my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

感じ取るチカラのようなもの

2020-03-14 12:24:21 | 好きなもの・音楽や本

1週間くらい前にフェイスブックに↓の画像が流れてきて‥。
「?」と思っていたら、BSプレミアムでやっている「プロファイラー」という
番組でキヨシロウ特集があることのお知らせでした。





へえーなぜ今??? と思ったら、今年はキヨシロウがデビューして
50周年にあたる年なんだそうです。

番組を録画して観て‥知っていることも知らなかったとありました。
前は知っていたはずなのに忘れてしまっていたこともたくさんありました。

そして、買ってからほとんど読んでいなかった本を、久しぶりに
手にとりました。

ずっとかけてあったカバーをはずして、ちょっとびっくり!したのは、
デビュー40周年の記念号だったこと。
買ったことももちろん覚えていたし、読みたかったから購入したのに、
当時はなんだか読み進めることができませんでした。
だってその前年の2009年に、逝ってしまったばかりでしたから。

ページを繰るうちに、あれあれとなってきて‥プロファイラーで初めて観た!
と感動していた「週間 鳩」のこととか、高校時代のノートとか、全部ぜんぶ
この本に載ってるじゃないですか。
わたし、なにやってんの?!(なにやってたの?!)です。

盟友からのメッセージや特別寄稿の文章や、スペシャル対談から漫画まで
今回最初から最後までじっくり読みました。
誰もが知っている「RCサクセション」の活動期間が意外に短かったこととか、
その「前」と、その「後」のこととか、(今更ですが)よーくわかりました。


今このタイミングで、読むことができてよかったなーと思うし、私にとっては
今が「読むとき」だったのかもしれないなーとも思います。
The CloverというバンドがRCの前身なんですが、前述の夏のクリスマスローズからの
流れで、私、大野八生さんの『庭のたからもの』という絵本をキヨシロウの本と
同時進行で読んでいたのです。
そこに、四葉のクローバーの見つけ方が詳しく描かれていて‥。

だから何?と言ってしまえばそれでおしまいですが、こういう偶然というか
小さい物事の繋がりを大事にしたいというかー。
あ、
という自分の中での小さな気づきを大切にしていると、(誰にわからなくても)
自分自身の小さなセカイがなんかぎゅっと楽しくなるような気がするのです。

繋がっていく(繋がっている)感覚とか、導かれていくような流れとかで
読書や音楽を聴いていくのって、とっても上等な一人遊びじゃないかな。

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夏のクリスマスローズ再読

2020-03-09 17:10:55 | 好きな本

手しごとを結ぶ庭の、「ひと枝のローズマリー」を読んだら、久しぶりに
夏のクリスマスローズを読んでみたくなりました。

季節が春に向かっていて、好きな花がちらほら咲き始めたことも関係
しているのかもしれません。



最初に、読んだのはいつだったかなーと思いながら、ぱらぱら
めくっていたら、裏側の見返しにこんな素敵なイラスト発見。
 そして右隅に2010の文字も。

自分の読書記録で確認したら、2010年12月に最初に読んだことが
わかりました。かれこれ10年近くも経っていたことにびっくり。



本を開いて右側のページにイラスト、左側には文章、という構成で
29編納められています。

赤いポストの下側にまるで「一人で立っているポストを思って集まった
かのように」見えるぐるり輪になったスミレのはなし。
高い場所から街を見下ろすと、ビルとビルの間に赤いものが見え、それを
カラスがつついているので目を凝らしたら実生のトマト畑があった、と
いうはなし。
電車の中でビジネスマンの持っていた本からハラハラハラと紅葉した葉が
落ちてきたはなし、もいいなあと思いながら読みました。

そして最後から3番目の「市場のクリスマス(モミノキ)」。
花の市場の競り場で、背丈ほどもある大きなモミノキを運んでいく人を見て
まるでモミノキとワルツを踊っているようにも見えるのです。
に、作者のユーモア(視点のやわらかさ)を。

「サクラ(冬支度)」の中で、親方に笑われながらも、庭仕事で剪定した枝を
手入れした樹木からのご褒美のような気がして、毎日、おみやげとして
何かしら一枝、家に持ち帰ることにしていました。
に、限りないやさしさ(万物への愛)を感じました。


そういう諸々が「ひと枝のローズマリー」の中の、ここに集約されている
のでしょうね。

天国につながる電話ってあったらいいな。
庭のどこかにあるかも。
もう、どこにもいないということは、いつでも近くにいて
見てくれているということ。


何度も何度も読み返したくなるにちがいないからどこかに記したいと思い、
そうだ、こんな時のためのノートがあった、と、いそいそと開いて書き留めました。

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「まかて」まつり・続々

2020-03-03 17:46:37 | 好きな本

まかてさんブーム、続いています。
今回も、2冊図書館で借りてきて、まずこちらを読みました。


少し前にテレビドラマでやってましたよね。だから幼馴染の女3人で
お伊勢参りをする話だということは知っていたのですが、今まで私が
読んだまかて本よりも、ちょっと軽いかな?と思って後回しにしてました。

確かに軽妙で軽快ではありましが、内容は決して「軽すぎる」ことはなく、
一膳飯屋の娘・お以乃。御家人の妻・お志花。小間物屋の女主人・お蝶。
三者三様の、迷いも悩みもよく伝わってきて、気が付けば夢中になって
読みすすめていました。

三人の名前を合わせると「いの、しか、ちょう」。
若い頃にはぶいぶい言わせた(笑)三人が、家族を置いてお伊勢参り
なんていいですよねー。それだけでもぜったい楽しい。

コイバナはもちろん、人情味あふれる話や、胸の奥がつんと詰まるような
はなしもあって、楽しく読みました。終わり方もよかったな。



もう1冊はこちら。


内容はほぼ知らずに、図書館で表紙とタイトルを見て借り、そのあとに
ちょっと調べたら、江戸時代最大の贈収賄事件の行く末は? 歴史エンタメの最高峰。
って、書いてありました。

主人公は、大坂の炭問屋・木津屋吉兵衛。稼業は番頭らに任せ、自らは廓で遊び
一睡もしないで芝居見物に行くような放蕩の限りを尽くしていますが、生家の主の兄が
急死したことで、実家である薪問屋・辰巳屋へ赴き、兄の葬儀の手筈を整えたことから
始まり、事態は、辰巳屋の相続争いから訴訟へと発展していきます。

時の将軍8代目吉宗公や、かの大岡越前守忠相までも登場し、中盤から終盤へかけては
まるでサスペンスものを読むように、吉兵衛の運命の行く末にはらはらドキドキ
させられました。

表紙に描かれた寒牡丹の絵。
吉兵衛の若い妻お瑠璃が大層愛でている場面が序盤にあり、物語中でも、幾度か
出てくるのですが、読み終わって、ああそういうことだったのかとため息をひとつ
つかされました。みごとなエンターテイメント小説だったなあと、思います。

でも、ひとつだけひっかかるというか、すとんと落ちてはいかないのが、
タイトルの「悪玉伝」。
吉兵衛は、ほんとにそんなに悪玉なのか、という思いが読んでいる最中、ずっと胸に
あったのです。(吉兵衛よりも)もっと悪いやつが、ひょいと出てくるのではないかと、
思いながら読み進めていました。
靄の中に居るおひとの方が‥という暗示みたいなものも含まれていたのかなとも思いました。


まかてさんまつり、まだきっと続きます。


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