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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

運の神さま

2009-05-21 16:26:59 | 好きな絵本
近頃、毎日のように、『パワー』の中に出てきた神様のことを
思いだします。

運の神で、たしかエンニュと呼ばれていたと思うのですが、
本が手元にないので、確かめることができません。

その運の神はどんな方なのかというと‥
主人公のガヴィアがこんなふうに言っている箇所があります。

運の神は片方耳が聞こえないという。ぼくらが祈りを捧げるほうの耳だ。
運の神には、ぼくらの願いは聞こえない。
運の神に何がきこえているのか、運の神が何に耳を傾けるのか
それは誰も知らない〈中略〉

ぼくが知っているのは、祈ろうという気持ちになれないぐらい
落ちこんでいるとき、一切の希望を抱かず、何もあてにせず、
何の欲望ももたないとき、運の神は必ずぼくとともにいると
いうことだ。


「西のはて」の国は、とっても東洋的だなと思い、自分が小さい頃から
漠然と信じているような神さまと、とっても近い感じがします‥

運の神さま。
私がいつも、熱心にお願いごとをしているのは、右側の耳なんでしょうか?
そしてそれは「お休み」している側なのでしょうか?


       ‥     ‥     ‥


しかし、昨日図書館で、偶然こんな絵本を見つけると、それは偶然を
装った運の神が、気まぐれで、そっと棚に置いておいてくれたのでは、
なんて思ってしまいます。

きんいろのしか
    バングラデシュの昔話  アーメド ジャラール 案
    秋野 不矩 絵   石井 桃子
 再話


おすすめの棚が、「色にまつわる本」の特集でした。

初めてみた表紙でした。
シカの角があまりにも立派で、そして堂々としている姿に惹かれ手に取れば、
バングラデシュの昔話。アジア地域の昔話って、結構好きだし、文は石井桃子さん。
これは借りていって、ゆっくり読みたいと、鼻が効いたのでした。

お話しは、悪い王さまがいて、主人公が苦しめられて、それをまわりの動物と、
最後には金色の鹿が助けるという、昔話の王道パターン。(でもそれって、嫌いじゃないです)

何が素晴らしいって、描かれている絵がとても好き、と思いました。
秋野 不矩さんってどんな方なのでしょう?と早速検索してみたら、
なんと『
うらしまたろう』や『いっすんぼうし』の絵の方ではないですか。


でも、正直に言うと、この2冊の絵本は知っていましたが、絵について
とくに感想を持つほどじっくり読んだ(見た)ことがないのです。

経歴を読んでいたら、50代からインドに魅せられ、インドの材料を
使った新しい境地を開拓する とあったので、日本の昔話の絵を描くよりも
バングラデシュの話を描くほうが、ご自身も楽しかったりして、などと思ってしまいました。


浜松市に秋野不矩美術館があることも知りました。
それにしても、54歳のときに初めてインドの大学へ客員教授として
赴任して以来、インドにとどまらず、ネパール、アフガニスタン、カンボジア、アフリカにまで‥
すごいです。

そしてもひとつすごいといえば、文化勲章ほか数々の賞をお受けになっている
とても有名な方だったのですねー自分の無知が恥ずかしいです。

けれど、運の神さまのおかげで(?)、知らずにずっとこの先もいたかもしれない
素晴らしい画家をおひとり、【今】知ることができて、よかったです。

出会いはどこにころがっているかわからず、運の神さまは、聴こえないふりが
とても上手な方かもしれません。(あるいはすこしジャック・天野かも)







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10 コメント

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秋野不矩さん (くっちゃ寝)
2009-05-22 11:37:36
今年だったか京都で秋野不矩展があったのですが、
残念ながら見逃してしまいました。
お名前だけは存じていましたが、インドの絵を見てみたい、
と思ったのは、ある程度の年齢に達しても尚、新しい環境に
飛び込まれたことに興味を持ったからです。
新聞で見た絵も、乾いた大地の色合いがとても印象的でした。
三岸節子さんも年老いてからフランスへ行かれましたよね。
画家のパワーって、すごい!

『西のはて年代記』は、今を凝縮したような世界ですね。
私は『パワー』では、アジアのイメージを持ちました。
願い事をして聞き入れてもらえなくても
(そういう場合がほとんどなのでしょうが)、
そういうふうに考えたら神様は身近に感じられますものね。

返信する
秋野不矩さん (こもも)
2009-05-23 07:45:27
大好きな方なんです!
数年前、美術館にも行って来たのですが、
それは、それは、美しい美術館なのですよ!
交通の便が悪いのだけれど、是非、一度訪れてみてほしいです。
絶対に!気に入ると思います!!
展示されている絵も、その年ごとに、丁寧に入れ替えをされていて、飽きさせないのだと、
やはり秋野不矩さん のファンの方が、おっしゃっていました。
その方は、毎年、必ず電車を乗り継いで美術館を訪れるのですって。

私も、ここに、一週間滞在しても、決して飽きないだろう
と思ったことを、今でも覚えているのです。
(建築も、素晴らしいのです。)

