。

昔なら「賛」はあっても「否」の意見はあまり、なかった気がする。

「否」の意見が出るのはもしかして、

近年はヴィンテージだけでなく、ギター全般の価格が上昇してるから・・・かな?

まあ、値段だけの問題じゃないかもね。

ギター破壊と言えば僕らの世代では一番先に思い出すのが

ザ・クラッシュの名盤「ロンドン・コーリング」のジャケット写真である。

あれはポール・シムノンで、だからギターじゃなくてベースなんだけど、

美しい。

クラッシュはしかし、あんなこと頻繁にやってたわけではない。

ギター破壊を最初にパフォーマンスみたいにして頻繁にやったのは

その だいぶ祖先の、ザ・フーだ。ピート・タウンゼントだ。

そしてギター破壊の、歴史に残る名パフォーマンスはジミ・ヘンドリックスの

モンタレー・フェスティバルでのライヴだ。1967年だったかな。

録音されていたものがレコードになったし、

フィルムで撮られていた映像は後に映画にもなった。オーティス・レディングの名演と共に。

今見ても、ジミのあのパフォーマンスは奇蹟的に完璧だ。すご過ぎる。

 

もう、覚えちゃうくらい何度も動画(当時は映画のヴィデオ)を見たので、

思い出しながら実況中継してみる。

 

この日のライヴの最後の曲、その終盤、ギターにキスして床に置いて、ハウリングの音が

鳴りっぱなしのギターに、ジミはジッポーオイルを小便のように振りかけて

マッチ(!)でゆっくりと火をつける。

メラメラとオイルが燃えて、ギターが燃えてるように見える。

いや、そのまま放っておいたらギターが燃え出しただろう。

そして、床に叩きつけて、破壊する。

ドメスティックヴァイオレンスを目撃したみたいな感じ。

いちばんすごいな、と思うのが、これやってる間、シールドが抜けてないので

ノイズやハウリング音が大音響で鳴り響いたまま続く。

マーシャルアンプと、ずっと繋がったままなのだ。

だからまるでギターが悲鳴を上げてるみたいに見える。

叩きつけたら「ピー!」みたいな悲痛な音がする。

本当に・・・・ギターが殺されてるみたい。

これでシールドが抜けてないのは奇蹟だ。ご存じのようにwシールドって、抜けやすいのだ。

抜けると「無音」になって、何のこっちゃわからない。

耳をつんざく轟音の中で行われるからこそこの「儀式」は、意味があるのだと思う。

で、ジミが何度も何度も叩きつけたら最後にはギターが折れる。

やってみたらわかるのだけど、ギター折るのはなかなかチカラが要るのだ。

(僕は恥ずかしながらステージで、かなり昔、やってみたことがあるのです。)

後年のリッチー・ブラックモアは、ギター破壊パフォーマンスにおいては、

のこぎりで「切れ目」を入れたギターを折っていた、という話がある。

多分本当だ。

しかもそれは日本製のギターだったそうだ失礼な。

まあいい。

そんなこんなで、1967年のジミヘンのパフォーマンスは完璧だ。

観客席も映るのだが、多くの人々が、かなり「引いて」いる。

やってることが理解の範疇を超えている、そういう表情。

 

そして もし、現代にあれ、やろうとしても、消防法とかで、絶対できない。

出入り禁止になるか、捕まるかどちらかだ。

今となっては・・・ギターに火をつけ、破壊するパフォーマンスは、一種の夢だ、幻想だ。

関西弁で言うなら、「ありえへーん」だ。

 

えーっと俺も、

ギターは大事に扱おう、と思っている。

火をつけたり、破壊するなんて、とんでもない、恐れ多い。

 

・・・っていうのは嘘。

 

1967年の時点ではあれは意味があったが、

2024年の今となっては・・・・・どうなのかな。

でもまあ、「賛否」がある、ってのはいいことだ。

いくらヴィンテージのギター叩き壊そうが、火をつけようが、

のこぎりで「切れ目」を入れようが、

・・・・・それを誰も気にしなくなったら終わりだもの。

 

 

 

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