今頃になって昨年のことを考えるなんて間が抜けているんだけど、さらに最近は新しいCDなんてまるで買わないのが現実だから、語る資格なんてものもなさそうな気がして申し訳なく思う。思うが感想はあるんだからしょうがないじゃないか。
それというのも月並みだけど、ロックの高齢化が進んでいることと、しかし新人もそれなりに増えたという印象がまずある。そのコントラストが鮮やかだった年ということがまず言えそうだ。ポール・マッカートニー兄貴しかりストーンズ話題は、もうなんと言うか、涙。デビット・ボウイなどはアルバムも素晴らしく現役感あふれ、ただ脱帽。これって本当にすごいことなんだよな、と後でしみじみ思ってしまう。しかしやっぱりジェイク・パグであるというのもあって、彼はすでに大物として歴史に残って、そうして僕らの死後も活動しているはずのような予感がある。若いけど古いタイプのピン芸人。じゃ無くて正統派スターでやっぱりすごいなと思った。また、やっぱり若いけどストライプスという超古臭い完璧なスターバンド。時代が時代ならビートルズよりすごいのは間違いなさそうだけど、やはり大人の陰謀も感じられるし、かわいいけど本格派というまま、そうして長く活動して欲しい大本命なのであった。
でもまあこっそりというか個人的に今年良かったなと思うのはバンパイヤ・ウィークエンドとパールジャムという変り映えしない面子だったりする。内容も変り映えしないし、特に並べていいものか疑問のあるタイプの違う二つのバンドなんだけど、そういう変わらんが地味にすごい感じが良かったという感じかもしれない。
アトムズ・フォー・ピースもあるじゃん、という声はわかる。わかるけどこればっかりは、なんとなく鼻についてしまって、しかし悔しいけど良いと思うから、もういいんじゃないの、という気持ちが強くなった。そういう人で楽しめばいいので、もう広がりを見せて欲しくない。
それとたいした話題じゃないが、僕はお兄ちゃんよりビーディ・アイのほうがいいと思ったね。やっぱり声の力なんだろうか。どっちもどっちなんだという意見もあろうけど、偉そうより普通に不良の弟のほうが、力強くかっこいいという感じもする。世間もそれでいいんじゃなかろうか。
ほんとのこというと、年末はN島君がFBでドナルド・フェイゲン聞いてる旨UPしているのを見て、なんとなくスティーリー・ダン熱が高まって熱心に聞き返していた。一緒に聞いていたのはベックだったりクラッシュだったりRCのブルーだったり急激に古いというか、いつもどおりというか、で、カラオケでは沢田研二を歌ったりしてたわけだ。おいら何にも変わんないんだもんね。それと一番新しめで繰り返しなんてものはアラバマ・シェークスとビンテージ・トラブルで、これはすでに一昨年前だから微妙に古い。もっと巷間で盛り上がって欲しいと思ってたけどなんとなく消えたように見えて寂しかったのだ。
最後になぜか避けて通っていたようなものがあって、それはほかならぬダフト・パンクということになる。この恥ずかしいくらい古い感じのものが昨年を圧倒的に席巻していたという風景が、僕にはどうしても馴染めない思いだったかもしれない。一部のファンが盛り上がっている分には微笑ましかったのだろうけれど、何でまたこうも世界がこれ一色になるくらいこればっかりになってしまったのだろうか。怪現象といってしまえばそれまでだけれど、誰もこればっかりは良くわからん状態だったのではなかろうか。時代がめぐってちょうどここにやってきて、何にも変わらん古臭いやつらの頭の上に偶然落ちてきたということでしか説明がつかん、という変な感じで昨年を片付けてしまいたくない思いだった。だからほんとのこというと、終わってホッとしたというか、もう終わって欲しいは願望かもしれない。本当に何か新しい予感のほうが、めぐりめぐってくる偶然より楽しそうだ。まあ、世の中は本当にわからんもんだねという宝くじ的な当たり年だった人たちに、僕らは振り回される運命にあるのかもしれないですけど…。