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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

青い鳥さがし

2006-01-24 16:00:44 | 好きな絵本

 題名を聞いただけで「その本を好きになるにちがいない」
と感じたのが、『好きな絵本』のちょうど30冊目になる
この本です。


きっとみずのそば

『きっとみずのそば』

石津ちひろ・文  荒井良二・絵






 きっとみずのそば。 きっと、水のそば。

ハッとするくらい新鮮で、心がしんとするような、美しいことば
だと思います。題名だけで、こんなに感心させられちゃって、
その後に、本を作ったのが、あの『なぞなぞのたび』
お二方だと知って、自分の中ですごく納得がいきました。

 お話は、こんなふうに始まります。

 あるひ うちにかえると、
 ぼくの かっている とりのワゾーが
 いなくなっていた。
 そして テーブルのうえには、
 こんな てがみが のこされていたんだ。

 
手紙といっても、1枚の紙に1文字が記されている
カードみたいなものなのですが、そこに書かれていたのが
「き っ と み ず の そ ば 」という8文字。
それがワゾー探しの入口への鍵であると同時に、
実は、お話の結末でもあったりするのですが。

 ワゾーはどこか「みずのそば」にいるのではないか?
そう思ったぼくと、パパが最初にむかったのは、
水のそば、というにはあまりにもでかい(でか過ぎる)
アマゾンがわの ほとり なんです。
ワゾーがなかなか見つからなくって、がっかりしているぼくに
パパが言います。「カヌーを作ってみようか?」

 カヌー作りでいい汗をかき、アマゾン川を進んでいくと、
どんどん流されて「ほっきょくに たどりついたみたいだね」
いつのまにか、あったかそうな服を着ている二人。
ここでもパパの提案により、二人は氷の彫刻で大きなワゾーを
作って、またいい汗・・

 氷のワゾーがふわっと飛びたち、二人は今度はアフリカへ。
アフリカからヴェニス、モンゴル、インドへと二人の旅は続きます。

 見知らぬ異国の地をさまよいながら、終始、ワゾーの姿を探し、
名を呼ぶぼくとは対象的に、パパは、ゆったりと旅そのものを
楽しんでいるように思えてなりません。もしかしたら、このパパは
どのページの中にも(どの場所を訪れても)、ワゾーの姿が
どこかに隠れているのを、知っているのでは?と思います。


 ぼくは、ワゾーを見つけることができたのでしょうか。
ワゾーは、ぼくの元へ再び帰ってきてくれたのでしょうか。
ページの中に見え隠れしていた、青いシルエットの鳥は、
果たしてワゾーなのか、否か・・・。

 荒井良二さんが描きわける、アマゾンと、アフリカと、モンゴルの
空と大地の絵を楽しみながら、素敵な結末を、どうぞ手にとって
みてください。きっと きもちが ほっとします。

 



 

コメント (20)
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