娘が大きくなったら、絶対に、また行こうと心に決めている美術館。
ぜひ!ぜひ!ぜひ!
返信する
Unknown (琴子)
2009-05-25 09:53:22
おはようございます
わたしも、運の神様にはなかなかの恵みをいただいているようで、
この絵本、限定復刊のときに求めました♪
同じく、外国の王道 昔話も好きなんです・・。

秋野さんの美術館のことを、その後しばらくしてから
TVで見ました。
広い空間に大きな絵で、ひとり静かに訪れたいと思いました。
こももさんのお話で、ぐっと期待が高まりましたよ。
いつかきっと、ひっそり行きたいです~。
返信する
Unknown (しるばぁ)
2009-05-25 13:12:50
rucaさん こんにちは^o^
こちらにおじゃますると 波長の合うテーマ満載なので、嬉しくなります。 母になってから 子どもの本を たくさん読んだ私ですが、まわりには なかなか解ってくれる人は 少ないです。 
さて 私は 今、窮地に立たされているんですが、 運の神様が すぐそこに いてくれてるんだと 確実に 思えました。
義母の病気やら 親友の息子さんの自殺、 仕事と 見も心も いっぱいいっぱいなはずなのに 不思議と平常心で いられるんです。 きっと 見守っていてくれたんだと 思えます。

「うらしまたろう」! なんてなつかしい!
以前から 愛知県にある 三岸節子美術館に 行きたかったので 浜松の 秋野不矩さんの方と セットにしたら 行きやすいんじゃないかと。 三岸さんだけなら 日帰りしようと思っていたんですよ。
返信する
くっちゃ寝さんへ (ruca)
2009-05-25 15:11:27
こんにちは。お返事遅くなりました。

秋野不矩さんのこと、ちっとも知らなかったので、
美術館があることまで、今回知って、とても驚きましたー。

最初に、絵本の絵を見たときに、この絵はきっと女性の絵描きさんに
違いないと思い、それがあたっていたことが
とても嬉しかったです。


『パワー』の世界、とてもアジア的ですよね?
ガヴィアのふるさとの水辺の村の結婚の風習もおもしろかったですよね?
男性と女性が別々に住んでいて、「結婚小屋」があるって
わかりやすくって、いいかも(笑)と思ってしまいました。
返信する
こももさんへ (ruca)
2009-05-25 15:15:02
こんにちは。

こももさん、秋野美術館に行ったことがあるんですね!!

すごいです。

やっぱり、おもったこと、感じたことは、自分の無知をさらけだしても
書いてみるものですね~

今年の夏休みに、四日市へ帰る途中に、浜松へ寄ることができるのかどうか
もう本気で検討しています・笑

どんな絵があるのか、すごく楽しみになっていて
浜松でひるごはんを食べるなら、ウナギ以外はないなとか
そんなところにまで想像は及んでいます。
返信する
琴子さんへ (ruca)
2009-05-25 15:18:51
こんにちは。

もし美術館へ行ったとしても、この絵本はもう
そこにも置いてないのでしょうね~
気がついた時期が遅すぎるとはいえ、久しぶりにビビッときた
絵本だっただけに、残念です。

浜松だったら、名古屋へ行く途中なので、
帰省のときに行かれるのではないかと、密かに計画しています・笑

でも、2時間くらいの滞在じゃあみじかすぎるかなあとも思ったり‥
こうやって、知ることができたのも運の神さまのおかげなので、
導かれるままに、なんて思ったり‥
返信する
しるばぁさんへ (ruca)
2009-05-25 15:24:00
こんにちは。波長の合うテーマ満載ですか?
わーい、嬉しいです。

>まわりには なかなか解ってくれる人は 少ないです。

この気持ち、私もたびたび感じています。
小学校の読み聞かせボランティアの仲間のなかにでも、
なかなかここで書いていることを話せるような
友は見つかりませんもの。

娘が小3のときに、このブログを始めたのですが、
本当に、そこから新たな世界が開かれたと思っていますもの。


三岸節子美術館!!

こちらを訪れるのも、ここ数年の夢なのです。
新幹線の駅からはずれているので、帰省途中に寄るというわけにも
いかないかなあと思って。

セットで、お泊りで、ぜひ行ってきてくださいませ。
返信する
私も行きた~い (くっちゃ寝)
2009-05-26 09:23:45
何度もすみません。

娘のボートの応援に、2年続けて浜松に行っておきながら、
そして、行く度この美術館のことが気になっていたのに、
結局近くを通り過ぎただけでした。
あ~、残念・・・

気になってもう一度この美術館のHPを見たら、
なんと設計が藤森照信氏!!
この方の設計した建物っておもしろいですよ~
「タンポポハウス」とか「ニラハウス」とか。
もし行かれたら、建物もぜひ見てきてくださいね。
返信する
くっちゃ寝さんへ (ruca)
2009-05-26 16:59:25
こんにちは。
何度でも嬉しいです。ありがとうございます。

設計の藤森照信氏。
またまた私にとって初めてのお名前でしたが、
色々検索して、いろいろ見てまいりましたー
ほんとにおもしろいコンセプト、ユニークな発想ですね~

秋野美術館の内観もすこしだけあって‥
炭化した木材を使うなんてありましたよ。
それだけでも、もう見たいです、すごく。

こうなると、浜松途中下車、半日は必要ですよね~
逆に、行きづらくなった感もあり、迷いはじめました・笑
返信する

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