my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

ずっーと四時半

2007-06-27 16:30:40 | 好きな絵本

 図書館の新刊の棚で、目に留まりました。

 表紙の絵とタイトル、そしてその文字の並び方に惹かれて手にとってみたら、
見返しも、中の紙もとっても好きな質感でした。

  よじはんよじはん
     『よじはん よじはん』
     ユン ソクチュン 文 イ ヨンギョン 絵
       かみや にじ 訳


 作者のユンさんは、韓国を代表する童話作家で、この本の原詩は1940年、日本による
殖民統治時代に書かれたそうです。
 若手実力派の絵本画家イヨンギャンさんは、その詩を絵本にするにあたり、詩が書かれた
年代よりもすこし下げて、1960年代を念頭において、韓国の田舎の風景を描いたとのこと。


 まだ普通の家には時計というものがなかった頃のお話です。

 どこの村にも必ず一軒はあるよろず屋さん‥雑貨はもちろんお酒、お塩、食料品、
生きたニワトリまで売っているなんでも屋さん‥に、隣に住んでる女の子が聞きにきます。

  「おじさん おじさん
   いま なんじ
   かあさんが きいてきてって」

  「よじはんだ」

  「よじはん よじはん」


 4時半だと、教えられた女の子は、呟きながらお店を出たのですが、お店の前で
水を飲んでいるにわとりを ちょっと みていこう と思い、

 そのそばに居たありが、どこへ行くのかが気にかかってついていくと、そこにとんぼが
すぃーと飛んできて‥

  「よじはん よじはん」

 言いながら、足はどんどん気持ちの向くほうへ行ってしまいます。

 やっと女の子が、元のよろず屋さんの前に帰ってきたときには、街灯に灯りがともっていて
さっきは中で、ラジオを直していた店のおじさんも、外の縁台で涼んでいます。
 でも、女の子の気持ちは、4時半で留まったままだから、お母さんにそう報告した声は
きっと誇らしげに響いたでしょう。ほかの兄弟姉妹は、とっくに夕飯を食べ始めているけれど。

 女の子を見つめるお母さんの顔。何かいいたそうな目をしてるけど、口元や頬は優しそうです。




 夏の日の午後4時半は、この本の中の女の子だけでなく、すべてのこどもと、子供時代を
記憶しているすべてのおとなにとって、永遠に続いてほしいと願う特別な時間かな、と思います。
 
 陽はたしかに傾きはじめているけど、まだ十分高いところにあって。今から出かけるのは遅いかな、
ううん大丈夫と、自信をもって言えるそんな時間‥。

 夏の日の午後4時半。いとおしいです。


 

   …      …      …      …




 時間までは覚えてないけど、
本日6月27日はこのmy favorite thingsの満2歳の誕生日です。
 
 ほんとは、28という数字が好きなので、28日を誕生日にしようと思っていました。
 けれど、最初の記事を前日から用意して、さあ今日が当日!とUPしてみたら、
投稿日時が前日の27日のままになっていて‥どうやって直すのかもわからなくって。

 といういきさつで、27日がブログ初投稿となりました。それから、365日×2の時間が流れた
なんて、信じられない気持ちです。読んでくれる人が居てこそのブログなので、ほんとうに
みなさまに感謝しています。ありがとうございます。

 小3だった娘も、小5になって。

 お昼寝後だった「私のじんせいじかん」も、限りなく、おやつの時間に近づいています。
 でも、じんせいじかん午後4時半も、そうわるくはないかも、と思っている自分に気付き、
気付いたと同時に、ずっと4時半くらいで留まっていたい、とすぐに思い直したりしています。


 ブログはなんじまで、続いていくのかわかりませんが、また明日からの3年目も、
変わらぬおつきあいを、どうぞよろしくお願いいたします。





コメント (22)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日に架ける橋

2007-06-24 18:58:09 | 好きな絵本

 「好きな絵本」のちょうど80冊目(そして、このブログの満2歳の誕生日前最後の絵本)は、
この本になりました。 

 
偶然そうなったのですが、偶然とは思えない偶然を感じてひとりで嬉しくなってます。



  たいようオルガン
           『たいようオルガン』
        荒井良二 作

 

