my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

2021年最初の絵柄もVEVARASANA

2021-04-07 15:02:06 | 好きなもの・Tシャツ

※すこしの間このログをトップにします。
昨年の8月にVEVARASANA Tシャツというのができ、
私も愛用していますが、その第2弾の、今度は文字だけではなく、
絵も入ったヴァージョンを、店長が密かに考案しておりました。

半年余りの製作期間を経て、できあがったのがこちらです。

【VEVARASANA(hand of the heart)Tシャツ】




例によっていろいろ凝った作りになっているのですが‥
アップにしてみますね。VEVARASANAの文字の白いポツポツは
ハートの形になってるんですって。

さらなる細かな説明は、ぜひこちらの店長ブログで。


バックの衿元にはこのような言葉が‥手の絵柄の横にも同じ言葉が
入っています。文字の上と下にあり模様は紫苑の花だそうで‥
その花言葉についても店長ブログに言及してありました。

ボデイの色が変わると雰囲気も変わり、ちょっと怪しい?感じ笑??



ほとんど区別がつきませんが、上が黒ボディで、下がネイビーです。
白のダイカラーでプリントしていますが、オリジナルカラーの
バナナイエローでもプリントできます。





もうショッピングカートのページに入れましたので、すぐに
お買い物していだけます。

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遠くても近くても

2021-04-07 14:43:26 | 好きなもの・音楽や本

図書館の文庫の棚「よ」の所で、そうだ久しぶりに
吉本ばなな本を読んでみようと思い、迷ったあげく
この本を選びました。

「不倫」「南米」をで接続するなんて、すごい
タイトルだーと思いつつ‥。


どうせ読むなら今の自分から最も遠いものが
いいなあと思って(笑)。
そして山口昌弘さんによる写真や原マスミさんの
挿画(表紙ももちろん)が、魅力的だったので。

世界の旅③とあったので、シリーズものみたいです。


ブエノスアイレスやその周辺が舞台で、7つの短編が
収められています。

電話
最後の日
小さな闇
プラタナス
ハチハニー
日時計
窓の外

最初の話「電話」の冒頭で、読み手は自分の知らない
南米の街をこんな風に知ることになります。

はじめて見たブエノスアイレスは、ヨーロッパの街並に
確かに似ていた。しかし、そこに息づく濃厚な南米のムードは
至るところから漂い出て、すべてを覆いつくしていた。
壁の落書き、広告の激しい色彩、ごみの舞う舗道、見たことも
ない街路樹は激しく枝を伸ばし紫や赤の花をつけ、子供たちは
どんな狭いところでも空間さえあればめったやたらにサッカー
をしていた。空の青も、強烈だった。押さえても押さえても
にじみ出る南米の大地の力が街を行く人々の顔に刻み込まれていた。

そんなところでの不倫の話はすごい展開になっているのでは?
と、ちょっと思いましたが笑、主人公が不倫真っ最中の話もあれば、
すでに過去のものになっていたり、自分の肉親がかつてそういう立場に
居たという話もあったりで、全体的には、むせ返る空気の中でも
その人たちが居る場所は(逆に)ひんやりしている、という印象を
(私は)受けました。

物理的な距離と、ココロの距離は比例するわけではなく、かと言って
離れているほどに、想いは強くなる、なんてロマンチックでもなく。
すべては人のココロという、ブラックホールの中で、どこをどう
とらえていくかって、ことなのかあと思いました。

「最後の日」の中で、主人公がこんなふうに思うところがあって。

私にとって一日とはいつも、のびちぢみする大きなゴムボール
みたいなもので、その中にいるとたまになにかをふと眺めている時、
なんの脈絡もなく突然、蜜のように甘く、豊潤な瞬間がやってくる
ことがあった。(中略)私にとって生きるというのはそういう瞬間を
くりかえすことであり、続いている物語のようではなかった。
だから、どこでとぎれても、私は納得するのではないか、と思えた。

ここでは、一日という「時間」のことを語っていますが、
遠くに居る、すぐそばに居る、という「距離」も、こういう気持ち
のありようと同じことなのかもしれないと思ったのでした。



***     ***     ***



数日前の明け方にみた夢の中で、私は20代前半で、サークルの
先輩にボーイフレンドを紹介されたり、友だちがやっていた
テレビの仕事が3月で終わってしまうことを悲しがったりしていて、
その気持ちがとてもリアルだったので、目覚めた時に、24歳の娘が
居る自分の方が、長い長い夢だったのではないかと思え、なんとも
不思議な気持ちを味わいました。前の晩読んでいた、小説が影響
していたのかもしれません。

