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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

2023年3月 読書の記録(後半)

2023-04-14 17:01:52 | 好きなもの・音楽や本

なぜこの本、というか詩集のことを知るようになったのかは
うろ覚えですが、2月の始めに悲しいお別れがあって‥
さよならは仮のことば という文字がPCの画面から突然
目に入ってきたのです。吸い寄せられて、すぐに調べてみたら
谷川俊太郎さんの、新潮文庫オリジナル詩集のタイトルでした。

そうか、「さよなら」は永遠の言葉ではなく、あくまでも
「仮」なのだから、さようならの状況をわたしたちはこんなに
つらく(深く)受け止めなくてもいいんだよ、仮なんだもの。


さよならは仮のことば

夕焼けと別れて
ぼくは夜に出会う
でも茜色の雲はどこへも行かない
闇にかくれているだけだ

星たちにぼくは今晩はと言わない
彼らはいつも昼の光にひそんでいるから
赤んぼうだったぼくは
ぼくの年輪の中心にいまもいる

誰もいなくならないとぼくは思う
死んだ祖父はぼくの肩に生えたつばさ
時間を超えたどこかへぼくを連れて行く
枯れた花々が残した種子といっしょに

さよならは仮のことば
思い出よりも記憶よりも深く
ぼくらをむすんでいるものがある
それを探さなくてもいい信じさえすれば








図書館にあった伊坂作品。タイトルだけみるとそんなに
面白いの?と思っていたが、レビューではつねに上位に来ている
ので読んでみようと‥。

東北大学(と思われる)の学生仲間5人のはなし。もちろん場所は仙台。
春、夏、秋、冬、ときて、春がまためぐってくるので、1年間の話
ではなく、彼らの大学時代4年間の出来事だとわかる。(というか
途中で気が付いた)
その4年の中で、「プレジデントマン」と空き巣強盗という大きな
「社会的」な事件があり、彼ら5人も意図せずそれに「個人的」な
かかわりを持ってしまう。

殺し屋が主人公になるような伊坂作品を続けて読んでいたせいで、
語られる事件は解決するのかしないのか、5人のうちの誰かが
命を落とすようなことがさらに起こるのかーと気になりつつ、
でもどっちもなかなか起こらないので、これはもう、彼らの
青春の思い出話を読んでいるだけ、という冷めた気持ちで、
この本は面白い?と自問するときも、正直あった。
けれど読み終わってみれば、彼ら5人から去りがたい気持ちが
確かにあって、それは一人ひとりの4年という時間を知ることで
親近感を覚えたせいと、かつて大学生だった自分と、その周りに
流れていたものを思い出してしまったからかもしれない。

タイトルの『砂漠』は、砂漠にだって雪が降るかもしれない
じゃない、という理屈屋の西嶋のことば。

映画だけ観て、未読の『ゴールデンスランバー』も、こんな
元大学生が事件に巻き込まれていったのかなーと思ったら、
読んで確かめてみたくなった。




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