 『たいようオルガン』のキーワードというか、ポイントというか、描きたかったことは
以下の3つだと、青山ブックセンターのトークショーで、荒井良二さんはおっしゃっていました。

 たいよう+オルガン   ゾウバス    橋

 そして、試みのひとつとして、文章の中から助詞を削ること。それによってリズムが妨げられる
ことを防げるかなあと、思ったそうです。


   たいようオルガン たいようオルガン
   たいようがオルガンひいて あさがきた
   ゾウバスはしる みちせまい みちほそい

 確かにそうですよね? ゾウバスがはしる みちはせまい みちはほそい となるよりも
ゾウバスが懸命に走っていく様が、みちせまい みちほそい によく表れていると思います。

 こんな箇所もありますよ。

   たいようオルガン たいようオルガン
   たいようがオルガンひいてる
   くもでてきた くもりのくもでてきた
   ゾウバスはしる いえ ちいさい いえ おおきい あっちこっち

   のりたいひと てをあげて
   どうぞ どうぞ のったり おりたり



 ゾウバスは、こんなふうに、手を挙げている人たちを乗せて、その人たちの行きたい所まで
乗せていってくれるのです。
 ある人は会社へ、ある人たちは大きな街へ。

 ゾウバスのその姿は、なんとも健気で、なんともいえずかわいらしい。

 大きな街へも、海辺の町へも、砂漠の道でも、夕方になっても、ゾウバスはずっとずっと
走り続けます。その姿に、自分自身の毎日を重ねることもできるだろうし、道で手を挙げている
誰かに、自分を重ねることもできるかもしれません。

 ゾウバスが、ただ、てこてこと走り続けることが、この本のストーリーであり、この本の
(もしかして)すべてなのかな、と思います。


 そして、ゾウバスが走って行く道の先が、橋によって、向こう側(向こう岸)へと繋がって
いくことが、ゾウバスにとっても、ゾウバスのストーリーにとっても、読み手の私たちにとっても、
忘れちゃならない大切なことのように、思えました。

 こっち側と、あっち側。

 それを繋いでくれる橋は、目に見える頑丈な建造物であると同時に、絆のようなものでしょうか?

 「すっごく橋を描きたかった」と言っていた荒井さん。目に見えない橋も、画面の中に描き込んだに
ちがいないと思っています。



 気がつかないだけで、太陽が音を出しているとしたら…?
その音に慣れっこになってしまったから聞こえないだけで、ほんとは音が鳴っているとしたら…?
それはどんな楽器だろうと考えて、オルガンにたどり着いたのだそうです。

 

 ゾウバスの存在を知らなくても、ちっとも不便なことはないけれど、でも、ゾウバスが
雨の中も雷の中も、ひとりで、橋のこっち側からあっち側までてこてこ走って、誰かを
乗せたり下したりしている姿を、心の中に思い浮かべることができて、よかったと思います。

 その「よかった」という気持ちは、たとえば、結果的に別れることになってしまったけれど
 あなたに会えてよかった、という気持ちとおんなじところから、出ているような気がします。



    ゾウバス はしのとちゅうで とまりまーす

    たいようオルガン つきオルガン



  



  
  ※『たいようオルガン』の原画展は、丸善丸の内本店で下記の通りに。

   開催期間:2007年7月2日(月)〜7月15日(日)  
   展示場所:丸善・丸の内本店 3F中央エレベーター前

   原画の美しさは格別です。ぜひご覧になってくださいね。7月14日には
   サイン会もあるそうです。


 
  
 

   

 

コメント (13)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

荒井良二トークショー@青山ブックセンター

2007-06-18 19:08:45 | 好きなもの・おでかけ

 昨日6月17日は、先日このブログでもお知らせしたとおり、荒井良二さんの新刊『たいようオルガン』
刊行記念のイベントが、青山ブックセンターでありました。

 14時半開場、15時から17時まで。その後サイン会あり。

 14時すこし前にブックセンターに着いて、まずは店内ギャラリーで、『たいようオルガン』
原画を見ました。

 少し前に、本が出て、本屋さんで平積みになっていましたが、今日のために、1ページたりとも
ページを開かず、なるべく書評なども読まないようにして、この日を待った甲斐は十分にあった
素晴らしい原画でした。

