馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

脛骨近位成長板損傷のT-LCPを抜いた

2023-07-05 | 整形外科

脛骨近位成長板S-HⅡ型損傷をT-LCPで内固定した子馬

跛行は徐々に治まり、X線撮影してもらい、順調に骨癒合していると判断してプレートを抜くことになった。

5週間ほど。

minimally invasive に抜きたいが、T型なので、横棒部分は当然よこに切らなくてはならない。

内側側副靭帯を切ることになってしまった。

もちろんこれは後で縫合しておいた。

横棒部に入れていた肝心のLHSはもう骨には効いていなかったようだ。

しかし、そこはLCP/LHSの利点、長いLHSが入っているだけで角度安定性がある。

完全には骨癒合しないでおいてもらいたい。

それが成長板損傷治療の難しいところ。

肢軸には異常を感じなかった。

            -

この子馬、変位がわずかで手術まで3週間経過を観てしまった。

痛みがとれず、徐々に変位も悪化した。

脛骨近位成長板損傷の最初の程度はさまざまなのだが、見つけたら早く手術した方が良さそうだ、という教訓になった。

           ///////////

アスチルベ。

astilbe

a- ない

stilbe  輝き

「輝きがない」なのだそうだ。

やわらかい風情が好ましいんだけどな。

 



12 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2023-07-05 20:12:07
 成長板損傷と聞いただけでゾワゾワしますが、様子を観察するにしても、早めに相談したほうがいいのですね。まして諦めたものと決めつけずに。
 この子馬はこれからリハビリですか?靭帯が落ち着くまでもうしばらく安静ですか?今後も気になるところです。

 先日は骨折や関節の幹細胞治療のおべんきょしました。治療に難渋する症例ばかりだったからかもしれませんが、時間がかかるから馬には難しいなと思いました。

 確かに地味ですが、明日散るべ、どころか存在を主張し、長く景観を彩る植物ですよね。ホスタは青系の花でしょうか?咲いたらまた彩のよい花壇になりそうですね。
 半日陰でも元気で乾燥にも強い種類でまとめているのですね。みんな居心地よさそうですね
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>はとぽっけさん (hig)
2023-07-06 04:31:00
この子馬は結果的には発症後すぐに手術すべきでした。貴重な経験になりました。
もう骨折の痛みはないようでしたので、すぐに運動できると思います。

移植再生治療としてPRPは馬でも汎用できる可能性があると思います。

大きな花びらに比べると地味ですかね。私はどうもバラには手を出す気がしません。アスチルベは増やしたいです。
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Unknown (zebra)
2023-07-06 05:07:29
LHSネジ山浅いのでプレートとの結合の方が勝ったのですかね。
X線装置も写せる限界があるので高次に転院を重ねるうちに開いて来て判る、というのはあるみたいです。
撮り方悪いとかではなくて。
痛みが続くなら僅かな変位が拡大するかもよ、という説明は必要なのでしょうね。
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>zebraさん (hig)
2023-07-06 16:31:34
骨端も骨は柔らかいですからね。皮質なんてないようなものですし、対側皮質にはとどいてませんし。
そもそも子馬子牛の柔らかい骨に、LHSのあの低いネジ山が本当に有効なのか、過信してはいけないと思います。骨粗鬆症の年寄りの骨折にも有効、というのがLCP/LHSの売りですが、ヒトは術後ベッドで寝てますから。

この症例は成長板損傷なのはわかっていましたが温存で治るのでは、と手術を待ったのです。結果的には失敗でしたが、必ず開いてくるかどうかはわかりません。中手/足骨遠位の成長板離解で保存的に治った症例は数例経験しています。
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Unknown (zebra)
2023-07-07 05:51:21
症例もそうですが、LHSが成長方向にスライディングしてくれるなら成長板を抑制しないので好都合とも言えるのでしょう。
?T端のトラクションスクリューホール(造語笑)はスライディングしない?

待てるぎりぎりまで注意深く経過観察して手術に至り治るなら仕方ないのでしょう。
走り出したら稼がなきゃならないので別の損益分岐点で考えなければならないでしょうけれども。関節みたいに。
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>zebraさん (hig)
2023-07-07 23:19:25
LCPもcompression plateであるわけで、スライドするというのはありえません。
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Unknown (zebra)
2023-07-08 06:42:50
色々なTプレートの画像見てみたのですが、T端は色々あるみたいですね。
LHSしか入らなくて、I軸の方にトラクション依存するものとか。
そしてLCPのコンプレッション用のスクリューホールは基本的にLHSが抜けないように押さえつけるトラクション用なのですね。
DCPみたいにスクリューホールをヘッドが斜めに滑って骨折端を圧定する事はあまり考慮されていないみたいです。
しかしこれが現実的には机上論で、皮質骨とプレートが骨膜を強固に挟み付けて骨代謝に傷害をもたらすのがDCPの現実なのかも知れません。
LHS押さえつけが目的でプレートを骨に押さえつけないLCPがこの辺も有利なのだなと思ったりもしました。
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>zebraさん (hig)
2023-07-09 04:49:19
サイズがちがうと形状がちがうとか、そもそもメーカーがちがうとスクリューホールの形状がちがいます。
AOが開発したLCPのスクリューホールは例の達磨型したコンビネーションホールですが、T型の横棒部や片端が丸いLCPの片端のホールはほとんど〇に近い、しかしコンビネーションホールで、このホールを使ってコンプレッションかけられるようになっています。
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Unknown (zebra)
2023-07-09 07:40:02
コンビネーションホールでコンプレッションかけようとするとLHSの遠近で向きが変わってしまうのですごく難しい話だと思います。
コルテックス入れる角度でなんとかできるのかも知れませんが、普通の平行では難しい。
応用部位に応じで色々なプレートが開発される理由もよくわかります。
汎用プレートでまともにやろうと思ったら、ラグスクリューで骨片纏めていくテクニックがすごく大事になって来そうです。
もうここから先はAIの出番になって来そうです。
骨格基本モデルに骨折線を書き込んでいくと、どのプレートをベースにどうスクリューを入れていったらいいか提案してくれるようなソフトが必要な気がします。
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>zebraさん (hig)
2023-07-09 19:10:06
コンプレッションをかけるのに使うのはnon-locked screw ですし、LHSを使う前に終わらせます。

馬の特殊な部位や用途のプレートも徐々に出てくるかもしれません。右脛骨近位成長板用とか、左橈骨内側用とか。。。売れないでしょうし、とても高くなりそうです。
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