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本屋さんが出てくる本はたいてい面白い

2021-04-03 12:15:33 | 好きな本

図書館の文庫本の棚を、なんとなく見ていたら、その
タイトルが引っかかり、以前からお名前だけ知っていて、
その作品は未読だった、柚木麻子さんの小説を借りてみました。



先日読み終えた『赤いモレスキンの女』も、もう少し前に
読んだ『グレート・ギャッビーを追え』
にも、魅力的な
書店の店主が登場してまして‥もとより、本屋さんや
図書館が出てくる話はそれだけで好きなので、内容説明に
ほんのちょっとだけ「?」を感じましたが、結果的には
読んでみて、大正解でした。

主人公の名前は大きい穴と書いてダイアナ。小学3年生。
キャバクラで働いているお母さんに無理やりされた
金髪が大嫌い。当然小学校の教室でも浮きまくり、いじめの
対象にも。でも、3年のクラス替えで初めて一緒になった
彩子ちゃんが、毅然とした態度で、いじめから彼女を守って
くれて、二人の交流がはじまります‥。

「?」は、小学3年女子が主人公だということと、そもそも
大穴(ダイアナ)なんて名前を付ける親が、いくら小説の中とは
いえ、存在するのだろうか?でした。もしかしてありえない
設定のマンガ原作が映画化されたみたいな??

そんな私の「出だし」の心配は、2章に進む頃には杞憂だった
ことがわかり、主人公のダイアナや彩子、その両親、友だちに
魅了され、前のめりで読み終えました。

面白かった大きな理由は、ダイアナと彩子の共通の趣味が
読書だったこと。接点が持ちにくい環境で育った二人を結んだ
のは、共通の読書体験でした。
そして、そもそもこの小説は、主人公の名前からも察せられる
通り『赤毛のアン』が底本になっているのです。

その仕掛けもさることながら、ダイアナのお父さん探しや、
二人が別々の環境で、もがきながら成長していく様子、また
彼女たちの母親の気持ちにも、共感しまくりでした。

物語の終盤でダイアナがこう言います。

「本当にいい少女小説は何度でも読み返せるんですよ、お客様。
小さい頃でも大人になっても。何度だって違う楽しみ方が
できるんですから」

ほんとうにその通りですよね。

40年以上前に読んだきりになっている『赤毛のアン』
『若草物語』をこの春は再び手にしようと思います。


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ノマドランド@MOVIX川口

2021-04-01 15:10:39 | 好きなもの・映画やDVD

J-WAVE のナビゲーターが何人も、この映画を推して
いたのと、初めて知った「ノマド」という言葉に
好奇心を刺激されて、先週の土曜日に観てきました。



ノマドが「遊牧民」や「放浪者」を意味する言葉だと知り、
リーマンショック以降、家を手放さざる負えなくなり、
定住を諦めた人たちを描いた重い感じのものと思っていました。
あらすじにも、企業の破たんとともに、亡き夫の思い出をつめ
一人キャンピングカーで季節労働の現場を渡り歩く主人公‥
とあったし、原作本の紹介も厳しい現状が書かれていたので。



しかし、映画の中に描かれている人たちは(本当のノマドも
多数出演していて、そういう方々を含め)必ずしも負の気持ち
を抱えたまま仕方なくそうしているわけではなく、自らの意思
で「現代の遊牧民」として生きることを、選んだというか、
望んだことがわかり、(実際は少数派に違いないと思いながらも)
観ている私の気持ちをすこし軽くしてくれました。

ある人は、限られた時間の中で、より多くの美しいものをみたい
と願い、またある人は、いつも自然の中に、自分の身を置いて
おきたいから、と言うのです。

嘘やごまかしだけで点から点への毎日を続けられるはずはなく、
何より彼らの顔は生き生きと輝いています。
そういう生き方もいいのかもしれない、でも‥、と自問自答して
いる私同様、主人公であるファーンも、「でも」と「なぜ」の
気持ちをココロの中で転がし続けているように見えました。

ふと、既視感を覚えました。
ずっと前に観た『ノルウェーの森』の終盤の場面を思い出したのです。

直子に死なれた主人公ワタナベは、その現実から逃れるために
簡単な装備だけ持って、キャンプ生活を続けるのです。
ひどく簡単なテントの中で、激しい雨に打たれている松山ケンイチ
(ワタナベ役)の孤独が痛いほどに伝わってきたのを覚えています。

