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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

外出自粛中に買った本

2020-06-26 16:55:59 | 好きなもの・音楽や本

絵本は1ヵ月に1冊くらいは購入するのですが、
ものすごく読みたいか、手元に置いておきたい本以外、
基本的に最新刊本は買わないきまりが、なんとなく
自分の中でできていました。
(単行本の)本棚がいっぱいで、置くところがないのと
図書館で予約すればいずれ順番がまわってきて読めるから。

でも。
図書館が閉館していたので、(家に読んでない本があるけれど)
新しい本を久しぶりに購入しました。


  『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ。
6つの短編が入っています。

映画を観てしまったあとなので、表紙の帯にもあるように、
どうしても演じた役者の方のイメージに引っ張られてしまいますが、
それでも、巨匠ホフマンが初めて塵と会った時のはなしとか、
カレッジ時代のマサルの話とか、なかなか面白かったです。
(桃李さんが演じた高島明石さんの話がなかったのは少し残念でした)

もう一度『蜜蜂と遠雷』を読み返してみたくなりましたが、
なにしろ長いので、躊躇したままになってます(笑)。




『祝祭と予感』を本屋さんで買った時に、この本を見かけて、
こっちも買っておこうかな、でも読みきれるかな、と迷い、でも結局は
翌週にまた買いにいきました。

 表紙がステキじゃないですか。

春樹氏が翻訳した本も、むかしはすべて買って読んでいたのですが、
チャンドラーあたりからは、図書館のお世話になっています。
この本も、いつも通りの日常だったら、きっとそうしていたと思いますが、
たまには買うのもいいよね、という気持ちになったのは、表紙が気に
いったからかな。

ジョン・チーヴァーの作品を読むのは初めてで、しかも中は2段組みに
なっているので、躊躇したのですが、冒頭の春樹氏の解説と、巻末の
柴田さんと春樹氏の対談も交互に読んだりしつつ、なんとか読み終える
ことができました。

短編小説の名手。都会派。雑誌ニューヨーカーの常連作家。
ピューリッツァ賞受賞‥こちらは紹介文の最初に書かれている光の当たって
いる側で‥。かなりの量のアルコールを摂取。同性愛的嗜好との折り合いに
苦悩‥光の反対側あり。


表題作の『巨大なラジオ』は、1947年に雑誌ニューヨーカーに掲載
された作品だそうで‥大きなアパートメント(日本的に言えば高級
マンション)に住む夫がある日「巨大な」ラジオを買ってきて、その
姿かたちに嫌悪していたはずの妻の耳に、なぜか同じアパートメントに
住む人たちの暮らしぶりが(ラジオから)聴こえるようになり、妻は
嫌悪しながらも、聴くことをやめられなくなるというはなし。

不条理ではあるけれど、ストーリーの着陸地点よりも、私は、
2020年に突然現れたウイルスによって、世界中のあらゆる場所の人たちが
家の中でのステイを求められている私たちの方がよっぽどシュールな
セカイに住んでいると思え、そんな中で、なぜ1947年の古き良きアメリカの
はなしを読み、その中の人たちを理解しようとしているのか、と思って
いました。

もう一つの表題作『泳ぐ人』。
私はこのはなしが、一番面白く、また一番感じ入るところがありました。

郊外の大きな住宅‥どこの家にもプールがあるような‥に住む主人公が
パーティに呼ばれていった先の家のプールから、点在する家の、プールで
泳ぐことを続けながら自宅へ帰ってみようと思い立つはなしです。
主人公は家には帰り着きましたが、スカッとした気分にもならず、
ココロ温まるようなことも起こりません。

でも、小説って、読むことによって、知らないセカイを知り、知らない
物事に思いを馳せることなので、そういう意味でとても面白いはなしでした。

どんな物語のなかにも存在する普遍性。そんな言葉が読んでいる間中
あたまの中にありました。






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