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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

とびきりおいしいデザート だめよ、デイビッド!

2017-02-22 17:02:48 | ひらきよみ(読み聞かせ)

先週の金曜日は、5年生のクラスでの、読み聞かせ当番でした。

すこし迷ったすえ、こちらの絵本に初挑戦しました。



新刊絵本講座で紹介されて、お話も絵も、紙の質も、とっても好みな絵本でしたが、
すぐには購入せず(なんでだったかもう思いだせません笑)、去年の娘の誕生日に
贈る、という方法で、手に入れました。



私たちには馴染みのない「ブラックベリー・フール」というデザートを軸に、
1710年代、1810年代、1910年代、そして2010年の4つの時代の4つの家族の
物語が描かれています。

ブラックベリー・フールは、ブラックベリーと、砂糖と、生クリームさえあれば誰でも
簡単にできるデザートで、使う道具や、冷やす手段の違いはあるものの、300年前から
レシピがほぼ同じなのです。

泡立て器が進化したり、冷蔵庫がない時代はどうやって冷やしていたかとか、
そのあたりにも注意深く、絵を見ていくと楽しめると思います、と読み始める前に
すこし解説をしました。

もっと注意してみていくと、1710年代はイギリスのライムという町で暮らす家族が
描かれていますが、食卓についているのは、お父さんとお兄さんたちだけで、
お母さんと、女の子は、一緒には食べていないのです。

1810年代は、アメリカのサウスカロライナ州チャールストンの農場主の家なので、
主と肌の色が違う、べラックベリーフールを作ったお母さんと娘は、もちろん、
食卓に一緒につくなんてことは決してなかっただけではなく、あとかたづけのとき、
ボウルについていた ブラックベリー・フールをなめるのも、ものおきにかくれて
でした。

1910年代、100年前のボストンになると、ブラックベリーは市場で買ってきて、
生クリームは配達されたもので、台所には冷蔵庫(木でできていますが)がある、という
私たちの今の暮らしにぐっと近づいてきます。食卓も家族みんなで囲んでいます。

2010年といえば、つい最近。サンディエゴに住むお父さんと息子が、スーパーマーケットで
買い物をして、お父さんは、インターネットでレシピを調べ、息子は、電動あわだてきで
いっきにホイップクリームを完成させます。
冷蔵庫に、出来上がったブラックベリー・フール入れたとき、友だち家族が、思い思いの
料理を持ってきてくれて、ばんごはんは、みんなでゆっくりたべました


ひとつのデザートをめぐる4つの物語。
5年生の気持ちのどこかにひっかかるものが、すこしでもあったらなあと思いました。

(読み終わった後に、なんで、このお母さんと女の子はものおきに隠れて
ボウルをなめていたのかわかったかな?と聞いてみました。
前の方に居た男の子が、奴隷だからでしょ、と答えてくれて、5年生くらいだと
いろんなこと知っているね、かなしい歴史だよね、と結びました)


長い絵本だったので、1冊で終わりにすることも考えたのですが、あえて高学年で
この絵本を読んでみようと、思いました。
「もうこんなふうに、おこられている人いないよねえ?」と言ったあと。

どのページでも、笑いが起こり、ちょっとしんみりしたような気分が一掃されて、
楽しい気持ちで終わることができたので、読んでよかったと思いました。

最後のページで、よしよし、デイビッド‥ だいすきよ!

誰だって、いくつになったって、そんなふうにすべてを受け入れてもらいたい
ですものね。




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ももたろう てぶくろ

2017-02-15 09:38:40 | ひらきよみ(読み聞かせ)

先週の金曜日は読み聞かせの当番日。
4年生のクラスでひとりで2冊、読んできました。

最初に読んだのはこちら。
誰もが知っている話だけれど、ちゃんと読んだことはないのでは?

わたしも、実は教室でこの絵本を読むのは初めてでした。



2月なので、節分→豆まき→鬼→鬼が出てくる絵本、という連想‥です(笑)。

読んでみるとなかなか読み応えがあり(9分くらいかかります)、内容的にも
とてもしっかりしています。
ももたろうが、なぜ、おにがしまへおにたいじをしに行こうと思ったのか、
その経緯が場面でちゃんと説明されているし、何より、おじいさんおばあさんが
ももたろうを大切に育てたことがよくわかるので、家族のものがたりとして
いいなあと思ってしまいます。

