my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

女の一生

2020-08-24 14:04:51 | 好きな本

ずいぶん前に予約したので、なぜその本を読みたいと思ったのかは
思い出せませんが、タイトルに「図書館」が入っているので、
きっとそのせいかーと思っていました。



図書館そのものが主人公になり、自らの歴史を語る章と、
のちに小説家になる「わたし」が、まだそうでなかった頃、
上野公園で、偶然出会った「喜和子さん」に、図書館を主人公に
した小説を書いて、と頼まれる場面から始まる現在形の章が、
交互に物語を運んでいきます。

どちらの章も、とても面白いのです。

「夢見る帝国図書館」という題名がついている、図書館の章は、
福沢諭吉先生が、近代国家の仲間入りをするためには、日本にも
図書館なるものが是非とも必要というところから始まります。
(明治新政府の頃の空気感は、前に読んだ『落陽』と重なるものが
ありました。)

噴水がある広場や、国際子ども図書館、という、よく知っている場所の
場面から始まる現在形の章は、「わたし」が、喜和子さんの、自由で何にも
囚われないような暮らしぶりと、本好きなところに魅了されたのだろうなあと
容易に想像がつき、谷中界隈の様子や、一緒におやつやお茶をするところなど
とても和みます。
やがて、話の端々から、当初のイメージとは異なる「喜和子さん」の過去が
現れ、読み手である私たちも、ああそうだったのか、と深く息を吐くことに
なるのですが。

「夢見る帝国図書館」の章で、山本有三の『女の一生』がわりと詳しく
語られるところがあるのですが、戦後から昭和、平成を生きた喜和子さんの人生
も、一人の女性の、まさに「女の一生」だなと、読み終わってすぐに思いました。


喜和子さん。
本がどういうものかも知らない頃に、『たけくらべ』などを面白おかしく、
お話をしてくれる人がそばに居て、「図書館」という、ひんやりとした壁が
ある建物に入ったことがあり、その時(時期)だけはきっと安心して
いられたのでしょう。
そういう思い出が、のちに自由奔放に生きてきたように見える
晩年の喜和子さんに繋がっていったのかなと思いました。

巻末に出てくるこの言葉がとても印象的でした。

真理がわれらを自由にする



 

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パブリック 図書館の奇跡@TOHOシネマズ日本橋

2020-08-18 16:31:31 | 好きなもの・映画やDVD

前日の映画を決めるときに、この映画も候補に入っていて、
14日だったらサービスデイで料金が安くなることがわかり、
またまた3人で、同じような時間帯で、今度は日本橋へ行きました。



1ヵ月くらい前に、ラジオで紹介されていたのを小耳に
挟んでいたので、機会があったら観たいなあと思っていました。
「図書館」が出てくる映画は、もう、それだけで観たいのです(笑)。

あまり予備知識を持たずに出かけたので、帰ってきて夫のブログ
貼ってあった動画を観て、主演のエミリオ・エステベスが脚本、監督
だったと知ったくらいです。最後に素晴らしいオチが待っているので、
ストーリー紹介はやめておきますが、とても練られたよいシナリオ
だなーと思いました。伏線が「ここ」へきて効いている、といった感じで。
(全然知りませんでしたが、エミリオ・エステベスはチャーリー・シーン
お兄ちゃんなんですね~)

エミリオ演じる主役の図書館員の行動にココロ打たれますが、彼を
そうさせた、彼の中にある、本への深い愛情に、同じ本好き、図書館好きの
私のココロがじんと静かに震えました。
館長もよかったな。人間として、ああいうふうに行動できる人に
私もなりたいです。



以前に『ニューヨーク公共図書館』を観た時も思いましたが、
アメリカと日本では、図書館が持っている(担っている)役割が
違うんですよね。ホームレス受け入れ問題は、ドキュメンタリーの中
でも問題になってました。
なんたってオリジナルタイトルは『THE PUBLIC』ですものね。
開かれたものであるべきなんですね‥。

とっても偶然なんですが、今図書館が出てくる小説を読んでいるところで、
だいぶ前に予約していた順番がまわってきたので読み始めたのですが、
『落陽』と、時代的にかぶっているところもあって。
そういうコインシデンスがとっても面白いなあと思っています。
ささやかすぎる私の毎日はそういうことによって彩られていくというか、
そういうことで(大げさに言えば)生かされてるんだよ、と思うのです。



そうそう、映画のあとのお楽しみも。
 
(こういうことでも生かされています・笑)



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レイニーデイ・イン・ニューヨーク@恵比寿ガーデンシネマ

2020-08-17 15:49:58 | 好きなもの・映画やDVD

13日からの夏休みの前に、どこか近くで楽しいもの(こと)
ないかなーと探していたら、この映画が昼間の時間帯、恵比寿か
有楽町でまだ観られることがわかりました。
どちらも同じような時間帯だったら、その後のお楽しみ付の
恵比寿で決まりです(笑)。

11日からすでに夏休みに入っていた娘も入れて、3人で一緒に
観るのは初めての「ウディ・アレンの映画」。




その前に観たのは『女と男の観覧車』だったので、
(そしてその前が『ブルー・ジャスミン』だったので)
このたびの映画は、舞台もマンハッタンだし、おなじみ感は強い
のですが、キャストが一新というか、とてもフレッシュで、
それが何より印象に残りました。ティモシー・シャラメ
エル・ファニングセレーナ・ゴメス‥皆かわいいかった♡

