Y君のこと

2012-06-28 | 【断想】ETC
 性に目覚める前。
 色恋による煩いのない少年時代。
 男にとっては、至福の時とも言える。 
 当然、色恋の楽しみもかけがえのないものだが。
 そして、老いては、色恋は元気のもとともなる。
 肉体の元気に直結しているようにも感じる。
 さて、男の中で、「いい奴だな」と思わせる人には共通したところがある。
 俺の勝手な思いかも知れぬが、「いい奴」には、純真な少年のおもかげがある。
 そして、だいたい早死にである。
 「いい奴」の印象を残すには、早死にした方がいいとも言える。
 もう、多くの友人が他界した。
 YやI、とても「いい奴」だった。
 Yは、木造の潜水艦を造り、それに乗り込み、池だかプールに乗り出したのはいいが、潜水艦から、脱出できなくなり、溺れ、死にかかったと言っていた。
 とても楽しそうだった。
 禁漁の魚を捕まえたり、禁止の手段で一気に魚を大量に捕まえたこと。
 馬や犬と仲良くしたこと。
 熱帯魚の世話。
 自前のスピーカーなどを造ったこと。
 亡くなる少し前には、インドからバイクを取り寄せ中と言っていた。
 多趣味だった。どれもこれも楽しそうだった。
 いずれも、色恋と関係なく、少年のおもかげただようあれこれ。
 仕事では、Nさんにつかえていたが、気心があっていたようだ。
 動物どうしとして相性がよかったのでないか。
 こまごました仕事そのものは、面白くなく、無理をしたのでないか。
 俺のように、いい加減ではなかった。
 Yは、元旦に亡くなった。そして、葬儀が故郷で行われた。
 そのため、友人たちもお別れの機会を得られない者も多かった。
 それで、その後7年ばかり、「春に想う集い」と称して、友人たちが集まり、彼を偲んだ。この間に、鬼籍に入る友人も増えた。Yの友人でもあった一人は、不審な死を遂げたりした。いろんな状況変化があり、ここ2年、「集い」はやっていない。
 彼が、楽しそうに、少年時代のことを話していた姿が思い出される。

青苔衣をおびて

2012-06-28 | 【断想】ETC
 謡曲「白楽天」より。
 訪日した白楽天の詩。
  青苔衣をおびて巌の肩にかかり
  白雲帯に似て山の腰を廻る
 これに対しての和歌。
  苔衣著たる巌はさもなくて衣著ぬ山の帯をするかな
 青苔(せいたい)、青い苔・・・どちらがいいか・・・・時に応じて。