my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

睦月二日

2006-01-30 17:00:55 | 日々のこと

 昨日1月29日は、旧暦の元旦でした。そんなことちっとも
意識してなかったのですが、hinataさんの「ほとりの音」
立ち寄った際に知り、その後でカレンダーを見たら、
ちゃんと書いてありました。

 旧暦元旦

 もう一度、新しい気持ちで、新しい年を始めるような、
というのはちょっと無理ですが。それでも、二度めの
「元日」にふさわしい出会いがあった1日でした。

 
 出会いの場所は、池袋西武百貨店内の書店リブロ
その昔、西武池袋線沿線の学校へ通い、その近くに住んで
いたこともあるので、とても馴染み深く、とても懐かしい
場所でした。K市に住むようになり、子どもを持つようになっ
て[わざわざ」出かける回数がめっきり減っていたのが現状
でしたが、昨日は久しぶりに、本当に久しぶりに、リブロと
その周辺を「楽しみ」ました。
 K市にも、書泉ブックドームなどちょっと大きい書店も
ありますが、でも、やっぱりリブロはよかったなあ。

 酒井駒子さん作『ゆきがやんだら』

その原画を(数枚でしたが)見ることができたのです。
たまたま、廊下のような(失礼・・)ギャラリーで、原画展
というのをやっていて。
 原画を見る前に、絵本のほうも丹念に立ち読みしました
が、やはり本物に勝るものなし、で。
うさぎの男の子が、雪が降り始めたベランダに出て、
雪だまをひとつ作る場面の、雪のあるところの「明るさ」と
ないところ(降りかかってこないところ)の「暗さ」の
感じとか。雪でぼっーと霞んで見える集合住宅の壁の色とか。
それはもう見事でした。素敵でした。できることなら
お話が始まる前の「扉」に描かれた、飛び立つことができない
でいる飛行機の絵が見たかったです。(ほんとは全部の絵が
見たかったですが)

 酒井駒子さんの絵に、魅了されました。

 もう1冊。こんな本も見つけました。
『こうちゃん』 須賀敦子・文 酒井駒子・絵

 とてもその場で読んでおしまい、というふうには
できそうもなく、睦月元旦のお祝いに(?)、ぜひ買って
帰りたいと思う本でした。でも、その後も色々本を見て
いるうちに、とっても暑く、とっても疲れてきて、もう
今日は限界と、買うのを忘れて帰ってきてしまいました。
(初めて読んだ『ねこのシジミ』和田誠作もおもしろかった
ので、近々両方買おうと思います)

 
 睦月二日目。3月上旬のような、暖かい陽が暮れていく
午後に想ったことでした。


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ふわふわに包まれて

2006-01-28 15:22:51 | 好きな絵本
冬は、小さな虫たちにとって、とても厳しい季節です。
やなぎむらの虫たちは、ちゃんと冬を越すことができるのでしょうか。
 やなぎむらの冬のおはなしは、こちら。
ふわふわふとん 



『ふわふわふとん』

カズコ・G・ストーン 作
    




 やなぎむらの住人たちは、秋の嵐で散ったやなぎの葉を集めて、
やなぎハウスを作り、カメキチおじいさんから話してもらった冬に
備えていました。しかし、落ち葉の家は、すきま風が多く、寒い
のです。そこで、みんなで、あたたかいおふとんを探しにいくことに
しました。 
 霜柱の上に、取り残されてしまった、はさみむしのチョッキリさんを
助けてあげたことから、とてもいい「ふとん情報」を教えてもらうことが
でき、みんなはしげみむらのやぶの中へとでかけます。

 チョッキリさんが教えてくれたのは、ががいものたね、でした。 
ががいものたねってなんだろう? 
それがどうして、あたたかいおふとんにかわるのだろう?

ストーリーを辿るのとはまた別の、好奇心が刺激されます。  

 もう何度も、このシリーズを読むたびに考えていることですが。
やなぎむらの魅力ってなんなんだろう?とまたしても思いました。 
たしか、前回の
『きんいろあらし』について書いたとき、虫たちが
ピンチ!の場面に遭遇した時に、それを助けてくれる小動物の
存在ということを書きました。
 『ふわふわふとん』の中でも、どんどん降ってくる雪で、
虫たちがぼっーと白くなってしまい、もうだめだという場面で、
のねずみのチューペイさんが現れ、助けてくれます。  
 虫たちの世界を描きながらも、虫たちだけで完結することなく、
さりげなく登場する動物たち。それは、人間は人間たちだけで輪が
閉じているのではなく、この地に生きているものはみな、もっともっと
大きな輪の中で、みんな一緒に生きているのだということに、
繋がっていっているような気がするのです。  

 それと。やなぎむらに登場する虫や動物が魅力的なのは、
一匹一匹に名前が(それも洒落た)ついているからだと思うのです。

たとえば、かたつむりのキララさん、ばったのトビハネさん、などなど。
(やなぎむらには出て来ませんが、こうもりのゆうぐれさん、なんて
とっても素敵です。ちなみに、ゆうぐれさんは『しのだけむらの
やぶがっこう』に登場します)名前で、呼んでいくというのは、
とても大切なことだと思います。

