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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

「こどものとも」のさらなる楽しみ・1

2006-06-20 15:35:08 | 好きな絵本

 図書館で、「こどものとも」及び「~年中向き」、「~年少版」のバックナンバーを
たくさん借りてきました。風邪で学校を休んでいた娘のためでもあったのですが、
すこし前から、バックナンバーの入っているカゴがとても気になっていたんです。

 「こどものとも」の正しい(?)楽しみ方は、定期購読し、毎月届く雑誌を楽しみに待つ、
だと思います。でも、書店で実物を見てからその号を買うかどうかを決める、という方も
いるだろうし、もう我が子が「こどものとも」を卒業していても、シリーズものの続きは
懐かしさのあまりに買ってしまう、あるいは、好きな絵本作家さんの作品だから、という
理由でどうしても買いたくなる、という私のような読者もいるだろうし‥。まあ、いろんな
楽しみ方があるわけですが。

 今回、バックナンバーのカゴから発見した楽しみは、「え、この人が年少版と年中向き
でも作品を書いていたんだあ!!」です。

 この人とは、大槻あかねさん。


 何ヶ月か前の、海五郎さんの「わくわく本」で、『絵くんとことばくん』が紹介されて
いました。
 この本は、福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ・181号」で、今は傑作集として
ハードカバーにもなっています。テキストは天野祐吉さん、絵が大槻あかねさん。
ここで初めて、大槻あかねさんのお名前を知ったのです。
 おこづかいを値上げしてもらうため、お母さんにアピールしよう、と考えた優太。
その優太の頭の中で、絵を描く「絵くん」と文章を考える「ことばくん」が様々なポスターを
作り出すという、とてもおもしろい内容の絵本です。天野さんと言えば雑誌「広告批評」
大槻さんは、その表紙を担当されていたこともあるようです。

 
 その大槻あかねさんの、こどものとも年少版の作品は、2004年1月号(通巻322号)の
『けいとだま』。



 
表紙は、見ての通りのふわっふわっの赤い毛糸玉。見返しは、その毛糸の編目模様に
なっています。
 
 最初の一文は 
けいとだまがありました
 
ページをめくると、左側にはそのけいとだま、右側にはけいとだまを「見上げている」線で
できてる「人」。言葉はひとこと 

 
巨大なけいとだまの横で、その人は編物を始め、やがて長い、長いマフラーが出来上がりました。

 
さっそくまいてでかけます 

 果てしなく長いマフラーは、いったいどこまで続いているのでしょう‥。

 白い画面に、赤い毛糸玉と墨黒の線で描かれた人。最後のほうにちょこっとだけ出てくる犬。
たったそれだけのシンプルな絵と、短いおはなしですが、最後のページにくると「え、
こんなにも!」と思ったり、「まさか、こんなこと!」と笑ったり‥。

 一緒にこの絵本を読んでくれる(おもしろがってくれる)、小さな子が家にいないのが
残念でなりません。

 
 もう1冊の大槻作品は、こどものとも年中向き2005年1月号(通巻226号)
『あ』。



 
今度の「人」は、墨黒で描かれたのではなく、針金でできた「ワイヤーくん」
(私が勝手につけた仮名)です。自分で立って歩けるし、いろんなポーズも自由自在。
ちゃんと影だって持っています。

 ある日ワイヤーくんが歩いていると、ビールジョッキに出会います。 

 

 ちょっと首を傾けてじっとジョッキを見上げるワイヤーくん。
 ハイ、ポーズで、左腕を曲げ、ジョッキくんに並びます。

 次にワイヤーくん、ホーローの白いポットさんに出会います。
 腕を広げて見上げたあとに、 ひょ
 
右手を腰に、左手のひらを上に向け、ポットさんと同じポーズで
 並びます。

 こんなふうに、ワイヤーくんがいろんなものに出会い、そのもののポーズを真似たり、
そのものと戯れたり(?)の絵本なんです。はじめからおわりまで、ワイヤーくんの出会いは、
発見の喜びと驚きに満ちていて‥これってなんかに似ている、どこかで見たことが
あるなあ、と思っていたら。

 ワイヤーくんは、子どもそのもの、ですね。

 干したばかりの布団が部屋の隅に置いてあれば、どかっと乗ってみる。公園に噴水が
あれば、手を伸ばしてその水に触りたがる。長い廊下を見ると、駆け出さずにはいられない。
テレビでおもしろい顔をしている人を見たら、とりあえず真似てみる。

