梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

ライフ・シフト(その1)

2023年01月21日 05時47分27秒 | Weblog
昨年12月中旬に行われた、鉄鋼業界団体のOB忘年会に参加しました。その団体とは東京鉄鋼販売連合会(加盟企業約300社)で、8年ほど前まで私は常任理事をさせてもらっていました。今回はコロナ禍で三年ぶりの開催となりました。OB忘年会といっても、OBが6名、現役理事が18名参加しましたので、さしずめOBと現役の意見交換会となりました。

当日参加したOBの年齢は66歳から81歳まででしたが、その内3名は現役の社長です。団体の理事を退任してOBになったとしても、半数は、自分の会社では現役第一線で仕事をされていることになります。私は67歳で社長を退いてもう三年経ちました。各企業には当然諸事情もあり、私がとやかく言う筋ではありませんが、ある事で少し気になったのも事実です。

正月の業界新聞には、恒例の“今年の年男”の記事が載ります。鉄鋼メーカー・商社・流通での年男が、人物写真と取材記事と共に紹介されます。対象者は、メーカー・商社の方は役員クラス、我々流通は社長です。流通会社での社長は、還暦(60歳)ではまだ通過点です。ただ今回目立ったのは、72歳で現役社長が多かったことです。

業界団体の集まりや業界紙面でもあるように、70歳を過ぎても多くの方が社長をされていて、何故それが気になったかの観点です。それは会社には後継者問題があるからです。一般的には社長に定年はありません。しかし、新社長になる後継者には早く席を譲り様子を見る年月や、会長が伴走して相談を受けながら軌道修正する時期が、どうしても必要だからです。   

社長の後継者移行が60歳台半ばであれば理想、との私の持論がちょっと崩れかけました。NHKの朝のニュース番組を観ていた時です。“リンダ・グラットン氏に聞く「人生100年時代」の生き方”と題した特集でした。「人生100年時代」は、私たちにとって既に耳慣れた言葉となり、誰もが100歳を迎えられる時代になりました。ならば社長業も長くても構わないのか。しかし、その番組で言わんとしていることは、これとは違いました。

あるコンサルティング会社が調べた、「人生100年時代マインド調査」の結果が取り上げられました。「人生100年時代と聞いて、どんよりする人が61.2%」という結果を踏まえ、その対策を『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)の著者リンダ・グラットンさんにインタビューするという内容です。リンダさんは、単に高齢者に向けたメッセージでなく、現在の若者から人生戦略が始まっている重要性を強調しました。以下その内容が続きます。

この本で考えたいことは引退後の生活をどうするかではなく、人生そのものを100年という単位で捉えたときに、学ぶ、働く、引退するという、これまでの人生における3つの大きなステージをどのように設計するかということです。寿命が100年に延びる社会では、そのステージのどこか、あるいは全部を、少しずつ伸ばしていくという単純な変化では対応できません。就職する、引退するという一般的な適齢期も変われば、若者、高齢者といった世代の境界線も変わってきます。生き方すべてに大きな「シフト」が訪れることは間違いありません。

一般的に平均寿命が延びると、社会が高齢化するというイメージがあります。しかし私が予測する未来はそういったものではなく、むしろ若々しく生きる期間が長くなるのです。思春期が長くなるとも考えられます。また、その若々しさとは、動けるかどうかという視点だけではありません。現在25歳の人の多くは、学ぶことから働くことへステージが移っているはずですが、平均寿命が延びた社会では、30歳でもまだ学んでいる人が珍しくないかもしれません。こうした年齢とステージが結び付かない生き方が広がり、社会はより多様かつクリエーティブになっていくことでしょう。

本では旧来のステージに代わり、「エクスプローラー」「インディペンデント・プロデューサー」「ポートフォリオ・ワーカー」という新しい3つのステージを論じます。エクスプローラーとは冒険者のように未知の環境を渡り歩き、そこでの新しい知識や技能を得るだけでなく、人との関係を築くことです。インディペンデント・プロデューサーとは、従来の起業家とは違い、事業を生み出すことそのものを目的として、生産活動を通じ学習を続ける特徴があります。最後のポートフォリオ・ワーカーは、先の2つのステージを含む様々な活動に、同時並行的に取り組む人々のことです。

“リンダ・グラットン氏に聞く「人生100年時代」の生き方”は、このような番組でした(ネット上の情報も参考にしました)。早速『ライフ・シフト』の本を買いました。   ~次回に続く~


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