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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

「まかて」まつり・続々

2020-03-03 17:46:37 | 好きな本

まかてさんブーム、続いています。
今回も、2冊図書館で借りてきて、まずこちらを読みました。


少し前にテレビドラマでやってましたよね。だから幼馴染の女3人で
お伊勢参りをする話だということは知っていたのですが、今まで私が
読んだまかて本よりも、ちょっと軽いかな?と思って後回しにしてました。

確かに軽妙で軽快ではありましが、内容は決して「軽すぎる」ことはなく、
一膳飯屋の娘・お以乃。御家人の妻・お志花。小間物屋の女主人・お蝶。
三者三様の、迷いも悩みもよく伝わってきて、気が付けば夢中になって
読みすすめていました。

三人の名前を合わせると「いの、しか、ちょう」。
若い頃にはぶいぶい言わせた(笑)三人が、家族を置いてお伊勢参り
なんていいですよねー。それだけでもぜったい楽しい。

コイバナはもちろん、人情味あふれる話や、胸の奥がつんと詰まるような
はなしもあって、楽しく読みました。終わり方もよかったな。



もう1冊はこちら。


内容はほぼ知らずに、図書館で表紙とタイトルを見て借り、そのあとに
ちょっと調べたら、江戸時代最大の贈収賄事件の行く末は? 歴史エンタメの最高峰。
って、書いてありました。

主人公は、大坂の炭問屋・木津屋吉兵衛。稼業は番頭らに任せ、自らは廓で遊び
一睡もしないで芝居見物に行くような放蕩の限りを尽くしていますが、生家の主の兄が
急死したことで、実家である薪問屋・辰巳屋へ赴き、兄の葬儀の手筈を整えたことから
始まり、事態は、辰巳屋の相続争いから訴訟へと発展していきます。

時の将軍8代目吉宗公や、かの大岡越前守忠相までも登場し、中盤から終盤へかけては
まるでサスペンスものを読むように、吉兵衛の運命の行く末にはらはらドキドキ
させられました。

表紙に描かれた寒牡丹の絵。
吉兵衛の若い妻お瑠璃が大層愛でている場面が序盤にあり、物語中でも、幾度か
出てくるのですが、読み終わって、ああそういうことだったのかとため息をひとつ
つかされました。みごとなエンターテイメント小説だったなあと、思います。

でも、ひとつだけひっかかるというか、すとんと落ちてはいかないのが、
タイトルの「悪玉伝」。
吉兵衛は、ほんとにそんなに悪玉なのか、という思いが読んでいる最中、ずっと胸に
あったのです。(吉兵衛よりも)もっと悪いやつが、ひょいと出てくるのではないかと、
思いながら読み進めていました。
靄の中に居るおひとの方が‥という暗示みたいなものも含まれていたのかなとも思いました。


まかてさんまつり、まだきっと続きます。



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