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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

2024年3月 読書の記録

2024-04-19 17:04:53 | 好きなもの・音楽や本

3月に読み終わった本は3冊でした。

すこし前に映画が公開されてましたよね。
その時に観に行こうかどうか迷っているうちに
終わってしまったので‥図書館の棚で見つけたので
読んでみることにしました。



前知識ゼロで‥でもたしか映画のコピーに
観る前の自分にはもう戻れない的なことが書いてあって。
どういうことなのだろう?とそれで興味を惹かれたのですが。

誰のものかわからない(もちろんあとからわかるが)
とても厭世的なモノローグから物語は始まり、
いよいよ、とページを繰ると、そこには児童ポルノで逮捕された
3人の男の名前と事件の内容が、新聞記事のまま載っていて‥。
やっと長い(と思われた)プロローグ後に、また別の
男性が語り手になる物語が始まり‥別の場所で別の語り手
による物語の進行がやっと、読み手の私の中で理解できたとき
にはもう夢中で読んでいました。

LGBTQだって、名前も持っている(付けて貰えてる)
時点でそれはすでにマジョリティだと言い、自分の中にある
「傾向」をひた隠しに生きていくことのつらさ。
それから逃げようとして「偽装結婚」に辿り着く二人‥。
そのつらさをわかることはできないから、安易な発言は
慎むべきだけど、この二人をとても真面目だと思いました。
(好きという感情で繋がっているはずの夫婦でも、
すべてを信頼しあっているわけではないのだから‥)


331ページ

「いなくならないで」
佳道も声に出してみる~中略
いま抱いている安心感は、この同居のようにひどく不安定で
一時的なものかもしれない。だけどそうだとしても、
そういう時間をつないでいくことでしか乗り越えられない
時間だらけの人生だった。

373ページ

「いなくならないからって伝えてください」







たまたま図書館で見つけたので借りてみましたが、
伊坂作品の中で、わたしの好きランキングの上位に
入りました。

隕石が8年後に地球に落ちてくることがわかり
世界的なパニックから5年が経過した仙台の街が舞台の
短編小説集。それぞれのタイトルがおもしろく、
微妙に話が繋がっているという伊坂スタイル。

終末のフール
太陽のシール
籠城のビール
冬眠のガール
鋼鉄のウール
天体のヨール
演劇のオール
深海のポール

どれも面白かったし、興味深かったし、感動もした。
が、一番好きな話は2番目の「太陽のシール」
何年も子どもができなかった夫婦に、あと3年で世界が
終わる今になって妊娠がわかる。妻の美咲は再開した
スーパーマーケットで働き、富士夫は高校時代の同級生に
誘われて草サッカーを始める。二人はきっと子供を持つ
ことを選び、大切に育てるだろうなー最期の日まで。

ラストの「深海のポール」もよかった。
最後の最期まで、隕石が落ちて、大洪水が起きてすべてが
深海にのまれても、ポールの一番てっぺんに、自分の娘を
1秒でも長く生き続けさせるために足掻き続けるだろう、と、
ビデオ屋をやっていた渡部は思う。それが(すべての)親の
願いで、そんなギリギリのところで無様にもがくのが
生きるということなのだ、きっと。





だいぶ前に西荻窪のギャラリーショップ「もりのこと」で
買った本。タイトル通り、小さな生き物と暮らした日々を
ショップオーナーで木工作家でもあるサノアイさんをはじめ
計15名の方が綴っています。

購入したときにすぐに読んで、でも内容は忘れてしまったのか、
途中まで読んでそのままになっていたのかー。
いずれにしても、今回はその語られている内容に、自分の
気持ちがじんわりと溶けていくような感じをおぼえました。
再び手にとって、よかった。





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2024年3月に観た映画

2024-04-09 16:49:00 | 好きなもの・映画やDVD

3月は失速というか、いつものペースに戻ってしまい、
映画館で観たのは2本、家でテレビ録画と、WOWOWの
オンデマンドで1本観ました。

@ユナイテッドシネマ浦和


予告を観てずっと気になっていて‥久しぶりに妹と
一緒に観てきました。

自宅3階から転落死した夫は他殺なのか、自殺なのか、
それとも事故なのかー。
疑われているのは妻で、重要参考人は目に障害を持つ
11歳の息子。すべてを知っているのはこの家の犬だが
彼はしゃべることができない‥。

法廷で、誰に罪があるのかを争い、様々な人が証言し、
判決が出るのだが、なんだかすっきりしないし、
カタルシスが得られない。それは画面のこちら側で
行く末を凝視していた私たちだけでなく、当事者であり
最大の容疑者であった妻でさえも冴えない顔をしている。

なんなんだ?この映画。という気持ちを抱いて帰宅し、
様々なネタバレページを読んだ結果、自分的にいちばん
しっくりきたのは、この夫婦はオートフィクションを
実践していたのではないか説、です。

この映画の最大のポイントは、夫婦ともに物書き
なんだけれど、妻が売れっ子で、夫は作家未満であると
いう点。夫の死亡前日に、夫婦は派手なケンカをし、
それがテープに録音されて残っていたことから、妻が
最大の容疑者になるだが、そもそもその「ケンカ」は
夫の小説のためのネタ造りで行われていたのでは?

二人ともそれを承知で言い合っているうちに、でも、
本音が出てきてしまって‥夫婦として家族として
思い合う気持ちよりも、物書きの「業」が出てきて
しまって、互いにもはや引くことはできず、夫は
窓から身を乗り出す「パフォーマンス」を見せている
うちに、ほんとに外に飛び出してしまったのでは?
というのが私なりの結論。妻は実際に手をくだした
わけではないが、そこまでの「筋書」はすでに
彼女の中に見えていたので、あんな表情だったのでは
ないかなー。こわいこわい、物書きという種類の人たち。





@WOWOW オンデマンド


なんか、観ておこうかなーと思って(笑)。

2013年劇場公開なので、もう10年以上も前なんですね。
キャストの豊富さというか、バラエティに富み過ぎていて
そして、それが皆その役柄にぴったりで、とても
面白かったです。
(私的には、通訳ワクバル役の濱田岳が一番かなー)









テレビ録画

劇場公開の時に気になりつつも、機を逃したので
WOWOWで放送されたものを録画しておきました。

ジャズにひたすらのめり込む若者たちの話。
音楽の監修はジャズピアニストの上原ひろみさん。
なので、音楽はピアノはもちろん、サックスもドラムも
とっても良かったー。
そんなにうまくいくか~?と思いつつも、感動しました。






@新宿シネマカリテ

3月24日に夫と観に行ったのですが、17日日曜日は
東京音楽祭の中のピアノのプログラム(ヴェートーベン)
を東京文化会館で聴き、20日春分の日には、【ひみつ
ストレンジャー展】@渋谷 で、スピッツに浸り、
22日金曜日はズーカラデル@ZEPPダイバーシティ、
23日土曜日『BLUE GIANT』でジャズを聴き‥の音楽三昧
の締めで、レゲエだったのです。

心地よいリズムに誘われて‥寝ないようにするのに
必死でした(笑)。



::    ::    ::


3月は初めて村上春樹ライブラリーにも行き、安西水丸展
観てきました。

とても居心地のよい空間でした。

ふらっとまた行ってみたい場所ですが、4月になって
キャンパスには学生が溢れかえっているのでしょうね。








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