予約をしてから、その本を受け取りに行く、という形で、図書館を利用して
いますが、珍しく、通路を歩いて、本棚にある本を借りてきました。
池澤夏樹さんの、小説です。
夕刊に、1カ月に一度くらい、池澤さんの書いた文章が掲載され、どれも毎回
ああなるほど‥という気持ちで読んでいるので、機会があったら、池澤さんの
本を読んでみようと思っていました。
今回、この本を選んだのは、棚から抜き出したときに、表紙の絵が植田真さんだと
すぐにわかったからです。
余談ですが、この時期は特に、植田さんの絵に反応してしまいます。
この絵本のせいですね。
「キップをなくして」は、1学期の途中から夏休みが始まるまでの話だし、
本の中に挿し絵はないので、表紙の絵を誰が描いているのかなんて
関係ないといえば、全然関係ないのですが、でも、それでも、
本を読み終わった後に、表紙に戻って絵をよーく眺めると、キップをなくして
「駅の子」になってしまった、イタルやミンちゃんが「そこ」に居るようで、
やっぱり植田さんの絵はいいなあと思うのです。
電車の乗ったとき、キップを失くしてしまった経験ありますか?
あるいは通学定期まるごと‥。
キップがないと改札を出ることができず、そういう子は「駅の子」となって
しばし東京駅で暮らすことになるのです。
そんな話だとはまったく知らずに読み始めたので、不思議で新鮮な展開でした。
家族が住む家に帰れない不安を抱えながらも、駅の子としても役割りをこなし、
出会った仲間と協力しながら生活していく、そのどこか張りつめた気持ちが、
ついこの前味わったような感じでよみがえってきて‥集団生活ってこういうの
だったなあと、懐かしくもありました。
駅が舞台の話なので、当然、山手線の駅名とか、SLに詳しい子とか、色々
出てくるのですが、その中に北海道の駅名は難しいね、もともとはアイヌの言葉
だったからね、というくだりがあって。
ルビをふられた漢字の駅名と、時刻表とを照らし合わせながら読んでいく
描写に、ちょっとこころときめきました。
列車に乗って、旅している気持ちがふと蘇ったからでしょうか。
キップを失くした子すべてが「駅の子」になるわけではなく、選ばれているようなの
ですが、どうして、イタルたちが「選ばれた」のか、その理由がちょっと知りたいなあと
思いました。
幼いミンちゃんが、自分の運命を受け入れると決めたときは泣けました。
ちょっとファンタジー?というか、現実離れしてるなあという感もありますが、
でも、読み終わったときの気持ちは清々しいです。
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