カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

権力は個人の感情を増長する   1987、ある戦いの真実

2019-05-21 | 映画

1987、ある戦いの真実/チャン・ジュヌアン監督

 大学生が警察の取り調べ中に死ぬ。警察は心臓麻痺と発表するが、実際は拷問による死亡であったため、その事実が漏れて報道される。警察は隠蔽のために躍起になる。暴力に次ぐ暴力で言論を封じようとする。同時期に民主運動を展開する学生と、地下で活動する人々が文字通り命を懸けながら警察と対峙していくのだったが…。
 この当時の学生デモなどは、僕も学生だったのでテレビ報道などで見た覚えがある。当時の日本の大人たちは冷ややかで、韓国は日本の戦後民主運動より40年くらい遅れているな、という意見を聞いた覚えがある。そういうものなんだな、と思ったことと、やっぱりまだ怖い国なのかもしれないと認識したと思う。北朝鮮と韓国は違う国とは聞かされていたが、実際はあまり変わらないのかもしれない。もっとも、日本との態度を別にすると、今はだいぶ変わったらしいことは感じられはするけれど。
 とにかく、拷問に関する暴力描写が凄まじい。いったいなんでここまで暴力を振るわなければならないのだろうか。日本の警察も、取り調べで激しく同じようなことをするところがあるようで、密室での行き過ぎは、アジア的に同じようなものがあるのかもしれない。これは、冤罪が起きて当たり前である。
 脱線ついでにさらに言うと、韓国の従軍慰安婦や日本の企業による強制労働などの問題で、あちらの人が激しく誇張して、要するに嘘ばかりついてしまうのは、自分たちならこのような暴力をはたらくことを知っているからで、当然日本人もやっているはずだという感覚があるせいだろうと思う。とにかく恐ろしいことが行われるのだから、それに対しては激しく拒絶もするのであろう。
 結局何があっても警察に捕まってしまうと人生は終わりである。日本でカルロス・ゴーンさんの検察のやり方も海外からの批判があるが、おそらくこれに似たような不信感が、あちらの国にあるんだろう。図らずもそれなりにタイムリーな感覚で見ることができた映画だった。
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