先週の金曜日は、5年生のクラスでの、読み聞かせ当番でした。
すこし迷ったすえ、こちらの絵本に初挑戦しました。
新刊絵本講座で紹介されて、お話も絵も、紙の質も、とっても好みな絵本でしたが、
すぐには購入せず(なんでだったかもう思いだせません笑)、去年の娘の誕生日に
贈る、という方法で、手に入れました。
私たちには馴染みのない「ブラックベリー・フール」というデザートを軸に、
1710年代、1810年代、1910年代、そして2010年の4つの時代の4つの家族の
物語が描かれています。
ブラックベリー・フールは、ブラックベリーと、砂糖と、生クリームさえあれば誰でも
簡単にできるデザートで、使う道具や、冷やす手段の違いはあるものの、300年前から
レシピがほぼ同じなのです。
泡立て器が進化したり、冷蔵庫がない時代はどうやって冷やしていたかとか、
そのあたりにも注意深く、絵を見ていくと楽しめると思います、と読み始める前に
すこし解説をしました。
もっと注意してみていくと、1710年代はイギリスのライムという町で暮らす家族が
描かれていますが、食卓についているのは、お父さんとお兄さんたちだけで、
お母さんと、女の子は、一緒には食べていないのです。
1810年代は、アメリカのサウスカロライナ州チャールストンの農場主の家なので、
主と肌の色が違う、べラックベリーフールを作ったお母さんと娘は、もちろん、
食卓に一緒につくなんてことは決してなかっただけではなく、あとかたづけのとき、
ボウルについていた ブラックベリー・フールをなめるのも、ものおきにかくれて、
でした。
1910年代、100年前のボストンになると、ブラックベリーは市場で買ってきて、
生クリームは配達されたもので、台所には冷蔵庫(木でできていますが)がある、という
私たちの今の暮らしにぐっと近づいてきます。食卓も家族みんなで囲んでいます。
2010年といえば、つい最近。サンディエゴに住むお父さんと息子が、スーパーマーケットで
買い物をして、お父さんは、インターネットでレシピを調べ、息子は、電動あわだてきで
いっきにホイップクリームを完成させます。
冷蔵庫に、出来上がったブラックベリー・フール入れたとき、友だち家族が、思い思いの
料理を持ってきてくれて、ばんごはんは、みんなでゆっくりたべました
ひとつのデザートをめぐる4つの物語。
5年生の気持ちのどこかにひっかかるものが、すこしでもあったらなあと思いました。
(読み終わった後に、なんで、このお母さんと女の子はものおきに隠れて
ボウルをなめていたのかわかったかな?と聞いてみました。
前の方に居た男の子が、奴隷だからでしょ、と答えてくれて、5年生くらいだと
いろんなこと知っているね、かなしい歴史だよね、と結びました)
長い絵本だったので、1冊で終わりにすることも考えたのですが、あえて高学年で
この絵本を読んでみようと、思いました。
「もうこんなふうに、おこられている人いないよねえ?」と言ったあと。
どのページでも、笑いが起こり、ちょっとしんみりしたような気分が一掃されて、
楽しい気持ちで終わることができたので、読んでよかったと思いました。
最後のページで、よしよし、デイビッド‥ だいすきよ!
誰だって、いくつになったって、そんなふうにすべてを受け入れてもらいたい
ですものね。