一番遠ざけておきたいのは、内なる孤独、なのだと思いました。
愛する人とともに過ごした家や思い出の場所に居ることが、何よりも
つらいから、そこからできるだけ離れていたい、そう思って旅を
続けているのではないかー。
そして、そんな自分を癒してくれるものは、大いなる自然だけだと
本能が告げるのではないかー。

ファーンは、あのあとどうしたのでしょう、どのような道を
選んだのでしょう。ノマドとして生きていくのか、ノマドだった
自分を振りかえりながら生きていくのか。いずれにしても、
思い出は常に自分の内側に、自分自身とともにあるので、どこまで
逃げたところで、いつまでも付き纏ってくるのです、良くも悪くも。


私はこの先、逃げたいものに出くわしてしまった時、どんな選択を
するでしょう。
アメリカの美しい風景とともに、思いを巡らせることを教えてくれた
大切な映画になりました。ノマドランド、お薦めです。







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アーノルド・ローベル展@PLAY! MUSEUM

2021-03-24 17:48:45 | 好きなもの・美術館や展覧会

今年に入ってからずっと行きたいと思っていた
PLAY! MUSEUM@立川 にやっと行くことができました。



こちらの、がまくんとかえるくんでお馴染みの、
アーノルド・ローベルさんの原画展


こんなふうな通路をとおって、そのセカイに誘われるのも
ステキでした。

ローベルさんや、その作品について、知っていることよりも
知らないことの方が多く、ご趣味の刺繍作品が飾られていたことも
とても興味深かったです。(こちらがその作品です)



「がまくんとかえるくん」のシリーズも、娘が幼い時に
家で読んだことはたぶんなくって。
小学校で読み聞かせをするようになってから、私はよく
教室で読んでいました。
なので、今回この展示を娘が積極的に観に行きたがったことや、
熱心に原画を観て、最後に図録まで買ってきたことが、とても
新鮮で、嬉しい驚きになりました。

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「可能性のノスタルジー」

2021-03-22 17:31:58 | 好きな本

いくつかの書店のインスタをフォローしているのですが、
何度も紹介されていたのと、先日読んだ本と同様、表紙が
印象的だったので、図書館で借りてみました。

 『赤いモレスキンの女』

↑の画像は小さくて少々わかりずらいですが、窓辺に居る
女性が持っているのが、モレスキンの赤い表紙の手帳ですね。
こんなやつでしょうか?



物語は、その手帳所有者の女性が、深夜帰宅した際に、
自宅玄関前で強盗に襲われ手帳が入ったバッグを奪われてしまう
シーンから始まります。
翌朝、そのバッグを拾った(というかごみ置き場に捨て置かれて
いたものを見つけた)のは、その近くで書店を経営している
ローランという男性でした。

バッグの中には、パトリック・モディアノ(私は全然知らなかった
のですが実在するフランス人ノーベル賞作家)のサイン本と香水瓶、
クリーニング店の伝票と、文章が綴られた赤いモレスキンの手帳、
鍵の束、古い写真、サイコロや小石などなど。
それらを手掛かりに、ローランはその女性を探し出すことが
できるのかーというミステリー的かつ探偵小説的な面白さがあり、
どんどん読み進めることができました。

でも、それだけではなく、この小説の最大の魅力は、「本」が
二人の縁を繋いでいくところなのだと、後半になればなるほど
わかっていくのですが‥。「可能性のノスタルジー」という言葉も
ローランの書店に入ってきたお客さんがたまたま訊くのです。
『可能性のノスタルジー』はありますか?と。
その本を探しに行きながら、ローランはこう思います。

人は起こらなかったことについて、ノスタルジーを感じることが
できるのだろうか?人は人生のある局面において正しい決断をしな
かったというほぼ確信に近い思いを抱く時、そこから生じる感情を
「後悔」と呼ぶが、それはより独特なバリエーションを含んでいる。
このバリエーションは私たちをより神秘的で甘美な余韻に包む。
それがつまり可能性のノスタルジーではないか。

偶然もたらされたその言葉に、ローランは導かれ、あるいは
背中を押され、物語はゆっくりと誰もが望むようなエンディングに
むかっていきます‥。


主人公や周りの人たちが少々オシャレ過ぎる?と思いましたが笑、
パリが舞台の小説なのだから、このくらいでいいのかなーとも。
そしてもしも、自分のバッグがどこかで拾われたとしたら、その
持ち主を探してみたいと、誰かに思わせることがわたしできるかなーと
ちょっと思ってみたりしました(笑)。

