たれかとまりて

2014-10-06 | 読書
 堤中納言物語「虫めづる姫君」に、作者の思想・人生観が端的に表れている文言がある。
 格別、めずらしいものではないが、備忘に記しておく。
 「・・・人は夢まぼろしのやうなる世に、たれかとまりて、あしきことをもみ、よきをもみ思ふべき」
 真実は、善悪の彼岸にあるというか、真実といっても、それは、夢まぼろしに過ぎないということか。
 右馬の佐が登場してあとの個所を何度か読んだ。
 歌のやり取り、女装しての姫の屋敷への忍び込み。
 色好みの男たるには、怠惰であってはいけない。怠惰であっては、色好みとはならない。

道家の思想を

2014-10-06 | 読書
【本の紹介】
●入門老荘思想/湯浅邦弘著/ちくま新書/2014年7月10日発行/907円(税込み)
 老子や荘子の思想に接したいという時、まず手に取るのにふさわしい一書。思想そのものの紹介も、近年の新しい資料の発見を踏まえて行われている。テキストによって、同じ箇所の文言に違いがあることを知ることは重要であろう。また、西欧や日本への伝播についても語られる。西欧では、孔子を筆頭とする儒家より、老荘の道家の思想が注目されたとある。ミヒャエル・エンデの作品への影響にも言及される。いずれにしろ、世俗の一般的価値観に汲々とせず、こころ静かな日々をと言う人は一読を。