ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序/庵野秀明監督
何か得体のしれない使徒といわれる生き物のようなものに攻撃されている地球のある時代、その使徒と戦うことを強いられる博士の息子の葛藤を描いた作品、のようだ。しかしまあ、そんな話なのかどうかも、観ていてよく分からない。そうなのかもしれないし、そうでないかもしれない。説明は最小限で、しかしメカが動いたり戦闘が始まると、なんだか興奮する。絵の構図が実に見事で、キマッている。機械の動きが、機械的だけれど、どこか動物的に美しい。そうして激しい爆発と光の炸裂がある。凄いなあ、っと感嘆するよりないのである。
僕がすでにアニメなどを見なくなって久しい時代にヱヴァンゲリヲンは放映されていたようで、僕はまったく興味がなかったというのもあって、同時代としてはほとんど知らない。どうもブームになっているらしい、という噂は聞いたことがあるような気もするのだが、思い出せない。しかし、僕はどういうわけか機動戦士ガンダムが嫌いで、主人公が優柔不断でうじうじしている感じが嫌なのだった。ヱヴァンゲリヲンにもそんな感じが勝手にあって、見続けることがつらい感じで、観なかったのではないかと疑っている。今回見て思ったのも、この少年はいったい何をやってるのか? といった感じだったので。しかしまあ、出てくるお姉さんたちは綺麗であって、いつまでも迷っていたところで、彼女らから怒られるに決まっている。そういう中で生きられる男の子なんていない訳で、ま、頑張るしかないでしょう。それにしても、これだけ男の子の中の脳内妄想みたいな内容の物語であっても、何か普遍性のようなものがあるのだろうか。コスプレなどいまだにエヴァ関係のものは見受けられるようだし、そういうファッション的なもので、人々の心をつかむ要素があるんだろうか。これを見てもなお、そういう感覚は僕にはよく分からないのだった。
ただし、これを観る前に、ちょっと前だったが「シン・ゴジラ」を観てひどく感心し、庵野監督というのは、そういうことだったのか、と思ったわけだが、最近になって「キューティー・ハニー」を観て、なんだろうこれは、と思ったばかりだった。それで最近ヱヴァンゲリヲンが正式に終わったという話をテレビで観て、この監督さんはやっぱり何か凄みがあるな、と感じたわけだが、一時代をこのようにして作っていく人というのは、これくらい訳が分からないものでなくてはならないのかもしれないと思い直した。確かにこれは、凄いのかもしれません。