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春はここから

2021-03-16 17:25:11 | 日々のこと

SNS上で、次々とスノードロップやら、紅梅やら、ハクモクレンやら
彼岸桜やら、水仙やら、ヒヤシンスの画像がアップされてきて、
それをつらつらと眺めていたら‥!! うちにもたしかヒヤシンスの
球根があったはずと思い出し‥と同時に、昨年の秋にポットに埋める
作業を忘れていたことに(やっと)思い至りました。ああ。不覚。。
そして、薄々気が付いていた現実にも(やっと)目を向けました。
ああ、ムスカリの芽が今年は出ていない。。。

ヒヤシンスもムスカリも咲いていないうちですが、春は確実に
近づいていたようで‥14日日曜日、ついに到着しました。


長い前置きでしたが笑、作り手と結ぶ庭 花菜摘む(前期)@伊勢丹で、
大野七実さん作のポットを購入したというわけです。


こんな可愛らしいスズランが、貼花の技法(あってますか?)で
付いていて。


底まで根っこも伸びていて。


蓋にはチョウチョも飛んでます。

600くらい入ります、って七実さんが教えてくれて、
朝にたっぷりとお茶(近頃はほとんどルイボスティ)を
飲むので、嬉しい容量だし、置いてあるだけで、嬉しくなる
器だよね、って友も言ってくれて。
もうほんと、そこに居てくれるだけでいいって、いう存在
でもあるのですが、でも使ってみて予想以上の心地のよさに、
家族3人、二度惚れ致しました。

蓋がまっ平なところがいい、と夫。そうそう、蓋が重いのです。
だからたっぷり入れても安心感があるのです。

持ちやすい、と娘。そうそう、持ち手の湾曲具合がちょうどいい
のと、幅が太すぎないので、女子には持ちやすいのです。

注ぎ口が短いのがいい、とわたし。洗って逆さにしたときに、
なんかドキドキしないので(笑)。
そして、なによりバランスがよいのです。

スズランは可愛いらしいけど、決して甘すぎず。焼き物の肌の
具合も(私が言うのは生意気だけど)ちょうどよく好きな感じ。

2点しかこのタイプのポットは出展されてなかったようなので、
日曜日にはもう見ることはできないと思っていました。
「出会い」とはきっとこういうものなのですね、本当によかった。

そして、ここに(うちに)来てくれて、どうもありがとう。

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新鮮な記憶

2021-03-09 17:14:57 | 好きな本

変わったタイトルと、印象的な表紙に惹かれて。
図書館で予約して借りました。『掃除婦のための手引書』



ルシア・ベルリンという、アメリカの女性作家の短編集。
表紙の女性は作者ご自身とのこと‥美しい方ですね。

1936年アラスカ生まれ。残念なことに2004年にお亡くなりに
なっているのですが、幼少期は鉱山技師だった父の仕事の
関係で、北米の鉱山町を転々とし、その後チリに引っ越し、
3度の結婚と3度の離婚、4人の息子を育てながら、高校教師、
掃除婦、看護師、電話交換手として働き‥アルコール依存症
にも苦しみ、そして(もちろん)文章を書いていたという、
なんと波乱万丈な(?)人生でしょう。


訳者あとがきにはこのように記されています。

ルシア・ベルリンの小説は、ほぼすべてが彼女の実人生に材を
とっている。そしてその人生がじつに紆余曲折の多いカラフルな
ものだったために、切り取る場所によってまったくちがう形の
断面になる多面体のように、見える景色は作品ごとに大きく変わる。

そして、この本に収められている『短編』を、実人生の「どのあたり」
だったのかを、分けています。

/鉱山町で過ごした幼少期 『マカダム』『巣に帰る』
 『ファントム・ペイン』

/テキサスの祖父母の家で過ごした暗黒の少女時代 
 『ドクターH.A.モイニハン』『星と聖人』『沈黙』
 『エルパソの電気自動車』『セックス・アピール』

/豪奢で奔放なチリのお嬢時代 『いいと悪い』 『バラ色の人生』

/四人の子供を抱えたブルーカラーのシングルマザー 
 『掃除婦のための手引書』
『わたしの騎手』『喪の仕事』
 『エンジェル・コインランドリー店』『今を楽しめ』
 『ティーンエイジ・パンク』『さあ土曜日だ』

