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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

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2005-10-03 09:20:23 | 思い出の絵本

 飯野和好さんの作品といえば、「ねぎぼうずのあさたろう」が有名ですよね。
他にも「くろずみ小太郎旅日記」とか「おもしろ落語絵本ごくらくらくご」とか
【和】のイメージが強いのでは? と思いますが。私と飯野さんの作品の出会いは、
それとは正反対の【洋もの】シチリアのむかしばなし ドン・ローロのつぼ』という本です。
こどものとも年少版通巻263号、1999年2月1日発行 

 1999年の2月といえば、うちの娘が2歳半頃のこと。まだ早いかなと
思いながらも、年少版のほうを買い始めた頃でした。折り込み付録の
絵本のたのしみの「作者のことば」によると、この話は、『カオス・シチリア物語』
というイタリア映画(パオラ&ヴィットリオ・タヴィアーニ兄弟監督作品。
4編のオムニバスからなる不思議な妖しい物語)の第3話『甕』を
絵本にしたとのことです。映画の中では、「かめ」ですが、それを「つぼ」
としたのは、飯野さんで、それは甕より壺のほうが口の所がすぼまっているから
だそうです。(そこが話の重要な所なのですが) 

 年少版こどものともは、全部で24ページです。ほとんど文字がない、本もあります。
それはそれで、とても楽しいし、「読んで聞かせる」というよりも、
「絵本で一緒に遊ぶ」ことができてよいのですが、たった24ページの中で、
きちんと物語が展開され、しかもちゃんと「おち」までついているこの本は、
とてもすぐれものだと、私は思うのです。
 私自身が物語好きのせいかもしれませんが、たったこれだけのページ数で
よくこの話をまとめたものだと、読むたびに飯野さんに拍手を送ってました、心の中で‥。 

 肝心の中身は、どんなお話かというと。
ドン・ローロはお金持ち(農園主)で、お屋敷に住んでいます。イタリア人なので?
白いスーツに白い帽子もかぶっています。 

 お話は、今年とれたオリーブ油を入れるための、新しい特別注文の壷が、
馬車で運ばれてくるところから始まります。(下の写真の場面)
 ドン・ローロは壷を叩き、その美しく響く音色にうっとり。けれど、その晩、
あやしい くろくもが おりてきて 
壷がまっぷたつに割れてしまいます。
落ち込むドン・ローロ。 
 次の日、隣村から壷を治すことができるというディーマじいさんがやってきます。
ほんとに治せるかどうか半信半疑ながらも、そのじいさんに頼むより他に方法は
ありません。じいさんは、じまんの のりで ペタペタとわれたところを 
ぬって、はりがねで ギュイ ギュイ ぬいつけると
みごとに つぼは
もとどおり。
嬉しさのあまりドン・ローロは、よく状況も見極めず、じいさんに
御礼のお金を渡してしまいます。
 でも、でも、信じられないことにその時、ディーマじいさんは壷の中に入っているんです!! 
(自分が内側にいるまま、縫ってしまったんですね)
 怒り狂うドン・ローロ。出られないのも気にせず、そのお金でみんなと宴会を
はじめるディーマじいさん。 

 ここまでで、もう19ページまで来ています。残り5ページ。お話は急展開し、最後は・・・。 

 
 3歳にもなっていなかった娘がどこまでこの話をわかっていたかは、わかりませんが。
私は、最後の文章を読んだあと、いつも勝手に「でへへ」と付け足していました。
それがじいさんの「せりふ」として、そこに書いてあるかのように。
笑いながら「でへへ」という私につられて、娘も「おじいちゃん、でへへっ
だって」と言ってました。

 最後のページを載せて、その絵を見せたい衝動にかられましたが、これから
手にする方のために、やっぱりやめておきました。ただ、この本は未だ単行本化
されていないので、「おち」を知りたいかたにはこっそり教えます。
 


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8 コメント

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Unknown (jester)
2005-10-03 10:09:04
rucaさん、早速遊びに来ました。