 ところで、ががいものたねが、ほんとにおふとんにかわったのか、
とても気になりますよね。もちろん期待とおりの「ふわふわ」が
最後には待っています。けれど、ががいものたねがどうなるのかは
どうぞ本を開いて、見て下さい。その時に、最後の見開きまで
ちゃんと見てくださいね。最初の見開きとは違っていることに気が
着くと思います。(私、絵本の見開きにはちょっとうるさいのです。笑)  

 「ががいものたね」ってそもそも何だろう?と思った方のために
こんな本もあります。
たねのずかんーとぶ・はじける・くっつくー
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青い鳥さがし

2006-01-24 16:00:44 | 好きな絵本

 題名を聞いただけで「その本を好きになるにちがいない」
と感じたのが、『好きな絵本』のちょうど30冊目になる
この本です。


きっとみずのそば

『きっとみずのそば』

石津ちひろ・文  荒井良二・絵






 きっとみずのそば。 きっと、水のそば。

ハッとするくらい新鮮で、心がしんとするような、美しいことば
だと思います。題名だけで、こんなに感心させられちゃって、
その後に、本を作ったのが、あの『なぞなぞのたび』
お二方だと知って、自分の中ですごく納得がいきました。

 お話は、こんなふうに始まります。

 あるひ うちにかえると、
 ぼくの かっている とりのワゾーが
 いなくなっていた。
 そして テーブルのうえには、
 こんな てがみが のこされていたんだ。

 
手紙といっても、1枚の紙に1文字が記されている
カードみたいなものなのですが、そこに書かれていたのが
「き っ と み ず の そ ば 」という8文字。
それがワゾー探しの入口への鍵であると同時に、
実は、お話の結末でもあったりするのですが。

 ワゾーはどこか「みずのそば」にいるのではないか?
そう思ったぼくと、パパが最初にむかったのは、
水のそば、というにはあまりにもでかい(でか過ぎる)
アマゾンがわの ほとり なんです。
ワゾーがなかなか見つからなくって、がっかりしているぼくに
パパが言います。「カヌーを作ってみようか?」

 カヌー作りでいい汗をかき、アマゾン川を進んでいくと、
どんどん流されて「ほっきょくに たどりついたみたいだね」
いつのまにか、あったかそうな服を着ている二人。
ここでもパパの提案により、二人は氷の彫刻で大きなワゾーを
作って、またいい汗・・

 氷のワゾーがふわっと飛びたち、二人は今度はアフリカへ。
アフリカからヴェニス、モンゴル、インドへと二人の旅は続きます。

 見知らぬ異国の地をさまよいながら、終始、ワゾーの姿を探し、
名を呼ぶぼくとは対象的に、パパは、ゆったりと旅そのものを
楽しんでいるように思えてなりません。もしかしたら、このパパは
どのページの中にも(どの場所を訪れても)、ワゾーの姿が
どこかに隠れているのを、知っているのでは?と思います。


 ぼくは、ワゾーを見つけることができたのでしょうか。
ワゾーは、ぼくの元へ再び帰ってきてくれたのでしょうか。
ページの中に見え隠れしていた、青いシルエットの鳥は、
果たしてワゾーなのか、否か・・・。

 荒井良二さんが描きわける、アマゾンと、アフリカと、モンゴルの
空と大地の絵を楽しみながら、素敵な結末を、どうぞ手にとって
みてください。きっと きもちが ほっとします。

 



 

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だいじょうぶ だいじょうぶ

2006-01-20 15:15:38 | ひらきよみ(読み聞かせ)
 今年最初の読み聞かせは、6年生のクラスでした。
選んだ本は、この絵本です。


だいじょうぶ だいじょうぶ


『だいじょうぶ だいじょうぶ』
       いとうひろし作





 ほんとうは、というか、最初は『ラチとらいおん』を読もうと決め
ていたのです。が、 「絵本日記」のみぃさんが書かれた記事
読んでいるうちに、どうしてもこの絵本を読んでみたくなり、
実際に自分で読んでみたら、今度は、6年生の前で
読んでみたくなったのです。

 おはなしは、ぼく おじいちゃん と過ごした日々を
すこし大きくなってから回想しているふうにすすんでいきます。

 成長していくということは、ほんとうにこんなことの連続だな
と思うことばかり。

 たとえば、新しい発見をすれば、それがこわいことや
困ったことに通じる場合もあるし、(絵では、大きな石を
持ち上げてみると、その下に蛇がいて驚かされます)
 わあ、と思って見上げていただけの飛行機も、
空から落ちることがあるという事実も知らされます。

 なんだか、このまま おおきく なれそうに ないと、
 おもえる ときも ありました。

 
そんなときに、おじいちゃんのおまじない、魔法の言葉。
それが 「だいじょうぶ だいじょうぶ。」 

 
何度も何度もその言葉を繰り返すうちに、ぼく の中で、
こわいものを克服する勇気や、学ぶ意欲、出会いへの期待
などが育まれていきます。

 私自身も、かつてその言葉から数え切れない支えを受け、
そして今、自分の子どもや、自分自身に対しても
気づかぬうちに(時には日に何度も)口にしている言葉です。
「だいじょうぶ、だいじょうぶだよ。」