/アルコール依存症との闘い 『最初のデトックス』『ステップ』
 『どうにもならない』

/ガンで死にゆく妹と過ごすメキシコの日々 『苦しみの殿堂』
 『ママ』
『あとちょっとだけ』『ソー・ロング』

※太字になっていない短編のタイトルは、私自身が(勝手に)、その時期に
いれてよいのでは?と思った短編です。


好きだなと思ったのは、最初に読んだ『エンジェル・コインランドリー店』。
うらぶれたランドリーで出会った背の高い、年寄りのインディアン
出てくるはなし、と、『ソー・ロング』。ニューヨークで、夫と、二人の
子供とともに暮らしていたのに、ある日、三番目の夫になるマックスが
電話をかけてきた。ハロー、と彼は言った。いますぐそこの角の電話ボックス
なんだ。そして、子供たちを起こし、アカプルコへ行ってしまう‥。
時は流れ、メキシコで妹の看病をしているところへ、そのマックスから
時折電話が来る、そんなはなし。幼少期の話の中では『巣に帰る』もいい。
あったかもしれないもうひとつの人生、パラレルワールドを、年老いた自分が
振りかえる。
わたしはたまたま町にやって来たダイヤモンド掘りと駆け落ちし、そのまま
モンタナに行き、そしてどうなったと思う?なんとわたしの人生は今と
そっくり同じになっていただろう、ダコタ・リッジの石灰山のふもとで、
カラスを見ながら。

テキサス時代の話はどれも読んでで胸が痛くなるが、今朝起きた時に
ジョン叔父さんが何と言ったのだったかが、とても気になったので、
このはなしが実は一番響いているのかもしれない。

230ページ、『沈黙』の中のジョン叔父の言葉。

「こら、嫌いなんて言葉を使うんじゃない!だいいちお前さんは
メイミーを嫌ってるんじゃない、自分を好いてくれないから
腹を立ててるんだ。メイミーはお前が外をほっつき歩いて、
シリア人やこのジョン叔父さんとつるんでるのをさんざん見てきた。
それでお前のことをろくでなしの、モイニハンの血の者だって
思ってるのさ。お前さんはただメイミーに愛されたいだけなんだ。
いいか、もし誰かのことを憎く思ったら、その人のために祈ることだ。
やってみればわかるさ。そしてメイミーのために祈りながら、
ときどきは家の手伝いもしてあげろ。お前みたいな可愛げのない
ガキんちょでも好きになる理由を、メイミーに作ってやらなきゃ」
(メイミーは祖母の名前、自分の妹ばかりを可愛がっていると
主人公は思っている‥)

いずれにしても、どの短編も、切りたての果物みたいな、新鮮な印象が
ココロに残る。物語の終わり方がどれも鮮やか。日本語訳がとても
リズミカルで読みやすいこともきっと影響しているのだろうと思う。

よい時期によい本に出会い、いい読書ができたなと思うと同時に、
こういう短いはなし、書いてみたいなーと久しぶりに思いました。

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世界で一番しあわせな食堂@MOVIXさいたま

2021-02-26 16:03:29 | 好きなもの・映画やDVD

MOVIXさいたまでも観られることを知り、
公開日を楽しみに待ってました。



フィンランド 小さな村の夏 食堂 
子連れの旅人(ちょっといい男)=訳アリのシェフ‥

腹黒い人や底意地の悪い人がぜんぜん出てこない
安心して楽しめる映画でした。

おそらく最後はこうなるのだろうなー、そうなって
欲しいなあと観ている誰もが願うエンディングですが、
そこに至るまでを、とても丁寧に描いているなあという
印象でした。

主人公チェンの作る医食同源の中華料理がとても素晴らしく、
「中華」の範疇を軽く越えているなあと思いました。
映画に出てくる、初めて中華料理を食べたフィンランド人の方々、
フツーのを食べたら、その落差に驚くでしょう、きっと笑

野生のトナカイが闊歩している林、水辺での釣り、サウナ小屋。
庭にあるソファーブランコで星を眺めながら眠り、湖に筏を
浮かべてバーベキュー。
手が届かない遠い遠い場所でのはなしのようでもあり、望めば、
その地の仲間に加われるような気もしないではないけど‥
スクリーンの中の出来事だから面白いのでしょうね、きっと。


MOVIXさいたま新都心は、川口駅から20分足らずの場所にあるの
ですが、緊急事態宣言で今年の初めから電車に乗る外出を控えて
いたので、この日が、今年になってから初めての「おでかけ」でした。
映画観て、そのあとに中華ランチ食べただけだけど、すごく
おでかけした感があって楽しかった。

