my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

2024年6月 読書の記録

2024-07-23 16:38:52 | 好きなもの・音楽や本

6月に読み終わった本は4冊でした。

1年の半分が終わったので、この半年間はどんな感じ
だったかさらっとみてみたら‥だいたい1か月に
3冊から4冊読み終わっていて、そのうち1冊は
伊坂作品が入ってました(笑)。
今月も、結果的に2冊読んでいて、もうそろそろ
読んでない作品がなくなってきそうで焦ってます。



だいぶ前から読みたいと思っていて‥
ようやく「辿り着いた」感。

デビューから3冊目の本だったことを、読み終えて
から知る。(道理でわかりやすいヒントがあった
なーと思った)
のちに、成瀬がクロサワに繋がっていくのかなあと
思ったり。特殊能力を持った人や、あり得ない
ことができる人はこんな初期から登場していたんだ、
と思ったり。

楽しみながら読んで、また最初にもどってパラパラ
みているうちに、2回目も読んでしまった。







未読の江國作品を図書館の棚で見かけたので
借りてみた。家族の群像劇のような、いくつかの
家庭のパッチワークのような物語。そしてその中心に
居るのは三人の、80代半ば過ぎの、かつての仕事
仲間の男女。

大晦日のバーラウンジ。女性ひとりに男性ふたり。
昔話をしながら新年を迎えるのかと思いきや、
猟銃自殺を図るための(その前の)集いだった‥
という衝撃的な冒頭。
大事件が起きた(起こした)ことによって、三人の
家族や知り合いが期せず集まることになり、少しづつ
そして微妙に、関係やその後の人生が重なりあっていく
はなし。

タイトルの「ひとりでカラカサさしていく」は
♪雨降りおつきさん~ ♬ の中の一節。

お嫁にゆくときも ひとり
死んでゆくときも ひとり  ということなのかな。


三人の、家族や教え子や元後輩の、その後の人生は
続いていくわけで、少しだけ彼らを知ってしまった
読者の私たちは、もっともっと「先」を知りたいと
思ってしまう。
葉月はデンマークにとどまるのだろうかー
みどりの弟はこどもが生まれたあと円満別居ができるのかー
ランズの息子、大輝のいじめ問題は解決するのかしないのー
などなど‥。
伏線回収が出来ていないまま物語が終わっている、という
レビューをみたが、これは推理小説ではないので、
そんなものはないのに、と強く思った。

何も回収なんかされないまま、それぞれに進んでいくのが
人生なのだから。







とても面白いと話題になっていたので買って
しまった、と、会社の同僚が貸してくれた本。

フェイスブックで知り合いを見つけ(見つけられ)
ある日、メッセージが届く。それに返信するという
形で(手紙のやりとりのみで)物語が進んでいく。

30年前、結婚式当日に、すっぽかされた男と
すっぽかした女。この二人に一体どんなことが
あったのかーその興味でどんどんページを繰って
いって‥でも自分にとって都合の悪いことは
すべて他人のせいにする男の考え方に、嫌気が
さしてきた頃、男の本性が暴かれ、ふいに、
やりとりが終わり、物語も終了。

驚きはあったけれど、感動も感心もなく、
不快感に包まれました。







やっぱり続編が読みたくなって‥。

安定の、面白さでした。
成瀬、響野、雪子、久遠(くおん)の四人
中でも私のお気に入りは天才的なスリの
久遠くん。勝手にお気に入りバンドのベース奏者と
ダブらせて読んでます(笑)。

シリーズ3作目も読みたいところでしたが、
ぐっと堪えています。



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2024年6月に観た映画

2024-07-18 16:50:02 | 好きなもの・映画やDVD

6月も映画館へ行ったのは一度だけ。
あとはオンデマンドとテレビ録画でした。

 @WOWOW

たしか視聴期間がもうすぐ終了してしまうから、と
観たような‥

丘の上にある小さな本屋さんの店主と、そこへ
集うお客さんの、小さな物語。
とても美しいところだなーと思いながら観ていて、
あとから「イタリアの最も美しい村」のひとつ
チビテッラ・デル・トロントというところが舞台だと
知りました。

オリジナルのタイトルは(イタリア語で)
私は幸せになる権利がある
店主のリベロがブルキナファソ出身の少年に、最後に
贈る本のタイトルがまさにそれ。

わるい人がまったく登場しない映画にはじめは戸惑う
(皆が、舞台上で「良い人」を演じているように
見えてしまう)が、しだいに、リベロの店を中心とした
交流を心地よいと感じている自分が居ました。