 何度もこの本を読んでいるうちに、思いました。
ラチにとってのりんごと、この「だいじょうぶ」という言葉は、
まったく同じものなんだなあって。(『ラチとらいおん』は、
今学期中もう一度回ってくる6年生のクラスで、読むつもりで
いますので、そのときに詳しく書きたいと思っています。)

 読み聞かせの時の絵本は、あまりメッセージ性の強くない
ものがいいと思っていますが、卒業式が近くなると、
どうしても6年生には、「力が入って」しまいがちです。
 みんながナーバスになる時期だからこそ、からっと笑える
ような本のほうが、いいのかもしれないなあとも感じています。

 でも、親しんだ小学校をもうじきはなれていっても、みんななら
「だいじょうぶ、だいじょうぶ」という老婆心(?)が、つい
働いてしまうのです。
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留めておきたい言葉・ことば

2006-01-19 15:05:55 | 好きなもの・音楽や本
 龍平さんが考えていると、おばあさんがひっそりと
いいました。
「写真の一枚一枚に、家族や写す人の、かけがえのない人生
があるんですよね。写真を撮る時には、心をこめて、
写してくださいね。」
 龍平さんは、その言葉に、胸がちくりと痛みました。

 これは『アンソニー はまなす写真館の物語』
      茂市久美子・作  黒井 健・絵
   アンソニー―はまなす写真館の物語の中の最後のおはなし、「ザシキワラシ」の一節です。

写真館の5代目となった龍平さんが、
初代嘉平さんに写真を撮ってもらった
ことがあるという、おばあさんの写真を
撮りに行った際に、そのおばあさんから
言われた言葉です。








 手に関わる事は、理屈の方でなくて、心の方にほんのりと
 暖かさを伝えてくれる。そして体を緩めてくれるのではと
 思います。

 これは、原毛から作ったフェルトで、作品制作をされている、
溝口恵子さん が、コメントの中でおっしゃっていたのですが。

第2回目の「工房からの風」に出展者として参加した際、
隣のショッピングセンターで、セールが行われていたとのこと。
でも、溝口さんのテントに寄られた方が
「優勝セールで、安売り!!って横で、
こんなイベントがあるってなんだかいいね。ほっとするね。
いいもの見せてくれてありがとう」と言葉をかけてくれたそうです。

 そのエピソードを教えてくれたあとに、添えられていた
ことばです。


 そのままにしておくと、私の心のどこかで埋もれてしまう
かもしれず。埋もれさせてしまうには、あまりにも惜しい
言葉やことばの数々を、こんなふうに記していきたいと
思います。
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作者別(あいうえお順)・あ行「う」「え」「お」

2006-01-17 17:34:18 | 作者別(あいうえお順)

う ウイリアム・スタイグ  ゆうかんなアイリーン  
              歯いしゃのチュー先生
              ロバのシルベスターとまほうの小石
  ウィル・モーゼス    めりーさんのひつじ
    ヴェルマ・ウォーリス  ふたりの老女
  植田真         マーガレットとクリスマスのおくりもの
              おやすみのあお
              とおいまちのこと
  上橋菜穂子       守り人シリーズ
              風と行く者
              鹿の王
              水底の橋
  ヴォーンダ・ミショー・ネルソン ハーレムの闘う本屋
  内田莉莎子       パンのかけらとちいさなあくま
              なんでも見える鏡
              ゆきむすめ
  内田麟太郎       とってもいいこと
  宇野和美        まめつぶこぞうパトゥフェ
え エイミー・デ・ラ・ヘイ おしゃれなクララとおばあちゃんのぼうし
  エウゲーニ・M・ラチョフ  てぶくろ
  エヴァ・ビロウ     フィリッパ・ラズベリーのうた
  江國香織        雪だるまの雪子ちゃん
              がらくた
              抱擁、あるいはライスには塩を
                   彼女たちの場合は
               ぬるい眠り
  エズフィール・スロボドキーナ おさるとぼうしうり
  エミリー・ジェンキンス とびきりおいしいデザート
  エリザベス・ジョーズ スピア ビーバー族のしるし
  エリザベス・ローズ   ウィンクルさんとかもめ
  エリック・カール    はらぺこあおむし
  エルサ・ベスコフ    ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん
  エルゼ・ヴェンツ・ビィエトール クリスマスのてんし
お おいかわけんじ     ねこのセーター
  太田大輔        まげすけさんとしゃべるどうぐ
  大塚勇三        四人のなまけもの 
  大槻あかね       けいとだま
              
