カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

そもそも刑事になったのは男が好きだったから?   ハイヒールの男

2017-11-07 | 映画

ハイヒールの男/チャン・ジン監督

 異常に強い男で刑事としてもやり手であるが、実は秘密がありこころは女であるという設定。武闘派の刑事として同僚らから厚い信頼と憧れのある人物で、敵のヤクザからも恐れられている屈強な男だが、実はホルモン注射を打って女性化する途上にある。何しろ自分の性に偽って生きている為に、つらくて不眠症になっている様子だ。ヤクザとの対峙においては激しいバイオレンスを演じ、ほとんど不死身である。
 過去の少年時代の同級生の恋の顛末や、ヤクザグループの内部の抗争なども絡んで、苦悩の中にありながら警察からなかなか足を洗えない境遇の刑事の姿を描いたバイオレンス作品である。主にナイフを使ってアクションを行うので、大量の血が流れる。そういうあたりは肉食韓国映画らしい出来栄えで、カッコいいが気持ち悪い。そこに性の不一致という個人のどうにもならない事情が絡んで、妙な緊張感の漂う展開になっている。最後はいったいなんなんだ!という気分にはなったが、そういう含みのある終わり方で無いと、アクションだけに終わると思ったのかもしれない。下手をすると失笑を買いかねないバランス感覚ではあったが、主人公の役者さんのカッコよさで、何とか持ちこたえたという感じだったかもしれない。
 そういう話なんだから仕方のないことだけれど、わざわざ女にならなければならないことで、同僚も激しい葛藤に襲われる。そういう啓蒙のための映画ではないが、しかしそれで荒れて殺されてしまうのは、ちょっと理不尽という気もする。ヤクザの方だってわざわざこだわってこの人を付け狙う動機が弱い。憧れてたんで裏切られたとでもいう事なんだろうか。素直に警察組織から去っていくのだから、非常に好都合だと思うのだが…。
 回想して考えるとお笑いのような展開だが、雰囲気を楽しむ映画かもしれない。血の好きな人はどうぞ楽しんでください。
コメント
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