梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

ナチハンター(その1)

2024年06月01日 06時11分55秒 | Weblog
朝日新聞のグローブ(通称GLOBE)は、当紙で2008年10月より挿入されている特別紙面のタイトルです。2016年4月より月2回から月1回日曜版としての挿入となりました。"ブレイクスルー・ジャパン!" をキャッチコピーに挙げています。毎回特定のテーマに沿った特集記事を提供し、世界における日本の在り方を提起し、海外識者のインタビュー記事も多く、通常の新聞紙面とは異なる雰囲気を醸しています。[ネット上での解説引用]

3月24日発刊の、そのGLOBEのテーマは“終章ナチハンター”でした。『第二次2次世界大戦の終結から78年が過ぎ、戦時を直接知る世代が亡くなるなか、ホロコーストを引き起こしたナチスドイツの犯罪を追及する「ナチハンター」の仕事が終わろうとしている。「史上最悪の犯罪」と向き合い続けたドイツにとっても、一つの区切りを迎える。ナチハンターは何をもたらしたのか』。このような出だしで、記事は3面に及びます。

関連する記事の掲載は、ドイツに行った記者の取材や日本の専門家の見解など八つに及びますが、立体的に、ナチスドイツの過去の犯罪や終盤を迎えたナチハンターの実態が浮かび上がります。その中で、三つの記事(要約)を紹介します。それぞれ少し長くなりますが、お許しください。

【99歳の元看守 問われる80年前の罪 近ずく「最後の審判」】
 「働けば自由になる」という標語が掲げられた重い門が、ゆっくり開いた。ベルリンから北約30キロのオラニエンブルクにある、サクセンハウゼン強制収容所跡を訪れた。ヒトラー政権は1936年に同収容所を開設。約190ヘクタールの敷地には塀と高圧電流が流れる鉄条網があり、ユダヤ人やロマ、同性愛者や政治狙らが収答された。その数、敗戦の45年までに20万人以上にのぼる。そこは現在博物館となっている。各国の観光客らも足を運ぶ。[ロマ:中世期後半インド北西部からヨーロッパへ移住した民族でかつてジプシーと呼ばれていた]
 観光客が歩くその場所には、かつてしま模様の服の収容者が点呼のため並ばされていた。「彼もここから見ていたかも知れません」。博物館の副館長アストリット・レイが言った。彼とは、ドイツ中部に住む99歳の男性のことだ。1943~45年に収容所の看守を務め、収容者の大量殺害を手助けしたとして、昨秋起訴された。裁判でのやり取りに耐えられるかどうか、医師らの鑑定が慎重に進められている。
 殺人罪の時効を撤廃したドイツでは、今もナチスの犯罪追及が続く。2022年6月には同じザクセンハウゼン強制収容所で看守を務めていた男性(当時101)に禁錮5年の判決が、同年12月には別の強制収容所の速記係だった女性(同97)に執行猶予付き禁錮2年の判決が言い渡された。こうした裁判を可能にしたのは、2011年の司法判断だ。それまで、検察当局は当事者が殺害に直接関与したことを第三者らの証言などで立証しなければならなかった。
 しかし、時の流れとともに、直接的な証拠や証言を集めるのは極めて困難になる。ドイツ占領下のポーランドにあった強制収容所の元看守(同91)に禁錮5年の判決を言い渡した11年のミュンヘン地裁は、大量殺人を目的とした収容所に勤務した事実を証明できれば、殺人幇助(ほうじょ)罪が成立すると導いた。大量殺人マシンと化した組織の「歯車の一部」と認定されれば、罪は免れなくなった。判決を追い風に、当局は改めて訴追の可能性がある人物のリストアップを進めた。
 訴追を続ける理由はどこにあるのだろう。副館長レイは被害者の証言を集め、99歳の元看守の所属した隊がどんな任務に就いていたかなど、訴追に向けた情報収集に協力した。「彼は直接手を下していないかもしれない。しかし、収容所は多くの人間によって運営されていた。小さな任務でも、それがなければ動かない、とても複雑な組織だった」。ザクセンハウゼンでは、過酷な 強制労働や病気、飢え、処刑などにより、数万人が命を落とした。
 独ツァイト紙が20年に実施した世論調査によれば、「裁きを受けていない生存中のナチスの加害者は今日でも裁かれるべきか」との質問に、「全くその通り」「そう思う」が76%にのぼった。それでも、当時10代後半〜20代前半だった下級職員らも90代。現在、裁判の可能性があるのは4人。ザクセンハウゼンの生還者もわずかとなり、ドイツ、イスラエル、米国、ロシアなどに暮らしているという。

ここで、一つ目の記事の要約は終わります。現在裁判の可能性があるのは4人にもかかわらず、殺人罪の時効を撤廃し、証拠の簡素化を決断し、幇助罪の適用を可能にして、ナチスの犯罪を追及し続けるドイツです。歴史を遡り法の改正までして向かい合っているのは、ドイツの「過去の克服」です。

今回このGLOBEを採り上げたのは、次回登場する人物を、過去私のブログで書いたことがあるからです。   ~次回に続く~


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