  おおのやよい      じょうろさん
  大野八生        庭のたからもの
  小川洋子        ことり
              猫を抱いて象と泳ぐ            
              薬指の標本
              口笛の上手な白雪姫
              約束された移動
    奥井ゆみ子       サンタクロースのすてきな道具の絵本
  長田弘         森の絵本    
              森の絵本(ひらきよみ)
                             アメリカの61の風景
              ことばの果実
              水の絵本
  おざわとしお(再話)  かちかちやま
  小薗江圭子       モザイクの馬
  越智典子        おひさまがしずむ
  小野かおる       はるかぜ とぷう  
  小野寺悦子       もじもじこぶくん
  恩田陸         祝祭と予感

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作者別(あいうえお順)あ行・「あ」「い」

2006-01-17 14:40:54 | 作者別(あいうえお順)

本の題名から、ブログ中の記事へリンクしています。
好きな絵本・思い出の絵本・読み聞かせ・好きな本・ すべてこちらから。(好きなもの・日々のこと・の中でちょこっと書いた本も含めています)


あ 赤羽末吉        おおきなおおきなおいも
  朝井まかて       グッドバイ
              恋歌
              残り者
              ぬけまいる
              悪玉伝
              すかたん 
              落陽
              花競べ
              草々不一
              福袋
              落花狼藉
              
              輪舞曲
  浅田次郎        一路
              流人道中記
  アーシェラ・K ル=グウィン 空飛び猫
                 帰ってきた空飛び猫
                 素晴らしいアレキサンダーと、
                  空飛び猫たち   
                              空を翔けるジェーン

                 いちばん美しいクモの巣  
                 ギフト
                 ヴォイス
                 パワー
                 どこからも彼方にある国
  アーノルド・ローベル     ふたりはいつも
  アーマ E.ウェバー      じめんのうえとじめんのした
  アヌシュカ・ラビシャンカール ここってインドかな?
  あべ弘士        ゴリラとあそんだよ
              宮沢賢治「旭川。」より
  あまんきみこ      ひみつのひきだしあけた?  
              ひみつのひきだしあけた?(ひらきよみ)
              きんのことり
                父さんのたこはせかいいち
  天野祐吉        絵くんとことばくん
              のぞく
   荒井良二        はっぴぃさん        
              バスにのって   
                           バスにのって(ひらきよみ)
              バスにのって(2回目3回目
              ルフラン ルフラン2
              ユックリとジョジョニ 
                            にせにせことわざずかん
               たいようオルガン
              みちくさ劇場
              MELODY
                          きょうというひ
                クルヨ・クルヨ
              あさになったのでまどをあけますよ
  
嵐山光三郎       ピッキーとポッキー   
  アラン・ベネット    やんごとなき読者
  アリス・ウォーカー   なぜ戦争はよくないか
  アリス・マクレラン   すてきな子どもたち
  アリスン・アトリー   クリスマスのちいさなおくりもの
  安房直子        初雪のふる日
    アンドレア ユーレン   メアリー・スミス
  アントワーヌ・ローラン 赤いモレスキンの女
  アン・ブラッシェアーズ セカンドサマー
              フレンズ・ツリー
              トラベリング・パンツ

    安西水丸        青豆とうふ
              がたんごとん がたんごとん
  アンネ・エルボー    ちいさなしんぱい   
  安野光雅        あいうえおの本   
                         しりとり
    アンヴィル奈宝子    ラスチョのひこうせん
  アン=ロール・ボンドゥ 殺人者の涙
い イ ヨンギョン     あかてぬぐいのおくさんと7にんのなかま
  飯野和好        ドン・ローロのつぼ
  伊坂幸太郎       AX
              砂漠
  石井睦美        卵と小麦粉それからマドレーヌ
              群青の空に薄荷の匂い 
  いしいしんじ      雪屋のロッスさん    
              みずうみ
              熊にみえて熊じゃない
  いしいももこ      くいしんぼうのはなこさん
              きんいろのし
              幼ものがたり
              いっすんぼうし
  石亀泰郎        イエペはぼうしがだいすき
    石津ちひろ       きっとみずのそば
              きっとみずのそば(ひらきよみ)
              ハナちゃんとバンビさん
                なぞなぞのたび
              いとしい小鳥きいろ
              サーカスのしろいうま
              あいさつってたのしい
                あしたのあたしはあたらしいあたし
  池澤夏樹        キップをなくして
              双頭の船
  池田ゆみる       坂の上の図書館
  伊勢英子        ふたりのゴッホ

              ルリユールおじさん 
              大きな木のような人  
              チェロの木        
  イチンノロブ・ガンバートル   トヤのひっこし
    いとうせいこう     想像ラジオ
  いとうひろし      だいじょうぶだいじょうぶ     
  伊藤比呂美       月にあいにいったアギサ 
              閉経記
              たそがれてゆく子さん
  稲垣早苗        手しごとを結ぶ庭
              北欧の和み
  井上コトリ       ちいさなぬま
  イヴ・ライス      おやすみなさい
  イブ・タイタス     ねずみのとうさんアナトール
  イフェオマ・オニェフル おとうとは青がすき
  今江祥智        ぽけっとくらべ
              よる わたしのおともだち
  今森光彦        みずたまレンズ
  イム・キョンソン    村上春樹のせいで
  いわむらかずお     14ひきのおつきみ

