夜は怖い

2010-02-25 20:20:37 | Weblog




「夜は怖い」と言ったのは

ずーっと前にNHKラジオの「朗読の時間」で聞いた、

ある小説(か、エッセイ)の主人公だ。

そのひとは盲目で・・・・・

何かの和楽器のお師匠さん。

ある日の真夜中に、琴(か何か)の弦がひとりでに切れて、

それで親しかったひとの死を知った、という。

そのひとの台詞。

「私のような者に、昼も夜もないだろうと

思われるかも知れませんが、盲目の者でも、夜は怖いのです」


作品名も作者名もすっかり忘れてしまったが、

ものすごく印象に残っている。



十数年前なのだが(もう20年近いか・・・)、配達の仕事をしながら

よく、そのNHKの「朗読の時間」という番組を聞いた。

土曜日の朝10時からだったかな。今はもうないはず。

いろんな朗読があって面白かった。

一時、宮沢賢治の作品を取り上げていた時期があって、

俺はそのラジオで初めて、「なめとこ山の熊」と

「土神ときつね」を知った。

この2編は・・・知ってる人は知ってるだろうけど、

宮沢賢治童話の極北、とでもいうべきものである。

暗く、重苦しく、ハードで、救いもない。

(「救い」は・・・ある、と言えばあるけど。)

20代の俺は既に「宮沢賢治好き」なつもりでいたのに、

知らない作品のなかに、こんなに凄いものがあると知って、

衝撃を受けた。


軽トラックを運転しながら本当に、

目を覚まされたような、

アタマをはたかれたような、

ほっぺたに張り手を喰らったような、


気分になったのだった。


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