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動いている村上春樹を初めて見た

2021-02-25 16:04:58 | 好きなもの・音楽や本

2月21日(日曜日)。買っておいた配信のチケットで
MURAKAMI JAM いけないボサノヴァ を観ました。

日曜日19時~不定期で放送されている、村上RADIO から
発生したライヴで、今回が2度目。初回はラジオでしか
聴けなかったので、このたびが初めての映像解禁というか、
会場に来られなかった人のために、と配信も行われました。

司会というか進行は坂本美雨さんと村上春樹氏。
いつものラジオのオープニング曲が流れた後に、会場が
徐々に明るくなり、二人が登場するのですが‥
そういえば、私、動いている村上春樹を見るのは初めて!!
ということに、そこで気が付き、軽いためいきほどの(笑)、
感銘を受けました。

書いてものを30年以上読んできて、村上RADIOで初めて
声を聴くことができて、そしてやっと「生身」の春樹氏を
見ることができたというわけです。

ライブは、とてもゴージャスで楽しいものでした。
大西順子さんのバンドで、小野リサさんが歌ったり、
村治香織さんがボサノバやったり、さらには山下洋輔さんまで!

村上RADIOはこの先も続いていくと思うので、第3回、第4回と
ライブも続いていくかもしれません。
いつの日か、この目で、動いている村上春樹を見ることができる
日がやってくるでしょうか‥来るといいなあ。

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気が付けば2月も半ばを過ぎ‥

2021-02-17 17:00:52 | 好きなもの・音楽や本

陽の入りがしだいに遅くなり、気が付けば
17時を過ぎても暮れてゆく美しい空が見えるような
季節になっていました。

駅の西口側の公園の白梅ももうこんなに咲いています。


1月は「SPITZ映画 猫ちぐらの夕べ」に始まり、それに尽きたと
いう感じで‥結局合計で6回観ました。

2月に入って、ぼんやり過ごしていたのですが、この1週間くらいで
配信ライブを3つ観ました。

2月11日 sumika  本当だったらこの日に行われるはずだった
さいたまスーパーアリーナのチケットを持っていたのです。
でもそれが中止になり、払い戻しをしてしまったので、9日の
配信は観ることができず、ちょっと後悔していたところ、10日の
夜に急遽11日の「無料!」配信が決まり、それをyou tubeで
観たというわけです。

すごいなあと思ったのは、9日にチケットの払い戻しをしていな
かった人向けのライブをやり、翌10日にファンクラブのみのライブを、
どちらも有料で行った上での、11日の無料配信を決めたこと。
その理由をボーカルの片岡さんは、「好きな曲が入ったカセット
テープを、聴いてみて、と友達に貸すような気持ち」‥と話ていました。
この7曲のライブ。とっても沁みました。
そしていつか、sumika のコンサートに必ず行こうと思いました。



2月14日 YOASOBI  昨年『夜に駆ける』が大ブレイクしたユニットの
初ライブが配信で行われました。

曲がCD化されていないのに、そして初めて出るテレビ番組が紅白歌合戦
ということで相当話題になってましたよね。曲のタイトルがスピッツの
『夜を駆ける』と似すぎているので笑、それで知っていたくらいなの
ですが、歌番組のライブ観たりしているうちに、曲も聴くようになって、
娘と一緒に配信も観たのですが‥。

話題のユニットの「初」ライブということで、どんな会場を選ぶのかなー
と思っていたら‥なんと建設中のビルの8階部分を借りて、でした。
なかなか考えたなーとひとりおばちゃんは感心してました(笑)。



そして15日 リトグリ  先月、武道館で行われたライブの配信で、
娘が観に行っていた日のもの‥断続的でしたが、なかなかの感動ものでした。
全員が20歳を過ぎて‥これからもっと表現力とかに磨きがかかっていくと、
ただ歌が上手い子たち、だけではない魅力が増し、もっともっとファンが
増えるのでは、と思いました。(娘がとってくれたチケットで、この秋
弘前に行くことになっているのです、とっても楽しみ)


昨年末に、遅ればせながら Apple Music デビューをしたので、
散歩の時に、色々ダウンロードして楽しんでいます。


コメント

村上春樹のおかげで

2021-01-28 17:02:20 | 好きなもの・音楽や本

たしか、インスタで友達の紹介文を読んで‥なにこれ、
こんな本あったんだー!と急いで図書館に予約したの
だったと思います。



日本語タイトルがいいですよね?
村上春樹の「せいで」、何が起こった??と
とても興味を惹かれました(笑)。


作者は、韓国の作家イム・キョンソンさん。
いかに自分が村上春樹から影響を受けてきたか、を綴ったエッセイ
なのかと思いきや、春樹氏の著作はもちろんのこと、経歴や過去の
様々なエピソード、奥様のことまで、詳細に語られている研究本でも
ありました。