 

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このブログについて

2006-01-17 14:40:02 | このblogについて
   my favorite things  

  私の好きなもの、と名づけたこのブログも、開始から半年が
経ちました。紹介した絵本も50冊を越え、書いた自分自身も
どんな本があったかなあと思ってしまうことも度々。

過去の記事に興味を持ってくださる方がいるかもしれないとも
思い、作者別のインデックスを作ることにしました。

カテゴリーから作り直せばいいのでは?とも考えてみましたが、
今の、おおざっぱな分け方が気に入っているので、
このままおいておくことにして。

 『好きな絵本』は、自分の好きな絵本
 『思い出の絵本』は、おもに娘が小さかった時に、
           二人で読んだ絵本
 『読み聞かせ』は、小学校の図書ボランティアで、
          読み聞かせの時間に読んだ本
 『好きな本』は、文字中心の本

作者別インデックスは、 作者別(あいうえお順)の
それぞれの【行】のところをごらんいただければと思います。
コメント (6)
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家具になっても・・・

2006-01-16 15:54:30 | 好きな本

 はい。またまた「つるばら村」のお話です。

 今度の家具屋さんのお話からは、挿絵の方が柿田ゆかりさん
という方に変わり、舞台もくるみさんの「三日月屋」から、
青木林太郎の営む「青木家具店」に変わります。
林太郎さんのご家族は、奥さんの美樹さんと、5歳の幹太
(かんた)君です。

 ほんとはいけないことなんでしょうが、私 先に、あとがき
を読んでしまったのです。挿絵が変わったことに何か理由が
あるのかなあ、なんて思って。そしたら、とっても素敵な
エピソードを、知ってしまいました。本文は、本文でもちろん
すごく楽しいファンタジーに仕上がっているのですが、
あとがきは実話なので、「ほんとうの重み」の分だけ、
もしかしたら、いい話かもしれません。

 それは、青木林太郎さんのモデルとなった、岩手、岩泉町の
家具屋さん、工藤宏太(こうた)さんとの出会いのきっかけ
となった話です。

 工藤さんが、クリの木を丸太で買い、製材したところ、
中から子グマのミイラが出てきたという記事が、インテリアの
情報誌に載っていて。茂市さんは、工藤さんの工房を尋ね、
詳しい話を聞いたそうです。(以下カッコ内はあとがきからの
写しです)

「木の幹に、枝のつけ根が腐ってできた穴があり、その穴に、
どうしたわけか、子グマが入って出られなくなってしまった。
そうして、幹が成長するにつれて穴がふさがり、その結果、
子グマは、木の中に閉じこめられてしまったらしいのです」

「穴の外側の年輪から推定して、子グマは、クリの木の中で、
百年あまり眠っていようです」

「クリの木は、タンニン分が強く、それが防腐剤の役目を
はたしていたのだろうといいます」

 このお話を工藤さんから聞いて以来、茂市さんの木に対する
見方が変わったそうです。

クリの木が、かわいそうな子グマを、だれか心やさしい
人が見つけだしてくれるまで、まるでおなかの子どもを
いつくしむ母親みたいに、幹の中にいだきつづけたように
思ったのでした。

 
さらに、工藤さんについても、
「工藤さんは、無垢の木をなるべく切り刻むことなく、
樹齢三百年の木は、家具になってさらに三百年生きるようにと、
家具を作っています。」と書いてあります。


 ね。素敵な話、素敵な家具屋さんですよね。
こうして、生まれた「青木家具店」のお話も、つるばら村の
自然の中で育まれた木と、その木に対する人たちの思いを、
存分に生かしています。

 

 この本に出会ってから、(今さらですが)私の、木と、
その木から生み出されたものに対する見方が変わってきたのを
感じています。


つるばら村の家具屋さん               



『つるばら村の家具屋さん』





 子グマのお話はこちらです。
クマのたんす


『クマのたんす』

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初あせはマイアヒで♪

2006-01-14 18:49:39 | 日々のこと
 12月の半ば過ぎくらいから、3週間以上休んでしまった
エアロビクス。今日、久しぶりにレッスンに行ってきました。
今年の初汗・はつあせ?です。

 45分間の「やさしい」クラスだったのですが、
途中ちょっと息切れの場面も。
でも、♪のまねこ♪で踊れる(動けるですが)なんて、
めったにあることではないので、楽しかったです。
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一新!