 さかさまのマヨネーズボトル、綿棒、ビニールテープ、白い手袋、本の間のしおり、
ふかふかの山型パン、耳かき、ひょうたんがたの七味入れ、蚊取り線香、ビールの泡、
ファスナー。

 ワイヤーくんも、好奇心むき出しで、これらのものと遊んでいます。

 
 折込ふろく「絵本のたのしみ」の作者のことばの中で、大槻あかねさんは、「ゆかいな
そのへん」と書いています。

 あ

 コップがあった
 マネしてみた

 テープがあった
 おしてみた

 (中略)

 おフロがあった
 あったかい

 そのひと と コップ
 そのひと と ひょうたん
 わたし と スリッパ
 わたし と おかあさん
 わたし と おフロ

 そのあいだにしかうまれない
 おなじものはひとつもない

 あ

 きみがあった


 大槻あかねさんに、もっと絵本を作ってもらたいって思います。

 

 

 
 


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4 コメント

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こんばんは。 (海五郎)
2006-06-21 01:32:07
ごぶさたしてます。

最近、rucaさんのブログはエントリーの数が多くて、なかなかコメントが追いつきません(笑)。

大槻あかねさんの絵本、いいですよね。

「けいとだま」、ぼくも大好きです。



絵本って、どうしても自分なりの好みができあがってしまうと、他のものに目がいかなくなりがちですが、そうするととんでもないものを見落としてしまうこともあるような気がします。

たまには、「こどものとも」などのバックナンバーを端から読んでみるというのもいいかもしれませんね。
返信する
海五郎さんへ (ruca)
2006-06-21 16:06:53
こんにちは。コメントありがとうございます。



そうなんですよ、最近自分でも「あれっ?」って思うぐらい頑張ってますよね(笑)。次々に書きたいことが浮かんできちゃって、これでも追いつかないんです。

5月ごろはすごいスランプで、もう止めようかなあなんて気持ちが、ふとよぎったりなんかしていましたが、それもいつのまにかふっきれたみたいです。

それと。

図書館から借りている本が多いので、返却する前に書いておかないと‥っていうのもありますね。



同じ場所で、同じ絵本を見ても、何も感じない日もあれば、次々手を伸ばしたくなる日もあって。そのうちまたぱったりと何も浮かばなくなる日が来るかもしれないけれど、そしたら、ジャムづくりや拙い「ちくちく」でもすることにします。
返信する
年中ですっ (ミニーのママ)
2006-06-22 14:55:02
そっかぁ子供が大きくなるとそんなふうに思うんですね。もちろん大きくなったら、それぞれのまた違った楽しみ方が増えるのでしょうけど。

下の子がまだ年中ですっ今のうちのたくさん一緒にこんな絵本を楽しみたい、そう思いました。しかも・・・(笑)ウチの主人が書く人間の絵って、ワイヤーくんみたいな感じなんです!妙な親近感。是非読んでみます。けいとだま。



スキマ国のポルタ、今日木曜日でしたのに見逃しました・・・録画予約入れないとダメですね。特に朝はバタバタしてるから。



ウチのブログのTB、文字化けしちゃってスミマセンでした。原因は不明ですが、とりあえずジャンプできるので、そのままにさせていただいてます。また懲りずによろしくお願いします♪
返信する
ミニーのママさんへ (ruca)
2006-06-22 16:16:24
こんにちは。

まずは、TBの文字化けの件ですが。原因がどこにあるのか私もよくわかりません。kayoさんのブログ「マトリョーシカな日々」でも、必ず文字化けしてしまうので、ブログ同士の相性(元の会社の)の問題なのかなあ?と思っています。



それと、ポルタ。私も今朝、見逃しましたあ!!

昨日まではしっかり覚えていたんですけど。

やっぱり録画しないとだめですね。



年中のお子様がいるのでしたら、ほんとうに、絵本を楽しめますね。その「渦中」にいるときは、え、またこの本読むの?とか、もう眠いから今夜は勘弁、とか思っても、後になるとその時間がとても貴重であったことがわかります。『けいとだま』も『あ』もどとちらもパパを含めた家族中で楽しめると思いますよ。ぜひ探して読んで遊んでください。
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