若い頃から熱心なファンだった私にとっては、88%くらい?は、
知っていたことなので、自分の中での「確認」になり、
あまり読んだことがない初心者の方にとっては、これ1冊押さえて
おけば、村上春樹の学生時代がどんなふうで、前職は何で、
どのような経緯で作家になったのか等々が簡単にわかる凄い本です。

お父様の仕事の関係で、海外と自国を行ったり来たりしながら、
青春期を過ごした作者が、アイデンティティ確立の過程で、
村上春樹という作家に惹かれたのは、頷けるし、その思いを
素直に書いているところに好感が持てました。

副題の「どこまでも自分のスタイルで生きていくこと」は、
作者の思いというか、決意の現れですよね。

面白く読みましたが、私が知らなかった10%くらいのことを
(残り2%は誰にもわからない部分)
知っていたことに長年のファンとして、ほんのりジェラスを
覚えました(笑)。


コメント

どこかで句点、あるいは助詞を

2021-01-15 15:57:22 | 好きなもの・音楽や本

名前は知っていても、なんとなく読む機会がないままだった
自分にとっての「新しい作家」の本、読みました。



作者の川上未映子さんは、春樹氏との対談本があったり、
なんとなく華やかなイメージがあったので、この本も
キラキラした恋人たちが出てくる恋愛小説なのかなーと
(勝手に)思っていたのですが。

主人公の入江冬子さん34歳の、孤独な毎日と、
孤独だった過去の日々にページは埋められていて、
なかなか「恋人」が現れない展開でした。

でもそれが退屈なわけでも、じれったいわけでもなく、
自分にとっての初めての川上さんの文章は、むしろ心地よく、
誕生日の夜に、冬子が町をひとり歩く場面や、冬子が窓の外を
ただ眺めるこんな描写が響きました。

動くものと動かないもののあいだを満たしてゆく
インクのような夜の濃さを、わたしはコーヒーカップに
唇をつけたまま、ぼんやりと眺めていた。

ただ、途中読んでいて苦しくなったのは、冬子がアルコールに
依存し始めたとき‥。
缶ビールやワンカップの力を借りなければ、カルチャーセンターの
受付でさえ話す勇気が出ない、孤独の深さに胸が痛くなったのでした。

ひりひりするような孤独の殻から出ていくためには、力づくで
その殻を割るのでも、縁側昼寝のようにぼんやりと温めるのでもなく、
水分を与え、輪郭をまず滲ませ、外と内との境界を曖昧にしていくのが
いちばんだったのかなー、と、ゆうべお風呂の中でふと思ったり。

文庫本の帯に書いてあったような、恋はこんなにも孤独で、せつなくて、
涙が出るほど美しい。とか、天才が紡ぐ繊細な物語に超感動 とか、
これが、究極の恋。とかそこまでは、思わなかったけれど、人を好きに
なった時間は無駄ではなかったよね、とそっと背中に言ってあげたい
ような気持ちです。



それにしても、タイトルの「すべて真夜中の恋人」。
何度口の中でなぞってみても、頭の中に吸収されていきません(笑)。
(それゆえココロに残る、さすがのタイトルだと思います)

すべて、真夜中の恋人  だったら、真夜中を歩いている、
真夜中という時間に属している人たちはみんな恋人同士みたいな(?)。

すべて真夜中、の恋人   だったら、(自分の)恋人が存在していた
時間はいつでもその全部が真夜中だった、という印象になるし。

もし、一文字増えて すべて真夜中の恋人 とか、
すべて真夜中の恋人 とか、すべて真夜中の恋人 だったら? 
タイトルからくる印象はだいぶ変わってきますよね。

もしかして、冬子の恋も、あの時句点をひとつ入れてみれば、
あと一歩踏み出して、助詞を一文字変えてみれば、三束さんとの恋も
違う方向に進みだしたりしたのかなーと、そんなことも思ってみました。