2006-01-13 15:12:22 | 日々のこと

 むかしから、リネンという言葉が好きでした。
それが、亜麻の繊維を原料とした織物の総称である、
ということを、たぶん、知る前から。

 リネンは、英語で、リンネルはフランス語なんですよね?
(自信なし)

 カトラリーという言葉にも憧れましたね、なぜか。
あ、ファブリックっていうのも結構好き。逆に、深い意味も
恨みもないのですが、ランチョンマットは、なるべく
舌にのせない言葉にしています。


 さて、今日の本題。
 
 ずっと前から、時間ができたらやりたかったことのひとつに、
ファブリック類の一新!というのがありました。要は、
くたびれてきたカバー類の交換なのですが。
ピローケース(枕カバーのことですね)、クッションカバー
(といっても、座布団のほうなんですが)、テーブルクロス。
この3箇所というか、3部門・・・。

 素敵なお店に行って、素敵な品物を選ぶことができたら、
それはそれでステキでしょうが、初めからそれは頭になく、
生地屋さんへ家族ででかけました。今使っているものも、
手分けして作ったものなので、何の迷いもありません。

 色々3人で検討した結果。
夫と私の枕カバーは、それぞれが好きなストライプを選ぶ。
(ただしシーツの色に合うようなクリームもしくはイエロー系)
リビングで使う座布団4枚は、濃い茶色地に白のドット模様。
でも直径1センチくらいの円の真ん中は抜かれているので、
水玉模様というほどでもなく、適度に?目がチカチカする
くらい。(これななんと210/m円の生地なので、4枚のカバーが
驚く値段でできました。)
 テーブルクロスは、悩んだあげく「インド綿2m」という
ワゴンの中から選びました。ぜひ今度こそリネンを、の私の
願いは叶わず。けれど、食卓のクロスはすぐに汚れてしまう
ので、また機会を待つことにしました。

 直線裁ちのものに、ダダダァーとミシンをかけるのが好き、
という夫が、(器用で、几帳面な山羊座の人は、何を
やらせてもうまいです)わずか2日でカバー類は作って
くれました。なので、私に残されている作業は、
新しいクロスに
合わせた、3枚のマット作りです。

 今使っているものも、かれこれ4年前くらいに、覚えたての
パッチワークを駆使して、私が作ったものなのですが。
拙い、ちくちくの針目の間に、私だけが知っている、私だけの
当時の悩みがちくちくと・・・。

 もうそんなにその時の悩みを引きずっていないので、
「悩んだ記憶」だけがそのマットを見るたびに思い出されて
くるのですが。新しいものに、一新!したからといって、
すぐに消えてなくなるわけではなし。

 でも、新しいマット。素敵に仕上がる予感が(予感だけが)
今からとってもしています。 

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山羊座の男たち

2006-01-12 15:29:53 | 日々のこと

 本日1月12日は、作家の村上春樹さんのお誕生日です。
確かめたところ、1949年生まれ、ということなので、
なんと57歳!ですねえぇ。はあーっ。私なんかにため息
つかれたくはないでしょうが、「57」という数字は結構重みが
ありますよね。いい年を通り越して、社会を担う重鎮の年齢。
小学校の教頭先生の年頃、のイメージ・・・。もちろん、
春樹さんは、そんなことちっとも気にしていないだろうし、
年齢で、人を社会に位置付けることを、とっても嫌がる人です、
きっと。
 
 たぶん、今はまだボストンにお住まいですよね。どこかの
レストランを予約して奥様と二人、お誕生日ディナーかな。
ジャケットにシャツ。でも、白いスニーカーを履いている
でしょうか。

 「お誕生日、おめでとうございます。」


 1月12日生まれといえば、実は私の父がそうでした。
過去形なのは、昨年別の世界へ逝ってしまったので。
 
 村上春樹と自分の父親。
この二人の誕生日が一緒だと知った時には、「複雑な気持ち」を
通り越して、「見なかったこと・知らなかったこと」にしたい
くらいでした。
 
 なぜって。
 なにしろ、私は「春樹贔屓」。そして、父への気持ちは
少女期の屈折を抱えたまま。そんな二人がおんなじ日に
生まれているという事実は、単なる偶然、とわかっていても、
二人を、
『まったく違った時期・方法・方向からだけれど、
私という人間の形成に、影響を与えた人(男と言い換え可)』
というふうに、言うこともできるわけです。
 そんなふうに、父と春樹氏を、自分の中で結びつけてしまう
こと、それ自体に嫌悪したりしていたのです。

 それは、そうと。
 
 晩年の父は、自分の誕生日にこだわっていました。
私が子供の頃は、父の誕生日がいつなのかも知らないくらい
(ひどい娘と思われてもしかたありません)誕生日は、
普通の日扱いでした。でも、ここ10年くらいでしょか。
孫たちのお誕生日会のように、自分の誕生日にもケーキを
買って、みんなを呼んでお祝いしよう(夕ご飯を食べよう)
というふうになったのは。

 いつの年だったか。1月12日当日は、みんなが集まることが
難しいので、その翌日の、休日にしよう、と私が言ったのです。
そしたら「この年の1月12日は、その日いちにちしか
ないんだよ」と言い、持ち越しを渋ったことがありました。
 私は、すぐに妹に電話して「こんな子供みたいなこと
言ってるんだよ」と二人で笑い合いました。(その翌年に、
みんなで夕飯
のテーブルを囲めたのか、それとももうテーブルに
つけずに、ベッドでケーキを食べたのかははっきりと
思い出すことができません。ひどい娘だと自分を責める理由は
ごろごろ転がっています)
 
