カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

本当の勇気とは何だろう?   トゥルー・グリット

2019-05-13 | 映画

トゥルー・グリット/コーエン兄弟監督

 西部劇。父親が殺され馬を奪われた娘が、逃げた犯人を追うために、飲んだくれ保安官を金で雇い、別件で犯人を追っているレンジャーとともに珍道中を繰り広げながら西部を旅する物語。もっとも、監督はコーエン兄弟なんで、かなり変な演出も満載で楽しめる。妙な登場人物が出てきたり、不条理に残酷だったり、実にそれらしく、映画として素晴らしいだけでなく、心に引っかかるものを残す作品になっている。
 前半は、不条理な大人社会の中で、こざかしく横着な少女(演じている女優さんは当時13歳だったそうだ。日本人から見ると大柄で、もう少し年上に見えてしまうが)が、法律を盾に大人たちに立ち向かう様が延々と続く。こういう社会では、まっとうな理屈がちゃんと成立しないのだな、ということが分かる。
 そうして後半に、犯人を追って旅をするのだが、ちゃんと追えているのかよくわからない。でもさまざまな人もが関連し、結局死ぬ。もうだめだ、というがっかり感も伴って、この映画どうなるんだろうと不安になる。しかしながらそれなりに活劇にもなって、大変なことになって、いわゆる感動するというか、良い余韻で映画は閉じられる。結果的に素晴らしいのである。いや、観ている時間そのものが、素晴らしい体験になっているのではないか。
 実は過去にも観たことがあるようだ。単に忘れていたのだが、おかげで二度楽しめた。よごれて汚い男ばかり出てきて、さらに結構残酷なので、単純な娯楽映画を期待していると、裏切られるかもしれない。しかしながら、本当に深い映画的な感動を味わいたい人には、これは絶対に当たりの映画だろう。コーエン兄弟の映画は、中には全く理解不能なものもあるにせよ、毎回非常に高い水準であるのが助かる。さらにそれなりに商業的に成功もしてくれるので、メジャーで撮り続けられるまれな監督さんたちである。見逃している人は、過去作含めてお勧めである。
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