コメント

年越し~年明けの読書

2021-01-09 15:57:49 | 好きなもの・音楽や本

読書の記録を、その流れを感じながら(?)残しておこう
と思った年の初め‥。

12月は2度続けて『グレート・ギャッビーを追え』を
読んでいました。それは『一人称単数』からの流れ、というか、
その2冊は店頭に並んでわりとすぐに購入したのですが、
なんとなく、図書館からの本を優先して?いや、買ってすぐに
読み終わってしまうのがもったいなくて、とっておいたのです。

 
表題作の「一人称単数」のラストは、半年前に読んだ
チーヴァーの「泳ぐ人」のラストを私に思い起こさせました。
漂う空気の冷たさがとても似ていると感じました。


ジョン・グリシャムの小説を村上春樹が訳す!それだけで
興味津々でしたが、邦題はどうかなー?微妙だなーというのが
私の率直な感想。あとがきで春樹氏はこれ以外は思い浮かばなかった
と書いてたように、たしかにフィッツジェラルドといえば、
ギャッツビーだし、たしかに「追って」はいるのですが、邦題からの
イメージだと、もっと追って欲しい、というか、もっとコナン的な
刑事ドラマ的な展開を期待してました‥(笑)
その点からいくと、この小説のクライマックスは「そこ」では
なかったのが残念、かな。海辺の町とか、疑似恋愛とか、せつない系
の気持ちは満たされたような気がしました。


そしてここからが、(やっと)年越し。4冊予約していた本のうち
年末に3冊を借りることができ、どれから読もうか迷った結果
この本から。
 表紙だけ見て、そそられて、借りてみたら
絵本ではなくて(勝手に絵本だと思ってた)詩集でした。
作者は1990年生まれ、早稲田大学文化構想学部卒。才能のある
方なんだと思いました。
短い詩ばかりではなく、散文形式の短いお話もあり‥
保育園の頃に、私にはお父さんが二人いた、と始まる「おとうさん」
がわかりやすかった。



 SNSに流れてきたので、
借りてみました。(私と)等身大の主人公が出てくる等身大のはなし。

本文中で紹介されている「水曜日郵便局」。
実在していた!と知ったのは読了後だったけど、もし今もやっていたら、
私は私の水曜日を書き記して見知らぬ誰かの元へ届くことを想って、
送ったのだろうかー。


 厚く重たい本を想像していましたが、
文庫本になってました。

アラスカ・インディアンに語り継がれる知恵と勇気の物語‥。
日本でも姥捨てがあったように、部族や集落が生きのびるためには
弱者を切り捨てていくことも必要、という考え方。
置いていかれたのが、おじいさんではなく、おばあさんであったこと、
そして二人が置き去りにされた屈辱をばねに、生き抜いてやろうと
決めたことが(私の)ココロに風を吹かせ、二人を応援しながら、
時に見守りながら、そして終始祈りながら、読み進めました。

人して生を受けた以上、自分にできる限りのことを続けていく
努力をしていこうと、素直に思わせてくれる本でした。


次の読書は、貸してもらった本といただいた本。
恋愛ロマンス系みたいです。






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映画スピッツコンサート2020 猫ちぐらの夕べ@オンライン上映

2021-01-06 17:12:05 | 好きなもの・SPITZ

2021年
あけましておめでとうございます。
静かで穏やかなお正月を過ごしました。

12月21日の上映開始日にも観たのですが、
(その時はひとりで)
お正月休みに、娘と二人で、この映画を観ることが
何よりも楽しみで(笑)、ビッグイベントでした。

(11月、たった一夜限りのコンサートに、いったい
何人が応募したのでしょうね‥。)


部屋を暗くして、ソファの向きを変えて、MAC大音量で。
もちろん、いちいちの拍手あり、で。

どの曲ももちろん知っているのですが、順番が変わり、
聴く時期が変わると、よく口ずさんでいた歌でさえ、
まったく違ったように聴こえるから不思議です。

「映画」なので、音質はもちろん、アングルも照明も
とってもよい感じでした。

コンサートの前の晩、娘と予想し合ったセトリ。
私は2つくらい当たっていたかなー。娘は「聴けたらいいな」と
言っていた曲が演奏されて、すごく嬉しかったそうな。



最初にひとりで観たときに、涙がでてきた曲と、
1月3日では、泣いた曲は別でした。前にもライヴで聴いたこと
あったのに、その時はフツーだったのに、このたびは刺さりました。


♬ どうか正夢 君と会えたら
  何から話そう 笑ってほしい



ココロおきなく、いろんな「君」と会って話せる2021年が
一日も早く来てほしいものです。

朝、窓を開けて、空を見上げて祈りましょう。


今年もどうぞよろしくお願い致します。

  

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