昨日の朝
仕事前に実家の居間で新聞を眺めていたら
とつぜん家電が鳴り出した。
「朝から誰?」とお袋がのんびり受話器を取る。
「はいはい。
え?誰?D(ウチの次男)ちゃん?どうしたの?」
二言三言ことばを交わした母が首をひねりながら
「Dちゃんらしいんだけど、なんか変なんだよねぇ」
と受話器をこちらによこす。
「はいもしもし・・・」
こちらが何かを言う前に堰を切ったようにしゃべり出す相手。
「あ、あのさぁ。タクシー会社から連絡無かった?
さっき上司とタクシーに乗ってて
降りた時に持ってた会社の金を忘れてきて・・・」
ははーん。
「アンタ誰?」
「え?Dだけど・・・」
「名字は?」
「・・・宮本・・・」
「はいお疲れさん」
と電話を切った。
「これがウワサのオレオレ詐欺ってヤツだな」
と言うワタシにお袋は「え、えぇ~!?」
という間にまた電話が鳴ったので今度はワタシが出る。
受話器から聴こえるのはさっきと同じ声。
「そっち、菅原ん家じゃねーの?」
「違うよ」
「なんだ早く言えよ。人が悪いなぁ」
とだけ捨て台詞を吐いてすぐ切れた。
なるほど、気付かれた場合は間違い電話を装うマニュアルか。
それにしてもオソマツ。
名字を確認する暇も与えず、後から「早く言えよ」とは
「詐欺失敗しました。ごめんなさい」
と言ってるようなもんだよねぇ(笑)
録音や探知されないように慌てて切ったりして
やってるのはホンのガキだな。
「ニュースでオレオレ詐欺に引っかかった人を
『なんでこんな詐欺に引っかかるんだろう』と
内心呆れてたんだけど
私もつい『Dちゃん?』と聞いちゃったねぇ」
と凹むお袋。
「警察に電話しようか」と言うので
「ナンバーディスプレイじゃないから
かかってきた番号わからないでしょ?
ナンボ警察に言ったって調べようがないじゃん。
それよりナンバーディスプレイ使える電話機買おうか」
と家電店ですぐに買ってきて設置。
登録した番号以外からかかって来た時の対応方法を教え
とりあえずは一件落着。
もちろん「先に相手に名前を言わせるべし」との指示もした。
いやはや、貴重な体験をさせてもらったが、
相手の作戦には残念ながら決定的な欠陥があった。
ウチのDは標準語なんてしゃべらない(笑)