ドラゴンのミイラ

2008-01-07 | 読書
本の紹介】
●愉悦の蒐集 ヴンダーカンマーの謎/小宮正安著/集英社新書/19年9月19日発行/1050円(税込み)
 ヴンダーカンマーとは、「不思議の部屋」。世の珍品を蒐集し、陳列・収蔵した部屋ということである。十五世紀から十八世紀にかけてヨーロッパの王侯貴族他の間で流行した。その内容、盛衰が語られる。科学、宗教、オカルトが入り混じった世界である。本書には蒐集品の図版が数多く掲載されている。リスからつくったドラゴンのミイラ、宇宙を可視化しようとの天球儀。読者はまじまじと見つめることになろう。それらは奇怪でもあるが、人の想念のなんたるかをも考えさせられる

司馬史観の怪

2008-01-07 | 読書
【本の紹介】
●司馬史観と太平洋戦争/潮匡人著/PHP新書/平成19年7月2日発行/735円(税込み)
 司馬遼太郎は、日清・日露の戦争は美化するが、昭和の戦争については、一転、善悪を持ち込んで断罪している。そこに論理展開の一貫性も感情の連続性・ゆとりもない。このように著者は指摘している。この司馬史観なるものが、今の言論界に大きな影を落としているとしている。その影響下にあるマスコミ、言論人を具体名をあげて痛烈に批判しているのが本書である。大東亜戦争は未だ冷静には振り返られていない。教条的保守派とは、視点を異にし、小気味よくもあるが、反発を感じる人も多かろう。