 こんな色も、こんな風景も、荒井さんは先日のテレビのオンエア中に描かれたように、どんどん
色を塗っていって、どんどん色を重ねていって、頭が考えるよりも先に、手を動かしていったのかなと
その様子を思い浮かべながら、見入りました。
(‥あ、でもこのほんとに雨が降っているような、鉛筆の線は、最後に鉛筆を細く細く削って、慎重に
でもスピードは落とさずに描いたんじゃないかなあ‥とか、色々細かく思いながら。)


   

 イベントホールに行ってみると、受付準備中の机のところにはまだ誰もおらず、でも、通路の反対側の
キャンセル待ちのラインには、もうお二方いらっしゃったので、並ぶともなく机の横に立っていたら、
なんと、私が整理券番号001となりました。

 よかったです、001番。そのおかげでとってもいい席に座ることができ、トーク中の荒井さんと
何度もお話してしまいました♪ 隣に座ったrも、荒井さんに2度程問い掛けられ、その度に、
返事に困っていました。こんなときに、大きな声でおもしろいこと言えるような子だったら、その場的
にもよかったのでしょうが、まあ、しかたないですよね。


 
 ほぼ、時間通りに始まった「トーク」は、今思い返してみると、大きく4つに分けられます。

 その1 新作『たいようオルガン』製作秘話。

 その2 新潟の新津美術館で、巨大なオブジェを作った話。

 その3 同じく新津美術館で、作曲家の野村誠さんと行ったワークショップの話

 その4 質問に答えるコーナー。


 開場にはプロジェクターが用意されていて、新津美術館でのオブジェ制作や、ワークショップの
様子は写真で見ることができました。関連記事が載っているかも、と思い美術館のサイトを見て
みたら、スタッフの方のブログを発見し、そこで期間中に行われたイベントや、ワークショップの
詳細を読むことができました。リンク貼っておきますね。 

 このリンク先の記事と、野村誠さんのブログを読むと、昨日荒井さんがされたお話がほぼ忠実に
再現されます。こどもたちとのワークショップの話をしている時が、一番楽しそうだったし、一番
荒井さんご自身も、盛り上がっていたかも。

 その中で、こんな印象的な言葉も、聞くことができました。

 「ピアノに好き勝手に色塗っていいよなんて、一生のうちであるかないかのことじゃない?
 だから、こどもも興奮状態になるわけよ。もう夢中になって、手形とかつけちゃって。
それで俺に怒られるわけ。おまえら、手形なんかかっこわるいぞ、やめとけとか。すると
いつのまにか手形は終わってて、また、夢中で塗りだして‥‥

 で。そういうことって、忘れちゃっていいかなと思うわけ。全然忘れてもらって構わない。

 だけど、いつかそいつが大きくなって、ある日ふと、あ、俺むかしピアノに色塗ったことがある、
とか、記憶の蓋がぱかんと空いて‥それでいいかなあって」

 (jasuminさん、私の記憶あってますか? ふふふ。昨日会場でjasuminさんとお会いしたんです)


 
 うんうん、わかるわかる、わかりますその感じ。

 そういう顔で私は聞き入っていたと思います。おんなじおんなじ、と言うのは、あまりにも
畏れ多いようだけど、私が、「小学校の教室で絵本を読む」ということに対して思っているのも、
ほんとにそういう気持ちなんです。

 今日のこととか、絵本の題名とか内容とか、本を読みにきたおばさんのこととかすっかり
忘れちゃってかまわない。だけど、ある日ある時、あれこれどこかで聞いたことあるかも。
こんなようなフレーズ、どこかで聞いたことあるかも、とふと思い出してくれたらなあと…。




 荒井良二さん。とっても魅力的な人だと、再確認しました。
 それと、すごく親近感というか、全然知らない人じゃないみたいに思っている自分自身にも、
再度驚いています。(私の知人に青森県出身の男性が居て、その人の話し方が、なんかすごく
荒井さんに似ていて、そのせいだと思うのですが、まるでずっと昔から知っている人のように
ずうずうしくも感じています。)
 

 そうそう、質問コーナーでの話をいくつか。

 「好きな色は何色ですか?」 この質問が3人の方から寄せられていました。
 「赤です」 (←この日も赤いシャツに赤い靴でした)

