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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

【つるばら村】のものがたり・続き

2006-01-09 00:08:01 | 好きな本
 もう少し、くるみさんのパン屋さん『三日月屋』の話しが
したくって、つるばら村のお話を続けます。

 2作目の『つるばら村の三日月屋さん』では、
くるみさんは、駅前に念願のお店を持つ事ができます。
「赤いトタン屋根の小さなお店」です。
くるみさんが配達に出かける時の店番は、ニボシという名前の
トラネコ。前作の『つるばら村のパン屋さん』・あんこのパン
のところで登場してきます。ネコたちが、つぶしあん、かつおぶし
の混じった生地に、おへそにはサクラの花の塩漬けの代わりに
煮干しを使った、あんパンが好きだなんて、ちょっと
おどろきでした。

 それはさておき、2作目でも、お客さまは意外な方たち。
たとえば、「十五夜のパン」では、「バターロールを五十個
やいてくれませんか。それで、そのパンの生地ですけど、
十五夜のお月さまの光を入れてほしいんです。」と、
アイシャドーをたっぷりつけた女のひとがたのみにきます。
届け先は、月見が原の『レストラン十六夜』、会員制です。
くるみさんのパンを待っていたのは、十五夜の次の夜だけ
レストランをひらくタヌキでした‥。十五夜のお月さまの光
にはふしぎな力があって、その光をいれた料理を食べると、
タヌキの化ける力が強くなるのだそうです。
くるみさんは、パンのお代のかわりに、来年の招待の約束を
もらいました。

 他にも、魔術師のパン・木枯らしのパン・春風のパン‥など、
森やはらっぱに住む動物以外のものたちも、パンを頼みにやって
きます。そんな、お店を持ってからの1年間が『つるばら村の
三日月屋さん』には、12のお話となって描かれています。

 そういえば、なぜくるみさんのお店の名前が「三日月屋」さん
なのでしょう?読んでいなくても、勘のよい人ならすぐに
わかりますよね。くるみさんの得意なパンがクロワッサンだと
いうことが。クロワッサンの形から、お店の名前をつけたの
ですね‥。

 

 3作目にあたる『つるばら村のくるみさん』では、
お店が3年目に入ったところから始まります。

 目次には、前作、前々作同様、七夕のパン・台風のパン・
天狗のパン・などなど魅力的なパンの名前が並んでいますが、
お話の中味は少し異なった方向へすすみます。
ただ、変わった依頼主がやってきて、おいしいパンを作って
もらったり、くるみさんが、変わった体験をするだけでは
ないのです。
 売り上げはあまり伸びず、それが近くの町にできた新しい
パン屋さんの影響ではないかと、くるみさんは悩みます。
そう、ただファンタジーの世界でパンを焼く女の子ではなく、
リアルライフの中で、成長していくひとりの女の人が
この3作目では、描かれているのです。

 ニボシ以外の相談相手として、笛吹き山のブナの森で、
ミツバチを飼っている養蜂家のナオシさんという男の人も
登場します。ナオシさんのところのみつろうを使っている
「青木家具店」の林太郎さんという名前も始めて出て来ます。

 「パン屋さんのくるみさん」は、いまのところ、昨日、今日
とで紹介した3冊でおしまいのようですが、上に出て来た
名前の方たちは、今後つるばら村の別のお話の主役となって
出て来てくれるようです。

 つるばら村のとなりが、ゆうすげ村。やなぎむらのとなりが、
しげみむら。お話にでてくる村の名前は、どれもほんとに魅力的です。

つるばら村の三日月屋さん



『つるばら村の三日月屋さん』









つるばら村のくるみさん




『つるばら村のくるみさん』
コメント (2)
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