カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

落ちこぼれの嫌いな校長先生   祝砲の挽歌・刑事コロンボ

2017-11-29 | コロンボ

祝砲の挽歌・刑事コロンボ/ハワード・バーク監督

 硬直的な経営がたたってか経営難に陥っている陸軍養成学校の校長は、元生徒でもあった理事長(そういう後援組織お偉いさんの孫にあたるらしい)と経営方針で敵対している。創立記念日においても大喧嘩して、そのケンカの成り行きを利用して式典の大砲係を理事長に託し、暴発させて殺すことに成功する。一見事故と捉えられたそのトリックを見破るのが、コロンボの役割である。古い砲台の暴発後から掃除のボロキレを見つけ、掃除当番をしていた落ちこぼれ生徒のアリバイを立証し、学園内でこっそり流通しているリンゴ酒事件などを絡めて校長を陥れていく(逮捕ですね)ことになる。
 校長は学校のことを心から愛している。だから行き過ぎていいとは言えないまでも、古き良き学校の在り方について、どうしても譲れないものがあるのだろう。しかしながらそのような良さを守って学校は経営難に陥っているとも考えられる。男女共学にし、短大として広く生徒(学生)を受け入れて経営を立て直すときに来ているのかもしれない。少なくとも実質的な経営者である学校の理事長はそのように考えた訳で、そちら向きに対する説明不足とも考えられる。説明しても理解できる人物とは思えなかったのだろうけれど、だからといって殺すことは無い。彼がちゃんと経営して、曲がりなりにも学校が立ち直ってしまうことも許せなかったのかもしれない。多くの人に理解されないことであっても、あるべき姿と良いものは良い。そういう教育者としての矜持が、このような迷惑な殺人に繋がってしまったのであろう。
 落ちこぼれの僕としては何の共感の無い話だが、このような特殊な学校でなくとも、経営難になるところはあるだろう。経営的に立て直すことも大切だが、しかし学校の存在意義として守りたいものがあるのであれば、そのまま退場しても問題ないのではないか。まあ、生活には困るだろうけど。
 校長役のパトリック・マクグーハンは、ピーター・フォークとも親交が深く、コロンボ・シリーズでは4度の犯人役を演じている。監督作も5作ほど撮っているらしい。冷たく冷静な性格を演じることが多いけれど、とぼけた役もこなせたという。コロンボと対峙してもあわてることなく威厳を保ちながら落ちていく様が、コントラストとして印象に残る演技と言えるだろう。
コメント
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