 融通のきかない人。少々偏屈な人。

 真面目で几帳面な部分が、私には、長い間、そう見えていた
のかもしれません。誕生日にこだわったのは、もしかしたら、
あと何回もその日を祝うことができないと、どこかで目に
見えない小さな虫が、知らせていたからなのかもしれませんが。


ところで、日にちこそ違いますが、私の夫も、山羊座なんです。

 


 

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私のしんぱい

2006-01-11 17:10:53 | 好きな絵本

 すこし前に『すきまの時間』という絵本を知りました。
ベルギーに住むアンネ・エルボーという女性の方の作品です。
 タイトルがとっても素敵だなあと思いました。早速
図書館で借りて読んでみて、また次に、もっと作品が
知りたくなって、この絵本を借りてきました。


ちいさなしんぱい


『ちいさな しんぱい』





 写真ではよくわからないかもしれませんが、表紙に描かれて
いるのは、くまの アルシバルドです。

 ある朝、アルシバルドが目を覚ますと、頭の上に小さな雲が
浮かんでいました。題名の「ちいさな」と「しんぱい」の間に
描かれている雲です。
 
  まゆげの うえにある くもは、
   くまの アルバルドの
  ちいさな しんぱいに なりました。

 その雲は、一日中、アルシバルドがどこへ行ってもついてきます。
どうにかその雲から逃れよう、離れよう、忘れようと色々な方法を、
試してみるのですが、
 
  くもは、ついてきます・・・     「たすけて。」

 
 
アルシバルドの頭の上にある小さな雲は、絵で見るとおり、
「ただの小さな雲」に(も)見えます。(最後に雨を降らせることが
できたのだから、ほんとにただの雨雲かもしれません)
でも、「深読み」してみるとそれはただの雲ではなく、雲の形をした
不安、なのではないか、と思うこともできるわけです。目覚めて、
あれ?っと思い、その雲を認識した時から、それは彼の「心配」
になっていく。でも、もしかして、心のどこかにあった不安なものが、
雲という目に見える形になって現れたのだとしたら? 

 好きなものを食べてみたり、息を吐き出したり。
「ちいさな雲(の形をした心配)」から逃れるために、アルシバルドが
取る行動は、私たちが憂鬱な気持ちや、漠然とした不安から
脱しようとする時に、よく似ています。

 でも。
 アルシバルドのお話の結末は、彼が泣き出し、雲も泣き出し。
そして気がつけば雲はどこにも見当たらず。

   くもが いなくなって、
   ちいさな しんぱいも なくなりました。

 
ということは、やはりアルシバルドにとっては、雲そのものが
「心配の種」であったわけで、彼の中の漠とした不安が、雲という
目に見えるものの形をとっていたわけではなかったのです。

 愛らしいくまの、愛らしいちょっとしたお話・・・
 だったのかもしれません。

 しかし。
 
頭の上にあるちいさなくも、雲の形をした不安な気持ち、憂鬱の種。

それを生み出しているのは、私自身の心にほかならず、それから
解き放たれる方法を模索するのも、解決していくのも、私自身なのだ
ということを、このアルシバルドの絵本は教えてくれているように
思えてなりませんでした。

 なんかちょっと気になることがあった時。
 なんかちょっと気後れするような場面にあった時。
 なんかちょっと人を羨んでいる自分に気づき、憂鬱になった時。

頭の上にぽっかりと浮かんだ雲を思い浮かべることにします。
そして、それがどこまでも、どこまでもついてこようとても、
最後にはきれいに消えてなくなるように、イメージを広げて、
まずは大きく息を吐くことから試してみようと思います。


 
 この絵本が、私に多くのことを考えさせたのは、アンネ・エルボー
さんの絵のせいだったのでは?と思います。
縦、横27㎝という大判な画面に、あるページでは、木の幹に
しがみつくアルシバルドが左側に大きく描かれ、右側にはたった
一言「たすけて。」だけ。また、別の見開きでは、木陰に置かれた
木のテーブルと倒れた椅子。なだらかな丘に沿って鼻を前に
突き出した格好で横たわるアルシバルド。丘は真っ赤に
塗られていて、テーブルと椅子には影が描かれています。
空は白いのに、なんだか夕方みたいなんです。

 アンネ・エルボーさんの絵、ほかの作品。
 とっても気になっています。



 

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仕事始めに思うこと

2006-01-10 16:46:55 | 想うこと

 朝。まだ薄暗いのに目覚まし時計が鳴ったので驚き、
窓を開けたらうっすらと雪が残っていたことに、
また驚きました。

 
 今日が3学期の始業式、私の仕事始めの日でもあります。

 年のはじめに思ったこと。今年一年間の指針となるような
こと。なんとなく書いておきたいなあと、思っていました。
(頭の中で思っているだけではすぐに忘れてしまので。)

 最初に思いついたのは『1日1回、声に出して笑うこと』。
次にコメント欄に記しながらつらつらと『前向きな気持ちで。
自分の心が求めることに素直に。軽いフットワークで
出かけよう』。
 そして、今日久しぶりに自分の仕事に向かい合って
『せかせかするのをやめる』
『文字はゆっくり丁寧に書く』という大事な2つのことを、
思いつきました。