店の奥の壁に掲げられていた言葉もとても良くって。

持ち主が代わり 新たな視線に触れるたび 本は
力を得る
カルロス・ルイス・サフォン『風の影』より





@新宿シネマカリテ

とくにプリンスのファンというわけではないけれど、
ドキュメンタリー映画のことを知ってからは、とても
楽しみ待ってました。

ミネアポリスという街の位置、その街に生まれ育った
こと、(もちろん)黒人であるということ‥。
そのむかし、強制労働させられていた畑で、口ずさんで
いた歌が、黒人のブルースになり、ジャズになり、
プリンスの作る曲に繋がっていった‥という映画冒頭の
件は、「プリンス初心者」の私には、とてもわかりやすく
ココロにすとんと落ちていきました。

生前の友だちや関係者やコミュニティの人々が
彼を思い出して語るという構成は、それはそれで
面白かったけれど、1曲だけでもよいから、ステージ上の
プリンスを観たかったなあ。
(いろんな権利の関係上、ライブ映像は使えなかった
みたいですね)





  @WOWOW

昨年劇場公開されたとき、特に興味もなく
観ることはないだろうなと思っていたのに、
『バビロン』を観て、あのマーゴット・ロビーが
バービーを演じていると知り、興味が‥。そして
今年のアカデミー賞で、ビリー・アイリッシュが
歌曲賞を受賞したし。(授賞式にバービーがバックに
プリント?されたスタジャン着てましたね)

内容的には‥特に感動はなかったけれど、
アメリカでも、日本同様、女として生まれたものへの
「宿命」や「期待」や「役割」は同じで、皆それに
押しつぶされないように必死なのだと、マテル社で
働く女性社員のセリフを聞いていて、思った。

母親になってもいいし、ならなくてもいい。
働いていてもいいし、いなくてもいい。
何でもない自分を受け入れる‥。






 @WOWOWテレビ録画

原作を貸してくれた同僚(男性)が、映画を観て
泣いてしまった!と言っていたので、これはぜひ
観なければと思っていました。

本のときは、そんなに感動しなかったのですが、
たしかに映画ヴァージョンの方が数段よくって、
これは泣いてしまったのもわかるかも、と思いました。

にのと波留を主役にキャスティングしたのが、大正解で
親友役の桐谷と浜野もとてもよかったです。
美しい映像を観ていると、こういう恋愛も、こういう
結末もありかも、と思えてくるから不思議です。



:::    :::


6月は初めて、ブランクーシ展を観に
アーティゾン美術館へ。


日比谷音楽祭の翌週、野音でのSHE'S のライブ。

昨年に続き今年もさいたま新都心のヘブンズロックで
店長のドラム発表会もあり。




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ターちゃんとペリカン じゃぐちをあけると

2024-07-12 16:41:20 | ひらきよみ(読み聞かせ)

今日は、今学期最後の読み聞かせ当番でした。

休まず参加したので、9回(週)連続。
こんなに続けて読み聞かせに行ったの、初めて
だったかもしれません。だいぶがんばりましたー。

さて、本日は2年生のクラスで2冊。
最初はこちら。


何年も前から、当番での読み聞かせのリストに
入っていましたが、なぜかご縁がなく。家にも
なかった絵本なので、今回私にとって「初」。

もちろんどんな内容かは知っていましたが、
実際に声に出してみると、また新鮮さが増した感じが
しました。


昨年の夏にも会ったペリカンとの再会を楽しみに
しているターちゃん。
今年は初めての釣りにも挑戦。長靴だって新品です。
でも、みずどりを追うには邪魔だと気づき、脱いで
しまいます。

ペリカンに誘われるままに古い杭に座っているうちに
いつしか潮が満ちてきて、長靴も見当たらなくなって
しまいました‥。

長靴をうまく「釣って」片方は取り戻したターちゃん。
もう片方は見つからないまま、夕ご飯だと呼ばれて
砂山を登っていきます。すると砂山の上に誰かいるみたい。

「ペリカンだ!」ペリカンは、なにか ひみつが
あるみたいに、じっと たっています。

その次の見開きいっぱいに描かれたペリカンの口の中には
なんとターちゃんの長靴が!!