 「好きな野菜は何ですか?」
 「え~野菜?? 野菜…あ、あれあれ、しゃきしゃきっとしてて、夏の時期だけで、
 その土地によって呼ばれ方が違って、あれなんだけっけ? つけ菜かな、つけ菜」

 「自分以外の絵本で、好きな絵本は何ですか?」
 「ん~たくさんあるから…。あ、スウェーデンの作家でヨックム・ノードストリュームの
  セーラーとペッカのシリーズはおもしろいね。」

 「最近買ったCDは何ですか?」
 「ん~なんだったかなあ。酔っぱらうとさあ、下北沢の中古CD屋に行って、まとめて
 買っちゃうんだよね。ん~なんだろう。なんだっただろう」





 
 トークショー終了後、サイン会に。
 001番を持っている私は、一番目です、嬉しい。

 娘の名前をすごく気に入ってくださって…「ほんとにいい名前だと思って、
 漢字だったらどう書くの?


 こどもの名前褒められるのって、かわいい子だねえ、とか、賢そうと言われるのより、
 もしかしたら、一番うれしいかも。

 荒井良二さま。

 ぜひ次の機会まで、その名気に入ったこと、忘れないでいてくださいね。




コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミント水…?

2007-06-15 18:24:10 | 日々のこと

 昨日梅雨入りしたというのに、今日は梅雨明け後のような青空で、暑い1日でした。

 翌日の分までと決めている『ひらがな暦』
 ちょっとずるして、ちょっと先の方まで読んでいたら、6月20日のところに、ミント水が載っていました。

 20日→はつか→ハッカ→ミント で ペパーミントデーだそうです。


 
 葉っぱを摘んで、沸騰したお湯にひとつかみほど入れて、蓋をして蒸らす。

 香りが出たら、葉っぱ漉す。

 ここまでで、すごくいい匂いと、きれいな薄緑色が水に移っていました…

 そして、氷を入れたグラスに注いだのが、↑の写真。とっても爽やかで、すっーとした飲み心地に
満足したのですが、でも、これだったら、ミントティーだよね?という疑問。

 
 本を持ってきて、よーく読んでみたら、葉っぱを漉した後に、

「ハチミツを好みで入れて、ひと煮立ちしてとかす。さまして保存瓶に。
水でわってミント水。好みでミントリキュールを一滴。」と書いてありました。


 そーか、ここまでやって「水でわると」ミント水で、割らないと、ミントティーなのかしら。
結構、奥が深いです…。




 全然関係ないけど、ハッカのことを漢字で、薄荷 と書くのを知ったとき、なんか
わけもなく気に入ってしまい、とっても素適な言葉を知ったような気持ちになったことを
突然、思い出しました。高校1年生ぐらいだったかな。同じころ、サーモンピンクという色と言葉も
お気に入りで、サーモンピンク色のフェルトで作ったブックカバーを、文庫本にかけていました。
そのブックカバーには、小さなポケットが付いていて、それは自分の中ではかなりのグッドアイデア。
電車の切符1枚が、やっと入るくらいのもので、そこに、当時片想いの人の似顔絵を
自分で描いてしまっていました。

 恥ずかしくも、懐かしい話…

 ミントティーで、私だけの胸の中に、ごっくんと再び飲み干してしまいましょう。






 

 

コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アベコベさん

2007-06-13 16:25:19 | ひらきよみ(読み聞かせ)

 6月8日の「開き読み」で、 『どんなかんじかなあ』の後に読んだのは、この本です。

 アベコベさん
    『アベコベさん』
 フランセスカ・サイモン 文 ケレン・ラドロー 絵
         青山南 訳



 メンバーの一人が、以前に5年生のクラスで読んだあとに、本を見せてもらい、おもしろいなあと
思っていたので、本選びの段階で、すぐに頭に浮かんできました。

 学校で見せてもらって、家には持って帰ってないし、図書館からも借りたこともないので、
よーし、この絵本なら娘は読んだことがないぞ、と思って決めたのですが‥。

 金曜日の夕方、学校から帰ってきた娘に、朝の「開き読み」後のクラスの様子や、お友達の反応
などを聞いていたら、「‥rは、2冊とも読んだことある本だったけどさ‥」と。

 え~?! いつの間に読んでたの????

