カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

残念ではあるけど

2008-08-26 | 時事

 オリンピックで野球が負けたことは、多くの人にとってショックが大きかったようである。星野監督への風当たりが強かったりして、彼の今までの名声も地に落ちたという感じだ。もともとコテコテの中日人で反巨人のやんちゃ坊主というのがまっとうなところだった人なのに、妙に国民的な人になってしまったのがそもそも痛かったのではないだろうか。また、日本チームの選手一人ひとりのふがいなさを嘆く言動も目につく。結果というものは改めて恐ろしいもので、期待が大きかった分落胆も大きいということなのだろう。
 しかしそんな感覚自体が僕にはなんだか意外なのだが、多くの人は本当に日本に金の実力があったと思っていたのだろうか。終わってからいうのは卑怯なのは分かっているけど、最初のキューバ戦をちょっとだけ見た感じでは、素直に今回はちょっと厳しいんじゃないかと誰しも思ったのではなかったか。そりゃあ実力的に日本はそれなりに(上位4チーム程度には)強そうだというのはわかるけど、メダルを取るのは至難の業であるだろうことは正直なところだったように思える。韓国キューバは特に抜きんでて強かったのは間違いないように見えたし、この二チームが結局金銀と取ったのは、ものすごくまともな結果を表しているように思える。試合の局面局面でおかしなところはあったにせよ(ボールゲームはそんなものだろう)、相手チームにだって変な采配やミスは結構あったし、結局は流れをつかめなかったというのが短期勝負の結果となったのであろう。確かにどんどん委縮して行って、かわいそうなほど弱そうに見えたのは日本の精神力の弱さだと思うが、もともと弱い国民性なんだから、それこそまともな日本人ということにすぎなかったのであろう。星野監督が悪いというより(まあ、そう思うのも自然だが)、素直に日本が弱かったと思う。期待の方が勘違いしていたのだ。
 話は違うようだが、ジーコが鹿島に来た時、ジーコはどのようなことを教えているのだということがよく報道にのぼった。一番僕が笑ってしまったのは、彼がしつこく指導したのは、シュートをゴールの枠に蹴るということだったという。日本の練習では最初からゴールの外に蹴る人が多すぎることにジーコが驚き、枠の中に蹴らなきゃ最初から得点にならないじゃないかということを言ったというのを聞いて、ああ確かに日本ではそうかもしれないなあと改めて思ったのだった。日本は案外テクニックとしてはものすごく劣るということではないのかもしれない。しかしなんだか当たり前すぎる基本的なことに、意外と無頓着なのである。
 バスケットボールの日本代表選手と一緒に酒を飲む機会があって、いろいろと練習の話を聞いたことがある。確か監督さんがユーゴスラビアとからへんの外国人で、日本人の指導者とは教える内容がぜんぜん違うので戸惑うことが多かったと言っていた。どんなふうに違うのかというと、テクニックのことは小学生でも知っている基本的なことばかりで、一から十まで精神力の話ばかりなのだという。その選手としてはそういう監督の態度にちょっと不満そうだったし、なんだか意外に思ったものだが、肝心なところは精神力だというのは、なんだか分からないではないなと思ったことだった。
 日本の指導者の多くは、その精神力のことばかりで合理的な指導をしていないという指摘をよく耳にする。今回の日本チームにおいても、そういう面ばかりで内容がなかったといわんばかりのものも多いように感じる。まあ本当にそういう面があるのかもしれないが、それだから日本のチームが負けてしまったのだという基本的な原因であったのかということになると、なんとなく疑問にも感じるのである。ただでさえ日の丸を背負うとか、日本のプロ野球の魂(またはメンツ)であるとかというような外野の重責がある中で、精神力の指導をしない指導者の方が問題があるのではないか。このチームでどれだけ勝ちたいという意識づけが明確になるほど、組織として強くなれるということは、あんがいまともな戦法のようにも思う。もちろん基本的には精神力だけでは勝てるものではない。それは先の戦争を例にとるまでもなく、明確に誤りではある。しかし、戦力の水準が高くなって、それも紙一重のような微妙な勝負の分かれ目にあるとき、勝敗を左右するような力を呼び込める決め手になるのは、最終的には精神力としか言いようがないのかもしれない。僕はオカルトの話をしているわけではないが、そうした精神力の涵養のために、あえて不合理でハードな練習をする必要さえあるのではないかとさえ思う。もちろん一律にそのように育てることが絶対的な必要要素だとは思わない。しかし、ナショナルチームのような寄せ集めの団体を指揮する上において一番大切なのは、精神的な強さを育てる戦法なのではないかとも思うのである。日本チームが実力以上の力を発揮できなかったのだとしたら、精神面の問題を取り上げるのは的の外れたものではないのではないか。技術的なものばかりに目を向けすぎて、精神面をないがしろにしてしまったことこそ、日本の敗因の第一要因であると考える方が妥当なんだと思うのである。
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