そうそう、それぞれの家族が住む家もゴージャスでした。
5番街とか、タウンハウスの、素敵なリビングを見ることができます。
教育熱心な、いわゆる「ジューイッシュマザー」も健在でしたが、
その母の過去が語られるところは、新鮮でした。

そして忘れてならないのは、ティモシー・シャラメ演じる
ギャツビーの歌とピアノですね。ステキでした。

こういう映画、ウディ・アレンの映画、やっぱり好きだなーと
再確認しながらの、ビール@記念館テイスティングサロン
美味しかった♪

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150年後

2020-08-11 16:04:14 | 好きな本

やっと順番がまわってきたマハさんの『風神雷神 上』を受け取りに
行った際、まかてさんの作品は何が今図書館にあるかなーと棚をのぞいたら、
この本1冊だけがあったので、なんとなく借りてしまいました。



まずは『風神雷神 上』を読みーこちらの舞台は安土桃山なので、
あたまの中は、信長の頃を思い浮かべたまま、明治時代のはなしを
読み始めました。

本当に、なんとなく借りてきたため、明治神宮を作るにあたって
尽力した人のはなし、くらいの認識しかなく、そういえば、
明治神宮」そのものも、私の中では漠然としているなあと
思っていました。

そんな情けない状態だったので、初めて知ることが多く、
安土桃山の南蛮寺や俵屋宗達の描いた絵のことを想像していた
あたまの中が、ぐるぐるしながらも、ご維新後の東京についていこうと
動き始めました。



題材そのものもとても興味深いものでしたが、それを、当事者
(明治神宮を東京の代々木に作ろうと言いだした人たち)を中心に
書くのでななくて、三流新聞社の記者を主人公にして、それを記事として
追わせる、といういう視点がとてもよかったと思いました。
(しかもそのネタを持ってきたのは、主人公亮一でななく、同僚の女性
記者だったところも)

さらに、この物語に深みを与えているのは、主人公の新聞記者が、
遷都の時に若干17歳だった明治天皇を、御簾の中の現人神ではなく、
一人の青年として、その心持ちを推察していることであり、そこから
明治という時代を生きた自分と、周りの人々にとっての「明治時代」を
わかろうとしている姿が等身大で描かれているところだと思いました。



新聞社というものも、時代が明治に変わった頃からたくさんでき始め、
初期の頃は、記者は記事にするネタを探してくるために「探索」と
呼ばれる人を(暗黙の公認?で)雇っていた、なんていうことも
初めて知りました。

中でも、市蔵という渋い「探索」が出てくるのですが、彼が、引退した
あとに、主人公の亮一が訪ねて行く場面があり、そこで市蔵がこう話すのです。

「何せ、公方様のことは身近に感じていても、帝についてはただ、
やんごとない、神のごときお方だという捉えようしか持ち合わせて
おりやせんでしたからね。学のある者は尊王を頭では理解して
いたでしょうが、それでも実感ってものがねぇんです。その尊いお方が
こうしてわざわざ下向してきてくだすったと思ったら、救われた心地に
なったじゃありませんかねえ」

当たり前のことですが、いつの時代も、その時その時を、まいにち毎日を
フツーに生きている私たちのような人たちがいるわけで、えーと、幕府が
なくなったら江戸はどうなの???と不安に思っていた人が大勢いたわけで、
市蔵の言葉は、いつの時でも、の「わたしたち」だなーと、すっと納得が
いったのでした。


タイトルの「150年後」は、神宮の森が本当に完成するのにはそれくらい
かかるということで‥創建が1920年なので、今でも森は途上にあると
いうことですね。

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(どこにいても)分かり合える VEVARASANA

2020-08-01 17:13:44 | 好きなもの・Tシャツ

(たしか)2年前の誕生日にこの本をもらいました。
 
世界には、本当にたくさんの言葉があって、それを話している
たくさんの人が居て。でも消えてしまう言葉もたくさんあって‥を
紹介している本なのですが。(アイヌ語のイヨマンテも入ってました)


その中で、アフリカのボツワナやナミビアなどで、約20万人のヘレロ人、
ヒンバ人、ンバンデル人らで話される「ヘレロ語」に、


VEVARASARA  ヴェヴァラサナ  という言葉がありました。

本来は、彼らは(あるいは人々は)尊敬しあうという意味の
動詞が転じて、「遠く離れていても気持ちはいつも通じ合っている



2020年。
会いたい人、行きたい場所に、思うように出かけられず、会うことも叶わない、
私たちのための言葉では?と、(うちの店長が勝手に)思い、それをTシャツの
新柄にデザインしました。



グレーボディに紺色でプリント。

 


こちらはネイビーボディに白色でプリント。
 

 

バックの衿元にはこんな帽子みたいな?絵が入っています。

 

これ、ヘレロの人たちがかぶっている帽子なんです。
VEVARASANA という言葉を教えてくれたヘレロの人たちへ敬意を込めて、ここに
入れることにしました。

サイトにはまだ載っていないので、ご注文はコメントやメールで承ります。
グレー+紺色 ネイビー+白色 以外の組み合わせも絶賛受付中です。
色々考えてご注文ください。

 

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