カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

かなりの窮地には違いない   シャドウ・イン・クラウド

2024-03-20 | 映画

シャドウ・イン・クラウド/ロザンヌ・リャン監督

 極秘の任務と謎の鞄を携えて、女性の兵隊が爆撃機に乗り込んでくる。乗員の男たちは皆下品で女性を見下したゲス野郎ばかりで、若い女のことをみじんも信用していないし、心無い罵声ばかり浴びせてくる。爆撃機の下方についている銃座に閉じ込められ、上空の寒気に苦しめられながら言葉でいたぶられ続けている中、窓の外に何か異常な生物を発見するのだった。しかしながらこのグレムリンというのは架空の生物でもあり、女を馬鹿にする乗員の男たちは、そんなことを信じるはずが無い。そんな中日本軍の戦闘機が、襲撃をかけてくるのだった。
 舞台はニュージーランド上空のようだが、史実はもちろん、確かに荒唐無稽かもしれない。いちおうの謎があるのだが、それが解けたとしても、それからのアクションとのスリルの材料ということになるのかもしれない。延々と女性をいたぶる昔の馬鹿な男たちの言葉攻めが続いて、胸糞が悪くなるばかりである。反撃の要素はあんまりなくて、機密事項を守らなければ軍法会議だと脅すくらいしか手立てがない。そんなことが分かっている人間たちなら、そもそもそんな非道なことをするはずないじゃないか。
 基本的にクロエ・グレース・モレッツの主演と、彼女のちょいエロ魅力にオタクが参っている構図は、海外でも同じらしい(日本でも大変に人気がある)。戦う女としての彼女の素晴らしさはずば抜けている訳で、そこにちょっとした肌の露出があったり、負傷して苦しむ表情があったりして、そんな彼女を見て感動というか、心が和む人々が多いということなんだろう。監督は女性のようだが、そういうあたりの勘どころのために、この映画を撮ったのではなかろうか。
 そういう事での期待感が、僕自身にもあったのだろう。観ていて楽しそうになってきてから、その楽しさの中に、ちょっとアレっというようなずれもあった。謎が解けてからの彼女の動きは、急にひどく頼もしく強いのだが、それならもっと違った謎でもよかったのではなかろうか。そもそもの窮地において、彼女は自分自身で打開することも可能だったのではないか、という気もするのだった。グレムリンとの最後の戦いも、もう一工夫欲しいところだったし。
 ということで、ちょっと惜しいかな、という出来栄え。でも見てしまったのは、やはりクロエさんの魅力なんだろう。「キック・アス」が素晴らしすぎたのが、すべて悪いのである。
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