ブラインドスポッティング/カルロス・ロペス・エストラーダ監督
暴力事件で保護観察中の黒人青年コリンは、あと三日で自由の身となる。仕事中に信号待ちをしていると、白人警官に追われて逃げている黒人が、そのまま白人警官に撃たれる場面に遭遇する。
コリンには不良で暴れん坊の白人の親友マイルズがいる。彼は容赦なく暴力事件を起こし、保護観察中の自分の危険な立場をさらに危うくしていくのだった。また、そもそも保護観察になった事件も、マイルズがらみの事件だったのに、黒人である自分だけが、重い罪に問われることになっていたのだった。
黒人と白人の対立構造の中にあって、友情がありながら、危うい関係性の中で暮らしていかなければならない境遇を描いている。最近こういうのが流行りなのか、たまたま僕がこういうのばかり選んでいるのかよく分からないのだが、米国ではまたしても白人と黒人との対立が激化して、現実に暴動がおこったりしている。いつまでも懲りない連中である訳だが、ここまで複雑に関係が絡みながら、やはり内在する差別意識を克服できない現実があるためなのだろう。仲よくしたほうがいいというのは誰でも思うことだが、やはり何か文化的に違うものがあるようだし、見た目で違うというだけの違い以上に、偏見や差別意識というものが、組織的に崩されにくいということなのではないか。
そうではあるが、この映画のように、どちらかというと白人の方がいつまでもしつこい悪人であるのは、白人として許されるという甘えのようなものがあるためという見方もできるのではないか。黒人は少しの悪さでもひどく虐げられるので、這い上がることも困難だ。そのうちに低いコミュニティの中でしか生きられなくなっていく。そこに落ちてきた白人と友人になっても、やっぱり足を引っ張られて損をするのは黒人の方なのだ。
まあ、妙な映画だが、基本的には黒人目線だ。そういう意味ではホラーだが、いつまでも怖がっていては、やはり未来はないように思われたのだった。