TBもさせていただきました。

またよらさせていただきます~~~
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ようこそ (ruca)
2005-10-03 18:58:41
jesterさん、こんばんは。

早速お越しいただいて、嬉しいです。

絵本もお好きとのこと。



何か「!」と思うような、絵本あったでしょうか?
返信する
お久しぶりです。 (percy)
2005-10-03 22:52:10
コメント残してくださってありがとうございました。

嬉しかったです。



こどものともの年少版もすごくよい作品がいっぱいありますよね。

うちも昨年12月から(なんて中途半端なときだとおもいますよね。。。)購読し始めて早一年を迎える頃となりました。



『ドン・ローロのつぼ』もとてもわくわくしそうなおはなしみたいですね。

またまた、図書館で発掘してもらわなくては!



またいろいろな絵本を紹介してください!楽しみにしています。
返信する
つぼ、さがしてます。 (このはな)
2005-10-04 16:57:18
ここんとこ拝見しておきながら、記事にコメント残してなくてすみません。

ホワイト○○○に掛けてはったのかな?・・・・グラブの話も読ませていただいてましたが、rucaさん、手の具合はよくなられました?

この本とても読みたくて、持ってそうな知り合いに探してもらってます。“オチ”がある話、大好きです。残り5ページの急展開、ん~そこが知りたい!なんとかさがして読んでみます。それでもだめなら、こっそりお願いします。
返信する
年少版 だいすき (ruca)
2005-10-05 16:53:25
percyさん、こんにちは。あいにくの雨で、

保育園へのお迎え大変ですね。



こどものとも年少版、いいですよね。

今でも図書館で見かけると、つい手にとってしまいます。



中味もさることながら、あの大きさというか、形が(正方形に近いような)なんかいいなあと思うのです。



子供が小学生になってみてわかるのは、つくづく「年少版」の頃が大切だったということ。いっぱいいっぱい3人で、楽しんでください。



返信する
あれこれ (ruca)
2005-10-05 17:02:09
このはなさん、こんにちは。



のっけから「ごめんなさい」です。



>ホワイト○○○に掛けてはったのかな?



ここんとこが、よくわからないのです。

〇の中に入る文字はなに?なに? 状態です。



手のほうは‥。

白い手袋、今もまだしています。パソコンを使う時に

右手の手首あたりがこすれるのが、よくないみたいで。



つぼの話‥。

単行本になっていない月刊誌を紹介するのって、

どんなもんかなあと思いつつも、書いてしまいました。





返信する
こちらこそ、ごめんなさい (このはな)
2005-10-07 15:54:20
>>ホワイト○○○に掛けてはったのかな?

>ここんとこが、よくわからないのです。

○に。バ・ン・ドと3文字入れて下さい。ちょうど、9月10日前後いろんなメディアで話題かなと思ったもんで。



ドン・ローロのつぼのこと教えてくださってからこの本のことが気になってます。“和”をモチーフにした作品が多い中ちょっと変わった作品で掘り出しものかな?なんて思ったりして、飯野さんに単行本化を直訴(?)しに言ったりしましたもので、楽しい思い出にもなりました。この本捜索中ここならあるだろうと、幼稚園の絵本室への潜入をもくろんでいます。
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Unknown (ruca)
2005-10-07 17:10:40
このはなさん、こんにちは。

もうだいぶ日が短くなってきて、夕方5時は、

「こんにちは」でいいのか「こんばんは」なのか

迷います。



そっか、ほわいとばんど だったんですねー。

例のあれですよね、*** ‥

私もね、いっときこれを買おうかどうか迷いました。



ところで、「つぼ」。

私はとても秀作だと思うのです。飯野さんご自身も

とても好きな映画を絵本にできて嬉しかったと、

絵本のたのしみの中で書いていたし‥。



幼稚園の絵本室なら、なんかありそうですね。

潜入作戦?成功をお祈りしています。

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