ももたろうは、いぬ、さる、きじとのたった「4人」で、鬼の大軍に向かっていく
わけですが。

にっぽんいちのきびだんごを どっさり たべてるもので、なんびゃくにんりき。

ここでも、ももたろうたちが強い「わけ」が、ちゃんと(でもさりげなく)説明されて
いるので、物語が、すとんと胸に落ちていくのかなーと思いました。

4年生は、「最初の絵本はももたろうです、みんな知ってるかな?」と言った時には
なあんだ感が多少漂っていましたが、私の記憶と違っているところもあったので、
みなさんが知っているお話とも、違っているかもしれませんよ、と言ったら、素直に
聞き入り、読み終わったあとに、「最初に流れてきた桃じゃなかったね」とか、
「たからものは持ってこなかったー」とかいろんな感想言ってました。




2冊目は、この時期に機会があったらぜひとも読みたいこちらの絵本。


どんどん「家化」していくてぶくろがとても楽しいです。

知ってる子と知らない子が半々くらいのようでしたが、知っていると言っていた
男子が、ページをめくるたびに、おもしれえとつぶやいてくれる姿が
かわいかったです。

最後のさいごで、熊が入ってきますが、その絵は描かれてないんですよね。
だから、皆、自分の頭でその姿を想像するわけですが‥

最終ページの絵は、また元のてぶくろだけに戻っているので、簡単な文章の
繰り返しが面白い本ですが、想像力を駆使するという点では、中学年、高学年向き
かも?と思ったりしました。




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ブログ(から)のしあわせ

2017-02-14 16:56:37 | ふと思ったこと

先週の金曜日に、とても久しぶりに『てぶくろ』を読み、そういえば
だいぶ前に、このブログにも感想を書いたことがあったなあと思い出しました。

探してみたら、なんと2005年11月。ブログを初めて5か月がたちました、って
書いてありました。

娘は小学3年生。一緒に寝ているけど、寝る前に絵本はあまり読まなくなって
きていたみたいですねー。
でも、この『てぶくろ』を読んであげて、そのあと、くっついて眠ったんだなー。
そのブログのタイトルが ぬくぬくのしあわせ ですものね(笑)。



それにしても、動物が逃げていったあとの手袋を想像して

てぶくろの中に、動物の毛がついていないかな?  と言った娘。


細かいところを突いてくるあたり、小3の時からずっとぶれて
いませんね~笑笑



思わぬところで、埋もれていた懐かしいことを思い出せて、なんか
ひとりでにまにましてしまいます。

ブログって、なんだかひとりタイムマシンですね~

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なんでも見える鏡

2017-02-01 16:52:37 | ひらきよみ(読み聞かせ)

すこし前にさかのぼりますが、1月20日金曜日は、今年になってはじめての
読み聞かせの当番日でした。
ペアで5年生のクラスへいきました。

私が最初に読むことになっていたのですが、その日の教室内は、男子と女子が
真ん中から不自然にきっちりと分かれていたので、いつものように、
「本のページが見にくいので、もっと真ん中に寄ってください」と声をかけました。

ところが、廊下側に陣取った男子に動く気配なし。
前列に居る女子のひとりが「今、男子とけんかしているとこなんです。だから
これでいいんです」と教えてくれました。

はいはい、そんなこともあるんですねーと心の中でつぶやきながら、
「では、絵が見たくなった人は寄ってきてくださいね」と言い、読み始めました。

選んだのはスズキコージさんの絵本。
なんとなく、コージさんの絵で、むかし話が読んでみたくなり、図書館へ借りに
いってきました。



けちんぼうな主人に嫌家がさしたジプシーが旅に出て、そこで出会った
ものたち‥ぎんいろのさかな、ワシのこども、アリの王さま‥を助けると、
うつくしい王女と結婚したいという望みを叶えるための手助けを、それらが
してくれるというお話なんですが。

王女と結婚できる条件は、「王女から隠れて見つからなかったもの」で、
王女は とてもかんがよくて、りこうで、しりたがりやだった し、しかも
世界じゅうのものを、なんでもうつしだす 鏡 を持っているのです。

1度目は見つかり、2度目のチャンスをもらうものの、次に見つかったら
おもい罰をうけるのよ と言われ、けれど見つかったにもかかわらず、
王女からの罰はありませんでした。

3かいめのこんどこそ、しあわせを つかめるかもしれない。

ジプシーはアリの王さまにたのみ、とてもうまく隠れます。

一方、王女は、鏡に自分の心が映し出されていることを知り、
「それじゃ、ジプシーは、わたしの心のなかに いるというのね」


王女は自分でも気づかぬうちに恋に落ちていたのですね。

このあたりが、高学年で読んだほうが面白いかなーと思って選んで
みたのですが、男子と女子のけんかの真っ最中(笑)だった5年生には
どう伝わったでしょうね。


2冊目と3冊目は、ペアさんが読んでくれました。

   


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