 ことり文庫で。

 え、ことり文庫って?

 だから、この前、ママとことり文庫に行った時、この本おもしろいよって、
 ママが教えてくれたじゃない。だから、お店で読んじゃった。

 ‥‥‥そ、そうだったんだあ。

 私が知らないと思ってたの、ママ?

 そ。知らないと思って選んだの。

 ふーん。


 とまあ、こんなおまぬけな私なのでした。




 アベコベさん。

 最初に惹かれたのはこの題名です。原題は The Topsy-Turvies

 辞書で調べたら、さかさま(に、の) とか、めちゃくちゃ(に、の) と載ってました。

 さかさま一家とか、めちゃくちゃファミリーとか訳さずに、アベコベさん とするなんて、
青山南さんのセンスのよさ、あるいは苦労の結果?が伺え、ひとりで感心しています。

 
 
 お話は、こんなふうに始まります。

 むかし あるところに アベコベさんの家が ありました。
 アベコベさんの家では いつも おきるのは真夜中でした。

 みんな おきると、パジャマにきがえて 2かいにいきました。夕ごはんなのです。
 「さあ いただこうか、ブッス」とおとうさんは いいました。
 ブッスは ソーセージを おてだまみたいになげて くちにいれました。
 「なんて いい子なんだ!」と おとうさんは いいました。


 
万事この調子で、アベコベさんファミリーは、わが道を行っています。

 学校では子供たちが先生になるし、夜の公園で遊ぶときは、大人がブランコに乗って
その背中を子供たちが押してあげるし、音楽を楽しむ時も、シンバルを足に履いたり!
(常識にとらわれず、無邪気な感じ漂うこの家族に好感を持ちますが、テレビを観るときは
逆立ちするよりも、普通にソファに座った方が楽じゃないかな、コートを着て寝ると苦しくないかなあ
と個人的には思っています・笑)

 

 普通ってなんだろう。

 そんなことを、笑ったあとで、考えてもらいたい本なのかもしれないなあと思います。

 全然、普通じゃあないアベコベさん一家を笑うことで、積み上げられ、完成されつつある
自分たちの「普通の生活」のよさを見直すとか??? 
そういうことを、この本から汲み取ることも可能だと思います。

 けど、私がこの本を選んだのは、 『どんなかんじかなあ』のあとで、ちょっと笑って、リラックス
してもらいたいという気持ちと、アベコベパパの 

 「よのなかには いろんなひとが いるんだ」

 という言葉を、読みたかったからでした。




コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

草取り新記録と時間のはなし

2007-06-10 18:28:55 | 日々のこと

 若かった頃は、ちっとも興味がわかなかったことが、年齢を重ねるとともに、不思議とおもしろく
感じられるようになることが、少なからずあります。

 草花を育てることもそうだし、こどもが生まれるまではお裁縫とも縁遠かったし。

 でも、これがおもしろく感じられるようになるとは、自分でもちょっと意外。だって「楽しみ」よりも、
「労働」の延長のような気がしていたから…草取りのこと。


 うちの庭は、いえ、正確にいうと、駐車場として貸している所は、ほっておくとすぐに草ぼうぼうに
なってしまい、空地化が進んでしまうのです。すこし前ならたんぽぽ、それが終わると、どくだみが
はびこってくるし。

 一緒に住んでいる私の母は、日曜の朝になると、タオルほっかむりで、カマを持っていつも
草刈りをしています。その様子を今まではただ「傍観」していましたが、なんだか今年はむくむく
やる気がわいてきて…今までも、プランターのまわりなどは、ちまちまと抜いてはいたのですが、
今日はすごーくがんばりました。

 で、がんばった結果が冒頭の写真の、草の山なんです。

 「1時間くらいやると結構きれいになるよ」と母が言っていたのですが、ほんとにその通り。
やれやれ、今日はこれでおわりにしようと時計を見たら、ちょうど1時間くらいでした。
 昼間に雷雨があり、そのあと夕方にかけて青空が覗いてきたので、地面の具合もちょうどよく、
それでおもしろいように、軽くひっぱっただけでも、簡単に取ることができました。

