カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

生きるのがつらすぎる気の弱さ   ドッグマン

2020-07-16 | 映画

ドッグマン/マッテオ・ガッローネ監督

 獣医のような仕事をしている男は、まじめに働いているものの、友人に乱暴なチンピラがいる。それで、盗みなどの悪事の手伝いをさせられている。実際には嫌々なのだが、気が小さくて断ることができない。普段は犬の世話とかわいい娘とのかかわりなどでしあわせな生活をしているのだが、時折チンピラの友人が現れて、無理な悪事の手伝いをさせられるのだ。
 不条理な物語として描かれているし、何かもとになった事件があるという。追い込まれた人間がどうするか、という映画はこれまでにもたくさんあるわけだが、だいたい頓智を利かせるか、偶然そうなってしまうとか、工夫しないとうまくいかない。それが物語の力というものだろう。正直言ってこの話は、そこのあたりがあまりうまくいっているようには見えない。率直に言って、主人公がバカにしか見えないのだ。さらに何か病んでいるというか……。多くの街の人たちが劇中でも言っていたように、このようなチンピラは、多かれ少なかれ淘汰される。実際かなりいいところまで行ったのに、友情を感じているのか、助けてしまう。そういうところだけは面白い感じだったが、その友情が何かというのは、結局描かれなかった。もったいないという感じだろうか。
 共感も無いし救いも無い。こういうのが好きな人なんているんだろうか。見終わってむなしさと悲しさが残って、なんだかな、というため息が出そうだった。イタリア人という人たちは、そういう達観めいたものが好きなのだろうか。過去の名作、自転車泥棒も、考えてみるとそんな感じだったかもしれない。若いころには感心もしたが、もう見なくてもいいな。それは僕の年を取ってしまった事情による、許容の変化なのだろうか。
コメント
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