なんかとってもいい話です。
波の音とか、潮風とか、夕暮れの空とか‥
自分も海の近くに居る気持ちになってくるようで。

教室の2年生は、長靴が見つかった時にもうすこし驚くかな
と期待していましたが、そうでもなかったです(笑)。




2冊目の『じゃぐちをあけると』


6月21日に1年生のクラスでも読んだので、
その違いを感じることができるのかどうか楽しみでした。

やはり2年生の方が落ち着いていて‥
読んでる最中は、小さな声で「それ知ってる」とか、
「やったことある」とか、こそっこそっと聞こえて
くる程度でした。



終りの挨拶のときにとても大きな声で、
「1学期のあいだ、どうもありがとうございました」と
言っていただきました。

いえいえこちらこそ、ありがとうございます。








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2024年5月 読書の記録

2024-07-08 15:43:30 | 好きなもの・音楽や本

5月って、ずっとずっと前みたいな気がします。。。
読み終えた3冊は(偶然)、ドラマ化や映画化された作品を
最初に観て、それから「じゃあ、原作も」ってなった本
でした。


6人の女性作家によるユーミンの曲から題を得た短編集。
発売されたのは4年7月で、そのままになっていて‥
そしてこの中の3編がドラマ化されたのを2月だったか
3月だったかに観て、なかなかおもしろかったので
原作も読んでみました。



1 あの日にかえりたい  小池真理子
2 DESTINY  桐野夏生
3 夕涼み  江國香織
4 青春のリグレット  綿矢りさ
5 冬の終り  柚木麻子
6 春よ、来い  川上弘美


ドラマ化されたのは、4,5,6
私が好きな曲は、好きな順に、3,2,4
(夕涼みはダントツに好きな曲)

ドラマの時の感想は、4がとても苦く厳しい
ストーリーだと思い、5は、主人公の設定が
スーパーマーケットのパートさんというのが
斬新だった。6は宮崎あおいはじめ、キャスティング
がとてもよかった‥。


小説としておもしろかったのは「夕涼み」と
春よ、来い
(もともとふたりとも好きな作家で、読みなれているから
なのかもしれないけれど‥。)

夕涼みの歌詞から連想される男女間のはなしではなく
小説の設定は姉妹で‥姉がかつて住んだことがある
ポルトガルのとある町でのおんなたちの「夕涼み」を
こんなふうに思い出し、結婚が決まった妹を思いやる‥。

花はまたあの夏の夜を思いだす。
暗い山道で夕涼みをする老女たち。壁にもたれて、
一列にならんで。花は、彼女たちの沈黙の重みを、
妹が理解する日が来ないことを願った。(中略)
あのころの花が無敵だったように、妹が無敵であり
続けることを願った。どんなに叶わぬ願いだとしても。



春よ、来い は、他の作品よりも長く、構成的にも
とても読み応えがあり、私的には「別格」だった。
ドラマで観ていたように、それぞれ別の場所で暮らす
3人の、それぞれの物語が進み、ちょっとだけ交わる。
ドラマではそれがペンションだったが、小説では、
それがユーミンの苗場でのコンサート。
実際に言葉を交わしたり、顔見知りになったりする
わけでななく、ただ遠くから、気になった人として、
その人の幸せを願う。それによって、死にたいくらい
重いものを抱えていた人は、私は大丈夫と思える
ようになる‥。

まったく知らない人の幸せを願えるくらいの、キラキラ
したオーラが、ユーミンのコンサートには溢れていたの
だろうなあと想像でき、あの歌から、こんな物語を
作り出した川上弘美の力量に深く感じ入りました。



WOWOWでオリジナルドラマ化されているのに気づき、
喜んで観始めたものの、どうしてかあまり馴染めず、
2話の途中でやめてからちょうど1年くらいたった頃、
図書館で偶然文庫を見つけて、原作だったらどんな感じ
なのだろう、面白いと思えるだろうか?と借りてみました。



読んでみた結果、(やはり)伊坂作品らしさが随所に
あって面白く、ドラマも原作の雰囲気を損なわずに
むしろうまくキャスティングしているのかも??と
再考し、続きから最後まで全部観終えました。

解説までたどり着いてわかったのですが、この作品は
太宰治の『グッドバイ』へのオマージュというか、
遺作となった作品の続きを、という依頼から、続きは
無理だが、元彼女に別れ話をしにいく男の話‥という
モチーフを借りてできた。
しかも「ゆうびん小説」という形体で発表された。
‥ということ。
(選ばれた読者にだけ、郵送で「新作」が届けられる!
って、すごく斬新な企画だったのですね~)

