[本の紹介]
●森が消えれば海も死ぬ/松永勝彦著/講談社ブルーバックス/2010年2月20日発行/861円(税込み)
「魚つき林」という言葉を忘れてはいけない。ゆたかな森が海の生き物たちを育むことは、古くからの知恵である。ところが、近代文明はそのことを忘れてきた。著者は、科学者の眼で、その原因を究明する。いかなる物質が、赤潮を発生させるか、サンゴ礁を死滅させるか、石灰藻による海の砂漠化を進行させるか。マングローブや河川上流の森林が、人類にいかに海から採れる食料を供給しているか、災害を防いでいるかを語る。生存のためには、「もうこれ以上の便利さや快適さを求めないこと」と。