 雨がぱらつく中、スポーツクラブで、踏み台エアロビクス45分、そのあとボディパンプ45分を
やったあとの草取り1時間。なんでこんなに今日は体動かしているのだろう?と自分でも思っています。




 そうそう、愛用している手帳の「今日のひとこと」。
 6月10日のところにはこんなことが書いてありました。

   中学校を卒業するにあたって、小学校の時お世話になった先生方から
   ビデオレターを頂いた時、ある先生が言った言葉です。
   「自分の歳を3で割ると、それが人生の時間だ」私達は15歳÷3=5時。
   午前5時は夜明け前、今人生の夜明け前にいるのだと教えてくださいました。
   あなたの人生は今何時ですか?<読者メールより>

 
 
人生の時間、何時ですか?なんて、なんか終末時計みたいで、やですよね。
 
 でも、一応、何時のところにいるのかなあ、なんて何気に計算してみちゃったりして。

 あ~。
 昼寝から起きて、そろそろおやつですよ。草取りしている場合じゃないのかもしれません。

 あ、でも。
 だからこそ、草取りしたいのかなあ。夜明け前の5時だったら、誰もそんな時から草取りしよう
なんて思わないし。お昼ご飯の前だって、ぜったいに思わないし(笑)。





 
 

コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どんなかんじかなあ

2007-06-08 18:56:07 | ひらきよみ(読み聞かせ)

 今日は、2ヶ月半ぶり、今年度に入ってはじめての「開き読み」の当番の日でした。

 行ったのは5年生の、娘の居るクラス。しかも担任の先生は、この図書ボランティアを
立ち上げた方なので‥久しぶりに緊張しました。
 娘は、自分のクラスに来るときは、自分の知らない本を読んでね、と言うので、本選びの
段階から練習まで、こそこそこそこそ。本もずっと事務所の机に隠しておきました。
(でも、結果的には、2冊とも娘の知っている本を読んでしまったのですが…)
 

 
 迷った末、1冊目はこの絵本にしました。
 

  どんなかんじかなあ
      『どんなかんじかなあ』
      中山千夏 文  和田誠 絵

 
 前に家では読んだことがあるので、娘は「なんだあ」と思ったかもしれないのですが、
それを承知の上で、この絵本は選びました。
 何週か前に、5年生は「総合学習の時間」で、アイマスク体験というのをしていたからです。

 目が不自由とはどういうことなのかをすこしでも知るために、二人ひとくみになって、
一人がアイマスクをして、もうひとりの声を頼りに、廊下を歩いたり、階段を下りたり…。
そのときの不安な気持ちやどきどきが残っているうちに、自分とは違う状況を想像してみること、
思いを巡らせてみることの大切さ、みたいなことを伝えられたらなあと、思いました。

 この『どんなかんじかなあ』は、表紙に描かれているひろくんが、自分とはちがう状況にある
ともだちのことを、「それって、どんな感じがするのかなあ」とイメージし、そして
少し近づいてみるために、たとえば、目を閉じてみたりするのです。


  ともだちの まりちゃんは めがみえない。

  それで かんがえたんだ。
  みえないって どんなかんじかなあって。

  しばらく めを つぶっていたら わかるかもね。
  うん、めを つぶっていてみよう

 

 しばらく目を閉じていたことで、ひろくんには新しい発見がありました。色々な音があふれかえって
いることに気がついたのです。だから、驚いて目を開けたひろくんは、まりちゃんにこう言います。


  「みえないって すごいんだね。
  あんなにたくさん きこえるんだものね。
  みえるって そんだね。
  ちょっとしか きこえてないんだものね」



   …    …   …   …   …
 
 

 基本的に私は、絵本は個人の楽しみのために存在すると思っているので、絵本を「利用」して
何かをわかりやすく伝えようとしたり、ある種の考え方を説こうとしていたりする、そういう
匂いがすこしでも感じられるものを、手にしてみることはあまりありません。

 左側のはじが「道徳」という項目で、右側のはじが「アート」という項目なら、私の中の
「絵本ものさし」は真ん中より、だいぶ右に寄っているのです。

 『どんなかんじかなあ』は、そんな私の「ものさし」では、ぐーんと右に寄っています。
 中山千夏さんの口馴染みのよいテキストに、和田誠さんの絵が、とてもよく合っていて、
「どんな感じかなあ」の世界に自然に、無理なく入っていくことができるのです。


