テレビで日本のビールの話題をやっていた。外国人から見た日本のビールには、不思議なところがあるらしい。
まず日本のビールは大変に冷たい。ジョッキまでギンギンに冷やしたりしている。冷やさないビールの方がどうかしていると思うが、やはりびっくりすることなのか。実はヨーロッパなどは酵母の関係なのか、常温で飲むという話は聞いたことがある。それでうまいというのならかまわないが、日本人にはたいして旨いものでは無いという話も聞いている。冷えてないのはそれくらい致命的だが、彼らだって日本に来て冷えたビール飲んで、考えが変わらないものなのだろうか。確かに香りは楽しみにくくなるのかもしれないが、ぬるいのを喜んで飲むのは、僕らの感覚からすると、からきしごめんである。
また、生ビールなどをサーバーで注ぐときに、泡を足すのも不思議なんだという。ビールの量をごまかしているように感じる外国人も多いらしい。ビールの味は、泡が風味を閉じ込めている為に保たれていることは、いわば僕らには常識的だ。ビール工場に行ったら必ずレクチャーされる重要な部分だ。酒屋だってちゃんと教えてくれるはずだ。だからこそきめ細やかな泡を足せるような注ぎ方を、僕らは尊んでいる。要するに感覚よりも実際をちゃんと知っているかどうかという問題で、外国人は無知に過ぎないということだろう。
一気に飲んでプハーというのも気になるらしい。これは外国人が人目を気にし過ぎるからだろう。食事で音を立てたりげっぷをしたりなどが失礼に当たる事とも関連がありそうだ(マナーとして)。しかしビールはぐびぐび飲むのでプハーな訳で、上品に飲んで楽しい飲み物では無い。蕎麦は音を立てて食べるから風味が増して美味しくなる。そのような食文化の真髄を知っている文明国では、ビールで音を立てて飲むのを躊躇しないのである。
スポーツ観戦でビールを飲むのを禁止している国も多いという。要するに治安維持の為だろうが、日本でスポーツ観戦してビールを飲めるしあわせを、もっと享受した方がいいと思う。治安回復のために、他の国はもっと何か根本的な努力をすべきであろう。
また、ビールを飲みながら豊富な食事を楽しむのも不思議なようだ。不思議に思っているそのこと自体に大変な偏見を感じるだけだが、外国というのは本当に窮屈なものらしい。
しかしながらビールというのは、完全にもともとはよその国の文化だ。そういう意味では日本の独自性は、何かを間違った所為だという事は言えるかもしれない。そうは言えるが、間違ったおかげで旨く楽しいビール生活を送れている訳だ。税金の所為で妙な多様性が生まれていることも、ある意味で楽しみを増やしている。正当なビールからはかけ離れたビール文化というのは、今やそれなりに貴重なものになっているのではなかろうか。