ミシュランといえばフランス(というか世界的な)のタイヤ・メーカーのことである。しかしながらそれとは別に、三ツ星といわれるレストラン・ガイドの本(レストランだけじゃなく、ホテルなども評価しているが)を発行していることでも有名だ。実をいうと、僕自身も、この赤いガイド本が有名であることは子供のころから知っているが、ミシュランのタイヤを初めてみたのは大人になってからだ(日本では一部でしか売れてないんじゃなかろうか)。
ミシュランがそのようなガイド本を発行したきっかけは、このガイド本を利用して車で出かけることによって、タイヤが摩耗することによって販売促進につながるという目論見があったためだといわれる。最初はパリ万博の時に無料で配られ人気を博した。当初は、道案内の地図が目的であったともいわれている。
さらに有名であることを担保しているのは、他ならぬこのガイド本が、大変な権威として君臨しているためである。レストランなどの格付けの基準は明確には明らかにされていないにもかかわらず、ミシュランが格付けで紹介しているところは、大変な権威を与えられることと同じであり、成功の象徴でもある。また、その味を含めた一流を担保することにもなっている。
星をめぐっての熾烈な戦いというか、シェフたちの並々ならぬ努力は、数々の逸話を残している。この評価の星をめぐって死んだ人は、数知れないとも言われている。ミシュランに評価されるために料理を作っているわけではなかろうが、この評価に浴することが、何よりの料理人の名誉である、ともされているからである。
しかしながらその評価そのものが、必ずしも信用があるものだとは言えないと、一部の人からは言われている。一流であるのは間違いないながらも、その最高の三ツ星でないレストランが、なぜ三ツ星でないかという明確さは何もない。あるのはそれが、ミシュランの評価であるというだけで、最高だという評価が固まっているらしいことだけである。星のついたレストランには大勢の人々が争って予約し訪れることになる。もともと人気店であることが多いにもかかわらず、さらにそれに拍車がかかることになり、当然料金も跳ね上がってしまうことだろう。高くなるのは混雑するよりいいことかもしれないが(安いままだと永遠に食べられない人も生んでしまうだろう)、このことで料理人や店の将来も左右されることになるということだ。中にはガイドを辞めた国(オーストリアなど)があるとのことで、ガイドで紹介されなくなった店は、見るも無残に衰退してしまうことになるのかもしれない。
近年ミシュランガイドは日本でも発行された。やはり賛否はあるが、三ツ星の店は当然予約が極めて難しくなっているようだ(行ったことないのでほんとは知らないけど)。覆面調査だから、誰が評価したものかは、一応謎である。しかしながら、そうではないかな、というのは、店にはなんとなくわかるという話はあるのだが…。
結局行けないのだからミシュランのことは関係のない話であるはずだが、やはり関心のないわけではないらしい。少なくとも、大金を払ってミシュラン体験をしたいという人というのは、今後もいなくならないのではないか。結局人は権威に従う生き物だ、ということは、証明できる話なのかもしれない。