 だいたいの場合、私はいつも急いでしまうのです。
思いついたら、その新しく加わった思いつきを、今まで色々
思っていたことや、やらなければならないことの間に、
入れていかなければ、と思ってしまうし、また入れなければ
自分の気持ちが済まないのです。たとえ、やることがたくさん
あり過ぎても、思いついたことが「消えてなくならない
うちに」、自分の予定に組み入れてしまいたいのです。
そのために、いつもいつも急いでいる感じ。他の人からは
そうは見えなくても、自分の気持ちの中は、常にせかせか
しています。


 もし、1~7の事柄で、思っていることも、やらねばならない
ことも、やりたいことも「いっぱいいっぱい」になっている
のなら、新たに思いついた8番目の事柄は、無理やり1~7の間に
入れないで、余裕を持って後回し、「別の1番目」にしていこう
と、思います。そうでないと、1~7までの事柄も思っていた
ようには(結局のところ)できなくなってしまうので。

 字を書くのもそれと同じ。PCを使って済ますことができる
ものはいいのですが、実際に自分で字を書く時、とっても
ひどいことになっています。仕事の時も、そうでない時も、
後から読んだ自分がわからない。メモ書きもせかせかせずに
したいものです。

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【つるばら村】のものがたり・続き

2006-01-09 00:08:01 | 好きな本
 もう少し、くるみさんのパン屋さん『三日月屋』の話しが
したくって、つるばら村のお話を続けます。

 2作目の『つるばら村の三日月屋さん』では、
くるみさんは、駅前に念願のお店を持つ事ができます。
「赤いトタン屋根の小さなお店」です。
くるみさんが配達に出かける時の店番は、ニボシという名前の
トラネコ。前作の『つるばら村のパン屋さん』・あんこのパン
のところで登場してきます。ネコたちが、つぶしあん、かつおぶし
の混じった生地に、おへそにはサクラの花の塩漬けの代わりに
煮干しを使った、あんパンが好きだなんて、ちょっと
おどろきでした。

 それはさておき、2作目でも、お客さまは意外な方たち。
たとえば、「十五夜のパン」では、「バターロールを五十個
やいてくれませんか。それで、そのパンの生地ですけど、
十五夜のお月さまの光を入れてほしいんです。」と、
アイシャドーをたっぷりつけた女のひとがたのみにきます。
届け先は、月見が原の『レストラン十六夜』、会員制です。
くるみさんのパンを待っていたのは、十五夜の次の夜だけ
レストランをひらくタヌキでした‥。十五夜のお月さまの光
にはふしぎな力があって、その光をいれた料理を食べると、
タヌキの化ける力が強くなるのだそうです。
くるみさんは、パンのお代のかわりに、来年の招待の約束を
もらいました。

 他にも、魔術師のパン・木枯らしのパン・春風のパン‥など、
森やはらっぱに住む動物以外のものたちも、パンを頼みにやって
きます。そんな、お店を持ってからの1年間が『つるばら村の
三日月屋さん』には、12のお話となって描かれています。

 そういえば、なぜくるみさんのお店の名前が「三日月屋」さん
なのでしょう?読んでいなくても、勘のよい人ならすぐに
わかりますよね。くるみさんの得意なパンがクロワッサンだと
いうことが。クロワッサンの形から、お店の名前をつけたの
ですね‥。

 

 3作目にあたる『つるばら村のくるみさん』では、
お店が3年目に入ったところから始まります。

 目次には、前作、前々作同様、七夕のパン・台風のパン・
天狗のパン・などなど魅力的なパンの名前が並んでいますが、
お話の中味は少し異なった方向へすすみます。
ただ、変わった依頼主がやってきて、おいしいパンを作って
もらったり、くるみさんが、変わった体験をするだけでは
ないのです。
 売り上げはあまり伸びず、それが近くの町にできた新しい
パン屋さんの影響ではないかと、くるみさんは悩みます。
そう、ただファンタジーの世界でパンを焼く女の子ではなく、
リアルライフの中で、成長していくひとりの女の人が
この3作目では、描かれているのです。

 ニボシ以外の相談相手として、笛吹き山のブナの森で、
ミツバチを飼っている養蜂家のナオシさんという男の人も
登場します。ナオシさんのところのみつろうを使っている
「青木家具店」の林太郎さんという名前も始めて出て来ます。

 「パン屋さんのくるみさん」は、いまのところ、昨日、今日
とで紹介した3冊でおしまいのようですが、上に出て来た
名前の方たちは、今後つるばら村の別のお話の主役となって
出て来てくれるようです。

 つるばら村のとなりが、ゆうすげ村。やなぎむらのとなりが、
しげみむら。お話にでてくる村の名前は、どれもほんとに魅力的です。

つるばら村の三日月屋さん



『つるばら村の三日月屋さん』









つるばら村のくるみさん




『つるばら村のくるみさん』
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