 絵本を1冊読んだことで、賢くなったり、勉強になったりすることは、あまりないかなあと思うし、
そういうことに絵本を「使って」はもったいないし、絵本に対しても失礼かなあと感じています。
 だから、うまく言えないけど、『どんなかんじかなあ』で、学習してもらう必要は全然なくって、
ただ、いろんなことを、自分の枠の範囲を越えて、想像していってもらいたいなあと…それだけを。

 まず、思ってみること(想ってみること)が、すべてのはじまりだと思うから。




 ※2冊目の本の話は次の巻にします。









 

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シンプルはねちゃん

2007-06-03 18:15:27 | 思い出の絵本
 日曜日の午後、久しぶりに娘と駅近くの本屋さんへ行きました。彼女のお目当ては、
児童書のコーナーにあるのですが、ふたりで、絵本の「特集」のコーナーから、順に見ていきます。

 そこでの特集その1は、リサとガスパール。いつか絵本展でストラップを買ったことはあるけれど、
本は1冊も持っていません。流行り始めた頃と娘の成長が、ちょっと合わなかったみたいです。

 特集その2は、いしいももこさんの本。特集その3は、雨降りの絵本でした。


 
 そんな中、私が気になったのは、赤ちゃん絵本のコーナーにあったこの本です。

   はねはねはねちゃん(福音館書店)
  『はねはね はねちゃん』
 なかがわりえこ 文 やまわきゆりこ 絵


 表紙の子、はねちゃんが着ているオーバーオールの水色がなんとも涼しげで、
今の季節にぴったり、と思いながら、あえて手に取らず、眺めるだけで帰ってきました。
「こどものとも0,1,2」版のものを持っているからなんです。
 
 本棚の奥からひっぱり出してみたら、1995年12月号、0,1,2の通巻9号と裏表紙に
記されていました。
 娘は1996年の8月生まれで、0,1,2の購読を始めたのが97年の4月号からだったので、
毎月の号の間に、バックナンバーを見つけて買ったもののうちの1冊だということを、
発行年月を見て、思い出しました。


 ぐりぐらコンビの作品が、赤ちゃん絵本でも出ていることに、当時の私が驚いたことは
言うまでもありません。

 
 はねちゃんという名の子が、登場してくる動物と一緒に、体操(らしきもの)をするという
お話なのですが。

 はねちゃんは男の子かなあと思った後に、でもやっぱり女の子にも見える、というところが
とっても良いところです。
 山脇百合子さんは、どちらにでも見える子どもを、最初から意識して描いてくれたんだろうなあ
と思います。名前も「はねちゃん」と決まってはいますが、もちろん、そこにはそのおうちの
赤ちゃんの名前が入りますよね。

 今日、とっても久しぶりにこの絵本を開いてみて、もうひとつ思ったのは、色がとっても抑えて
使われている点です。はねちゃんが来ている服は水色ですが、それ以外は、ほとんど茶系の
色なんです。

 キリンの茶色、くまの茶色、がちょうの羽の茶色、カメの甲羅の茶色。

 あと色といえば、うさぎの白に、うさぎの鼻の頭と耳の中の薄いピンクと、はねちゃんの
ほっぺの赤味だけ。バックもすべて白色…。

 きれいな色が画面からあふれんばかりの絵本も楽しいですが、これだけシンプルな絵本
(しかも赤ちゃん向け)があるって、とってもいいなあと思います。


   うさぎが ぴょんと とんできて
   うさぎの たいそう
   ぴょん ぴょん ぴょん

   はねちゃんも ぴょん
   はね はね はねて

   しりもち ついて
   はい おわり


 テキストだって、こんな口馴染みがよくって、楽しいし。


 読んでもらっていたことを、当の赤ちゃんは、「覚えているよ、知ってる知ってる」とは
言ってくれないけれど、一緒に楽しんだ思い出を、周りの大人たちは赤ちゃんから
貰っていたので、それで十分なのかなあと思っています。

 PCの横に置いてあるこの本を見て、うちの娘が、なにこれ?こんなのあったっけ?と
たとえ言ったとしても…です。




 
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする