「死」とともに

2014-10-14 | 読書
 フェデリコ・ガルシーア・ロルカの詩について、何を言いたいのか分からないとの感想を書いた。
 そう言いながら、長谷川四郎訳「ロルカ詩集」(みすず書房)を飽きもせず、何日もかけて目を通した。
 わたしを惹きつけたていたのは、何だったのだろうか。
 気になる詩句があったページの端を折りながら、頁をめくった。
 その部分だけ見かえして、気づいた。
 直截な「死」のことが、そこにあった。
 前に取り上げた詩をはぶいて、幾つか書き写す。

 ●「不意打ち」と言う詩の部分。
  短刀を胸に
  道ばたにころがっていた
  見知らぬ男
  ・・・・・
  短刀を胸に
  死んで街路にころがっていた
  彼を知る者
  一人としていなかった

 ●「デ・プロフンディス」と言う詩の冒頭の3行
  ひからびた地面の下ふかく
  とこしえにここに眠る
  恋わずらいの男女百名

 ●「騎馬行」と言う5節からなる詩の2節、3節
  黒い馬 大きな月
  鞍袋にオリーブの実
  ぼくは道を知っている
  だがコルドバにいけないだろう
  平野をこえ 風をこえ
  黒い馬 赤い月
  死がぼくを見ている
  コルドバの塔の上から

 
 「生まれた人で、死なない人はいない」と誰か言っていた。
 生まれたわたしは、死が気になる。
 死を思うことは、大切なことと、思い込んでいる。
 ロルカの詩には、つねに死の影がある。