本でも、映画でも、芝居でも
早く次の展開が知りたいと思う作品もあれば
まだまだ、いつまでも終わって欲しくない、
もっとこの世界に浸っていたいと思わせる作品もある。
この映画は間違いなく後者。
なにか大きな事件や出来事があるわけではない。
普通に生きる姉妹の穏やかな暮らし。
妙にリアルに感じるのは
たぶんBGMが極端に少ないせいだろう。
軽妙でいて、心情をうかがわせる会話が中心をなす。
これがまた自然で、しかも深い台詞ばかり。
物語の展開に関する仕掛けも随所に見受けられる。
BGMが流れるシーンは合計しても3~5分ぐらいじゃないの?
そして姉妹の脇を固めるベテランの俳優人も味わい深い。
樹木希林、風吹ジュン、大竹しのぶ、リリーフランキーなど
ふと見せる表情や簡単な台詞で存在感を示す。
鎌倉の古い家、林や薮、湘南の海・・・
淡々と流れる時間の中に自分も存在してるかのように
感じられる2時間の作品。
原作を見ると・・・おぉ懐かしい吉田秋生さん。
昔「カリフォルニア物語」が好きで単行本も買ったものだ。
家族や兄弟間の心理劇が得意だと思っていたら
こんな穏やかな作品も描いていたのか。
原作も読みたくなったよ。
ところでこの作品のロケには
花巻市内も数カ所使われたとのこと。
三姉妹がすずと出会う山形の旅館は鉛温泉の藤三旅館だ。
そしてどうやらそれらの場所を案内したらしく
神楽仲間の名前がエンドロールの「撮影協力」に入っていた。
それもまた一興(笑)