吉澤兄一のブログ

お江戸のど真ん中、平河町から、市井のトピックスを日記風につづりたいと思います。

是枝監督の『万引き家族』観賞後雑話

2018年06月16日 | Weblog
”万引き”、決して褒められた話や行為ではない。子どもから大人まで、誰でも識っている。刑法なら窃盗罪なる犯罪なのだが、これが、映画の題名になる。日々、万引きで暮らす”もどき”家族の話が映画のストーリー。あの『三度目の殺人』の是枝裕和監督の最新作。カンヌ映画祭パルムドール受賞作だからということではないが、6月14日(木)イオンシネマ板橋で観賞した。


前評判どおりの秀作。いい悪いを問う題材でもないが、世間的にはアウトロウ的な主題。生きるということ、家族ということ、人と人や家族などの絆ということは、何かということを問いかけている。ふだんにおいては、”認知症でつい・・・”とか、”今日食べるものもお金もなくつい・・・”とか、”ポケットやサイフにはお金があっても、つい・・・”とか、言われる万引きなのだが。「万引き家族」では、”万引き”で生活している。そのアウトロウ的な”家族”生活をとおして、生活とはや生きるとはを語る。


リリー・フランキーや樹木希林と是枝監督の大御所的力量には敬服するが、初めて観る安藤サクラさんの熱い演技や幼い息子(?)役の城桧吏や救い拾われた(誘拐?)いたい気な少女佐々木みゆの好演が光る。国や政治および行政やふだんに暮らす大人たちが、見過ごしたり見て見ぬふりしてきた社会の問題を提起している。ふだんの普通の他の人たちと違って(お金を払わず)いろいろ工夫して、商品を万引きして、それで暮らすことが、何となく他の人とは違って”イケナイ”ことをしていると感じている子どもとそうさせている大人の苦悩が、隠れて見える。


見えないDVや放置されて引きこもる幼い子どもへの救いの手。きょう暮らす収入や方策もないボトムにいる人たち。法律や規律も知らず、知っていてもそういう考慮もできない人々。国や地域も、政治や行政も届かないところに暮らす人々などに 目が届く、そんな社会を願い希望する訴えをしているこの映画に、教わることが多い。
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