ところで、タイトルの「バイバイ、ブラックバード」は
どこから来たのだろう?と気になってました。
そしたら本文270ページにこんなやりとりが‥。

少し経ち、佐野さんが歌を口ずさみはじめた。〈中略〉

「佐野、それ何の曲なの」有須睦子も驚いたから、
やはり珍しいことなのだろう。
「『バイバイ、ブラックバード』という曲です。
知ってますか?
悩みや悲しみをぜんぶつめこんで行くよ。
僕を待ってくれているところへ
ここの誰も僕を愛してくれないし、わかってくれない
って、訳すとたぶん、そんな感じです」

〈中略〉

「ブラックバードって不吉というか、不運のことを
指してるみたいですよ。バイバイブラックバード
君と別れて、これから幸せになりますよ、と、
そんなところですかね」

ここらへんを読んでからラストに向かうと、なるほど~
って感じで、なんか切ない気持ちになりますね。





映画を観たのは今年の2月で、そのあとにすぐに原作も、
と思っていたのに、数か月経ってしまいました。



映画の方がよかった!と言い切った人も
周りに居ましたが、私は‥うーん、どっちかな。
なんとなく、原作の方がよいかも、と言いたい
気持ちになりました。

映画は、よくこんなに考えたと感心するレベルで
練られていて、小説のエッセンスや重要な設定は
すこしも変えずに、でも、広がりとビジュアル面で
観る側を満足させる仕上がりになっていて、とても
素晴らしかった。(特にプラネタリウムの場面)

原作の(映画より)よかったところは、自転車
とのかかわり方かな。藤沢さんが整備して、山添君に
持っていってあげるのもよかったけど、山添君が
自分の意思で、思い切って自転車という方法を
選んだのはとてもよかった。彼の回復への兆しが
ペダルをこぐ力強さとともに感じられてきて。
そして、映画にはなかった、クィーンの曲を聴く
場面。ここも好きなところ。

小説のあとにもう一度映画が観たくなって、
映画を観たら、またきっと本が読みたくなる‥。
いつかきっと夜は明けるのだ、夜明けのほんのすこし前
に、二人は居るのだと信じることができる清々しい
結末を、小説も、映画もそれぞれ持っていることが
素晴らしい作品でした。











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かさどろぼう ぞうきばやしのすもうたいかい

2024-07-05 17:24:07 | ひらきよみ(読み聞かせ)

本日は4年生のクラスでの読み聞かせ当番でした。

最初の絵本はこちら。


2018年にペアで入ったときに、相方さんが
読んでくれて、私は子供たちと一緒に聞いていました。
なので、今回、教室で読むのは初めての絵本でした。

先週は「きつねのホイティ」を読んだので、
2週連続で、ウェッタシンハさん!これもお初の経験です。


町で、初めて傘を知ったキリ・ママおじさん。
買ってきて、皆に見せびらかそうと思っていたのに、
隠し場所から消えていて‥でもあきらめきれず、また
町へ買いに出かけ、それも盗まれ、また買いにいく‥
ということをいったい何度繰り返すやら。
でも、森の中で傘を見つけたときに、全部持ち帰らずに
一本だけ、「どろぼう」のために残してあげる優しさ‥。
最後のページで、どろぼうは誰だったのか、わかるのですが、

どろぼうは、キリ・ママおじさんに あえて うれしそうでした。
おじさんも どろぼうに あえて、
おおよろこびでした。

いい話だなーと思いながら読みました。
4年生はどんなふうに感じたかな。



2冊目の絵本は、今年度初めてラインナップに入った
こちら。(私も今回初めて知った絵本でした)



土俵に見立てた切り株の上で、虫たちの相撲大会が
始まります。

いちばん はじめは
カナブンと タマムシの しょうぶ

みあって みあって

のこった のこった
カナブン、タマムシを おしだした
カナブンの かち!

という具合の勝負は続き‥たとえば、ダンゴムシと
カマキリ とか、オサムシと カメムシ とか。

そしてみんなお待ちかね、クワガタと カブトムシの
大一番。いやでも盛り上がります笑
(教室の4年生も勝手に勝ちを予想して、大盛り上がり)

でもそれで終わりではなく、

ぞうきばやしの すもうたいかいは
まだまだ つづく

みあって みあって

と最後のページの土俵にはカミキリムシとアブラゼミ
裏表紙では、アブラゼミがおしっこしながら飛び立って
いくところが描かれているので、「この勝負はどっちが
勝ったのかなー?」と予想しあってから、教室を後に
しました。

この絵本、もとは「こどのとも年少版」ですが、
4年生も楽しめましたね。





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